コンテンポラリーな夜に 僕は月の照らす 艶やかなあなたの舌を見た 流れていく軽やかな言葉足らず 逆さまに吹く風に 上手く返事できない どんなに手を伸ばしても 届かない…
第一曲〈兵士〉 残酷に殺せ、できるだけ凄惨に。それがこの戦争を終わらせるために必要なことだ。上司はそう言って私たちを送り出した。厚い雲が覆う空の下、二十…
騒がしい街をつきぬけて 咽び嘆く目頭に溜まる膿を 吐き出せず 足早に帰途に着くにつけて なにかと無関心な群衆もまた ひとつの風景として ぼやけた残像として 自らを生か…
意趣返し 憂さ晴らしかのように 左手の人差し指が動く癖を 目の前の恋人とやらに 叩きつける速度にだれも疑問をしない お前だってだって 怒りを嘲笑に換えて泣きながら真顔…
さぁ、片脚で立ってみろ 空蝉のような背の割れ目 朽ちる眼に水を注ぐ 苦味を砕いて腹を啜る どうしても革靴の匂いに慣れない 反射嘔吐で白けた世界 トートバッグを振り回…
簡単ではないよ 間違えたりもする 襲ってくる雨に 解像度の高いカメラを使っても ぼやけるのは僕の手が震えているから また振り出しに戻って あなたにはまだ追いつけない …
切望するコウノトリ 品性の欠片もなく圧死は必然 首だけになった無垢な魂 風に撃たれた鋼の心臓 罵詈雑言ばりの ありふれた商店街に ニコチンとタールに汚染された肺に 振…
十四歳の某国に向かう途中、数百の蔦に絡まれて 雨降りの中、慰められる 胡乱に転じてくすぐり運転、交換手を忘れたままで 度重なる葉脈の合図に拍手を送る コーヒーメ…
忽然と姿を消した骸 鯵の木に実がなって 骨の軋む濁音に咽び泣く 陽が射す方を向いても 影の武者は刀を振り回し 冷たい水の凍るまでの時節 零落する点描画家の皺 石切場…
おれは電磁気の嵐に巻き込まれ 保安官たる犬が 電子操業の犬として その脳内国家を異聞録とされた 猫はどうした 改編か この星では詩にもなる この頃往来は動を生とせず …
信じるに足る、と詰めた 手前味噌はただ腐っているだけ 年増の破綻は触れようがなく救いがたく ガーコガーコ出来損ないの音立てて崩れてく 待ってとっとと 悪くする、する…
動けば 解け 動かなければ 固まる それらに当てはまらなくとも 連面と続き やがて壊れていき その次を思い生き そうとも知らず 真っ白くて平等なコットの群れのなか ひた…
シャッタを切って ファインダから目を離して 画面を確認して、削除する その間に幾人かが視界の隅に出たり入ったりすること 雑踏に補完されて 慣らされた人間たちのいると…
ブルーは何を言っているのか 盗作者の種を撒く 棺のような重さの如雨露は右手の精気を吸い取る 悔恨ばかりの庭先を求めて すぐさま目先の街をこねくり回す どうか道を違え…
往来から 一直線 突き抜けるような 太陽のおひざもと ひからびた しなびた 鳥の亡骸は 雀の亡骸は コンクリートに コンクリートの歩道に 丸々とした身体を横たえて ち…
みんなホンマはアホなんや と、ちょございに みょうちくりんにだけど背すじにのこることば だからお前だけがアホなんとちゃうんや と、偉そうに酔いどれの こそばゆく甘た…
CryCry_田村 悠一郎
2024年5月1日 18:13
コンテンポラリーな夜に僕は月の照らす艶やかなあなたの舌を見た流れていく軽やかな言葉足らず逆さまに吹く風に上手く返事できないどんなに手を伸ばしても届かないことは知っているだけど、伸ばさずにはいられないそこらじゅうに散らばった扉選び方を間違えたなら血を吐き出しても笑い返してだって、どうなってもいいの此岸を憂うあなたに見えなくなるけど手遅れにはなりたくないからもう
