マガジンのカバー画像

フランス語(等の)方へ

37
主にフランス語・フランス語学に関連する記事を放り込んでいます。
運営しているクリエイター

#ビジネス

deuxièmeとsecond【フランス語の方へ:1】

小手先の記事もちょっと書いてみよう、という試みです。


フランス語には、「2つ目の」と訳しうる形容詞がふたつあります。deuxièmeとsecondです。前者は基数詞deuxに序数詞化標識-ièmeをつけたものです。後者はラテン語secundusに由来します(なおsecundus自体は、sequi「付き従う(suivre)」という意のラテン語の動詞と、根のところでは繋がっているようです。Oxf

もっとみる
【338】プロかつアマでありたい? ふたつの語源を介して

【338】プロかつアマでありたい? ふたつの語源を介して

「好きなことを仕事にせよ」という或る種の命令と「好きなことは仕事にすべきではない」という忠告は、どちらも一定の正当性を持ちます。

この二つの主張はもちろん矛盾しあうところがありますが、この矛盾ないしは対立の間での決着というものはつけようがありませんし、つける必要がありません。

どちらの言い方にも、一定の普遍的な正当性がある、ということは確実でしょう。

ということは、双方がともに想定している「

もっとみる
【273】フランスのペンギンに学ぶ、辞書や専門領域の内的循環を脱する方策

【273】フランスのペンギンに学ぶ、辞書や専門領域の内的循環を脱する方策

皆さんはペンギンがお好きですか。私は好きです。日がな一日眺めていても飽きません。

ペンギンは英語でpenguinですが、フランス語だとmanchot(カタカナに無理に直すなら「マンショ」)です。なんだかへんな音ですよね。

今回はここから。

※この記事は、フランス在住、西洋思想史専攻の大学院生が毎日書く、地味で堅実な、それゆえ波及効果の高い、あらゆる知的分野の実践に活かせる内容をまとめたものの

もっとみる
【272】芋虫、猫、シリウス、酷暑:言語が描く星座を読む

【272】芋虫、猫、シリウス、酷暑:言語が描く星座を読む

太古の人類が星々の配置に動物や神々の姿を読み取ってきたように、原初的な「読む」作業というものは、意味のないところに意味を見出すことであり、世界に意味を与えることであり、書かれていないものを読むことでした。

そうした読みの痕跡を、タイトルに示した言葉の周辺において見てみたいと思います。


いくつかのはじめ方があるのですが、差し当たり多くの人が理解しやすい英語の例から入ってみましょう。

皆さん

もっとみる

【95】【2万字】横顔は、英語で言えばprofile

プロフィールを書きます。ショートver.(≒プロフィール)とロングver.(≒来歴)があり、後者が前者を大幅に補完します(が、後者については長いと感じられる方もいらっしゃるはずので、興味のある人のみどうぞ)。当然のことですが、どちらにも(致命的でない範囲で)嘘が含まれます。隠す部分や大げさにする部分が含まれます。皆様のプロフィールや自己紹介と全く同じように。

★ショートver.(約1000字)★

もっとみる
【175】答えが長くなることを恐れてはならない!たとえば、バカロレア

【175】答えが長くなることを恐れてはならない!たとえば、バカロレア

思考力を要する記述式の答案を書くべき試験の例としてよく引き合いに出されるのが、フランスのバカロレア(大学入学のための学力を測る試験)の、しかも哲学の試験です。

今回はこれによせて。

※記事の【まとめ】は一番下にありますので、サクっと知りたい方は、スクロールしてみてください。


バカロレアの哲学の試験には、テクストの抜粋を解説させる問題(explication)もあるというのに、どうしてか、

もっとみる
【178】「紺碧」の空の背後、制約条件の少ない中でフレキシブルに生きる

【178】「紺碧」の空の背後、制約条件の少ない中でフレキシブルに生きる

先日、「紺碧」であることを示す形容詞azureに関して、その語源を調べました。別にそれ自体の内容はどうでもよいのですが、改めて、こうしたいつでもどこでもできる・金のほとんどかからない活動(?)をやっているのはよいことだな、と思われたわけです。今日はそんなことについて。

※この記事は、フランス在住、西洋思想史専攻の大学院生が【毎日数千字】書く、地味で堅実な、それゆえ波及効果の高い、あらゆる知的分野

もっとみる