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#忘れられない恋物語
【短編小説】ここにいる理由
1,818文字/目安3分
一年前に事故で死んだはずの彼が突然帰ってきた。どういうわけか全然分からないけれど、確かにそこにいる。話せる。触れる。体温を感じられる。一緒に食事もできる。
朝起きてリビングに出ると、彼はキッチンに立っていた。やっぱりいる。今までそうしてきたように、そしてこれからも続くように、当たり前のように、確かにそこにいる。
彼は食パンをトースターにセットしていた。一緒に暮ら
【短編小説】かわいい
3,342文字/目安6分
朝、目が覚めてから違和感に気づくまでに、そう時間はかからなかった。
まず一つ股間のあたり。というか股間。全然力が入っている感じがしない。自慢じゃないが俺は朝からすごい。何がとは言わんがナニがすごいのである。なのにそこにある感じがしない。
もう一つ。寝返りの感触がなんとなく柔らかい。ふにって感じがする。
そうは言っても違和感の正体は分からず、あくびをして、ベッドか
【短編小説】焼き鳥屋の煙―閉店前―
2,051文字/目安4分
一人で焼き鳥屋に来ている。
いつもはこういうことをしないのに、なんとなく思いついて立ち寄った。家にいたくない。一人になりたい。頭を冷やしたい。そういう思いで、ふらふらとどこに行くでもなく外を歩いていたら、この店を見つけた。
飲み屋はチェーンの居酒屋しか行ったことがない。こういう感じなんだ、と思った。入ってすぐの左側にカウンター席が四つ、右側に座敷のテーブル席が二
【短編小説】ある晴れた日のソラ:後編
前編はこちら
3,600文字/目安7分
僕はモテない。異性と付き合った経験なんてないし、当然同性ともない。告白したことはあれど、されたことはない。そもそも女の友人が少ないし、知り合い自体も少ない。美人と曲がり角で衝突なんてもってのほかだ。そのような展開は空想の世界だけの話である。
顔も性格もさほど悪くはないと自分では思うが、それと同時にこれといった魅力もない。当たり障りないゆえに、目につ
【短編小説】ある晴れた日のソラ:前編
3,575文字/目安7分
突然ですまない、僕の話を聞いてくれ。
ありふれた話かもしれない。つまらない話かもしれない。だけど僕にとっては紛れもなく特別なことなんだ。まだ自分の中で整理しきれていないからうまく伝えられるかわからないけど、とにかく聞いてくれ。
えっと、あれは確か……ひと月、いやふた月か。たぶんふた月ほど前のことだ。ふた月か。もうそんなに経つのか。しかしまだふた月と言うべきか。