2024年3月1日 08:59
第一曲〈兵士〉 残酷に殺せ、できるだけ凄惨に。それがこの戦争を終わらせるために必要なことだ。上司はそう言って私たちを送り出した。厚い雲が覆う空の下、二十人が乗ったボートは波間に揺られながら、上陸作戦の合図を待っている。数十メートル先の海岸には大砲や鉄柵のバリケードが物々しく鎮座している。敵部隊はどこかに隠れているらしい。不気味なほど静かである。空白のような時間が一刻、一刻と過ぎ去っていく
2024年2月17日 16:22
騒がしい街をつきぬけて咽び嘆く目頭に溜まる膿を吐き出せず足早に帰途に着くにつけてなにかと無関心な群衆もまたひとつの風景としてぼやけた残像として自らを生かす道に沿って続いている夜になろうとも電灯が眼下の影を濃くして溶け込むことを理性のように阻む普段は意識にないささくれだった毛穴から飛び散る飛沫のような怖気右手に走る鼓動のない車道に間仕切りはなく飛び込んでしまえ
2024年1月28日 09:02
意趣返し憂さ晴らしかのように左手の人差し指が動く癖を目の前の恋人とやらに叩きつける速度にだれも疑問をしないお前だってだって怒りを嘲笑に換えて泣きながら真顔を絶やさない人かなしくはないのか普通の生活のための中毒性起こりうる諸問題の中枢を刺激せずに暴論と正論の異様に濃いラーメンをすすって発狂したスープ吐きかけ合うような見えないでも飛び散っている様を醜いと美しいの異様に濃い
2024年1月25日 21:31
さぁ、片脚で立ってみろ空蝉のような背の割れ目朽ちる眼に水を注ぐ苦味を砕いて腹を啜るどうしても革靴の匂いに慣れない反射嘔吐で白けた世界トートバッグを振り回して反動で自分が飛んでいくようなそんな腐海みたいな反骨が欲しい私は味方であって、仲間ではない私は敵であって、被告ではない有益な情報だけを抜き去っていてはどうしても触れられないものもある型落ちの玩具みたいに廃棄処分さ
2024年1月25日 16:11
簡単ではないよ間違えたりもする襲ってくる雨に解像度の高いカメラを使ってもぼやけるのは僕の手が震えているからまた振り出しに戻ってあなたにはまだ追いつけない自分だけの体でも、重すぎてまた眠ってしまいそうで好きという言葉に胸のヒリヒリが収まらないいつも言い訳ばかりでいいわけはないんだけどあとヒトコトが、あと一歩が踏み出せない臆病さが卑屈にさせてとりとめのない、あなたの
2023年11月20日 13:16
切望するコウノトリ品性の欠片もなく圧死は必然首だけになった無垢な魂風に撃たれた鋼の心臓罵詈雑言ばりのありふれた商店街にニコチンとタールに汚染された肺に振り下ろされたハンマー疑念の振動が脳髄を薄めるここ数年ばかりアラフィフの言葉がしみる穿ってばかりの若者を蹴散らした据え置きの石棺にはあがなえないノッポの狂った時計の暴動赤き薔薇の五本の指に入る症状排他的少女環状線に
2023年11月17日 13:07
十四歳の某国に向かう途中、数百の蔦に絡まれて雨降りの中、慰められる胡乱に転じてくすぐり運転、交換手を忘れたままで度重なる葉脈の合図に拍手を送るコーヒーメーカーが故障する瞬間目が冴えて敵わない畳敷きの部屋に煉炭が転がっている混沌とした思考のなかで叫び声を聞いた完全に感性は崩れ去り削ぎ落としたはずの刃の刃先が揺れている死臭は、現実的でないと銀色の柄が呟いた深
2023年11月12日 16:55
忽然と姿を消した骸鯵の木に実がなって骨の軋む濁音に咽び泣く陽が射す方を向いても影の武者は刀を振り回し冷たい水の凍るまでの時節零落する点描画家の皺石切場にて一生を終える鹿脳震盪を起こして墜落する鷹落ちていた羽を銭に換える猿雨の日妻は毒を吐き散らし枯れ木を集めて炉にくべる冬至の世迷言を信じるに星が落ちて、夜は果てる寿を身体に刻んだ非業の狂人よめくるめく敗退の歴史に
2023年11月12日 13:17
おれは電磁気の嵐に巻き込まれ保安官たる犬が電子操業の犬としてその脳内国家を異聞録とされた猫はどうした改編か この星では詩にもなるこの頃往来は動を生とせず静として制とともに雑多に並べるショーウィンドウを見よ[ショーウィンドウ]ではなく感動後の感傷のように鏡ではなく反射を故意と置いておれに爪研ぎを買っておくれフリスビーを 化合加工食物を ケージを魚肉を獣肉を 首輪を鈴
2023年11月10日 12:09
信じるに足る、と詰めた手前味噌はただ腐っているだけ年増の破綻は触れようがなく救いがたくガーコガーコ出来損ないの音立てて崩れてく待ってとっとと悪くする、するりと砂のようなとおりを口の端から垂らしてへその穴に生糞を溜めて放屁でお茶を濁しながら砕けた前歯で現れてはひと時をふた時にもみ時にもして帰っていくそうしてまた寝転がる背中に生きる菌糸はただ心地良さのために細い糸を
2023年11月8日 18:28
動けば解け動かなければ固まるそれらに当てはまらなくとも連面と続きやがて壊れていきその次を思い生きそうとも知らず真っ白くて平等なコットの群れのなかひたすら眠りひたすらなき天井の光の白と閉じた瞼の裏の黒をいっしんに受けながらこれからを思うことなく朝も夜もなくなにを待つのか眺めてみると色彩の薄い肉の上濃い水を溜め込んだ水彩の黒が天井の光を反射して揺れて揺
2023年11月7日 08:34
シャッタを切ってファインダから目を離して画面を確認して、削除するその間に幾人かが視界の隅に出たり入ったりすること雑踏に補完されて慣らされた人間たちのいるところコンクリートや様々な壁面に入っている亀裂芽を出して伸びる蔦それら全てが永遠ではないことを教えてくれる息を吸い、吐いてそのことを忘れるまでの数瞬が切り取られて、言葉足らずにヒットアンドアウェイその幕間に美辞麗句を並
2023年10月30日 12:38
ブルーは何を言っているのか盗作者の種を撒く棺のような重さの如雨露は右手の精気を吸い取る悔恨ばかりの庭先を求めてすぐさま目先の街をこねくり回すどうか道を違えて違えて欲しい私の愚かのために正当なる道を壊してまでブルーは犬を噛み締めている血走った目は鋭い刃を乳房の喉元に突きつけたイメージの問題を湛えているふたつの奥歯に挟まった意思は傀儡の嘆きを疎かに古い櫛で梳かすうずもれたまま
2023年9月29日 12:45
往来から 一直線突き抜けるような太陽のおひざもとひからびた しなびた鳥の亡骸は 雀の亡骸はコンクリートに コンクリートの歩道に丸々とした身体を横たえてちょぎれた羽をそよ風にはためかせている近づいてしゃがんで見つめると少しだけひしゃげた身体の真下コンクリートに滲みたみずたまり雀の涙あなたの幸せを知りたいあなたの幸せを何も知らないままに妬んでしまう前にわたしが
2023年9月6日 03:26
みんなホンマはアホなんやと、ちょございにみょうちくりんにだけど背すじにのこることばだからお前だけがアホなんとちゃうんやと、偉そうに酔いどれのこそばゆく甘たるくて息臭く世を笑う夜を笑う貪り削り、唾を吐き血反吐を吐きよお笑う苦々しい通りすがりうちらをくさすうちらの知らないことを知っている通りすがり話してくれるならばうちらとって世界の広がりそのものだけれどただ何も