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フランス語(等の)方へ

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主にフランス語・フランス語学に関連する記事を放り込んでいます。
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#学び

deuxièmeとsecond【フランス語の方へ:1】

小手先の記事もちょっと書いてみよう、という試みです。


フランス語には、「2つ目の」と訳しうる形容詞がふたつあります。deuxièmeとsecondです。前者は基数詞deuxに序数詞化標識-ièmeをつけたものです。後者はラテン語secundusに由来します(なおsecundus自体は、sequi「付き従う(suivre)」という意のラテン語の動詞と、根のところでは繋がっているようです。Oxf

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【551】これくらい読めなきゃアウト? Finleyのイヤミを読みとろう

【551】これくらい読めなきゃアウト? Finleyのイヤミを読みとろう

ほんの一節の英文から(ごく禁欲的にやっても)これくらいは読むことになる、ということの実演であり、日本語においても、とりわけ然るべき著者によって力を入れて書かれているものについては似たような態度をとることになる、ということです。

■【母語なら読めるというわけではない】解釈をいちいち書き出すということは稀ですが、極めて大げさな言い方をするなら、一瞬で以下に示すくらいにわかることで、やっと文章を読むた

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【257】chanceの語源:サイコロ、ぼた餅、主体性

【257】chanceの語源:サイコロ、ぼた餅、主体性

大学受験の水準で言えば、chanceという語を見たら、単なる「好機」「幸運」ととらえるのではなく、中立的な意味での「偶然」や中立的な意味での「可能性」といった意味も持つよね、ということまで抑えておけば十分かもしれませんし、恐らく。

とはいえ、常々私が思っているのは、勉強であれいわゆる実学であれ芸事であれ何であれ、意味の広がりをできる限り広く把握して自分なりの理屈をつけておくことが物事を覚え・身に

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【254】目標への最適化+強制的な「遊び」で突き抜ける

【254】目標への最適化+強制的な「遊び」で突き抜ける

今日は語学の訓練の方向にかこつけて、物を学ぶこと全般に対して言えそうな方法論、ないしは態度というものについて少し述べてみたいなと思います。

※この記事は、フランス在住、西洋思想史専攻の大学院生が毎日書く、地味で堅実な、それゆえ波及効果の高い、あらゆる知的分野の実践に活かせる内容をまとめたもののうちのひとつです。流読されるも熟読されるも、お好きにご利用ください。

※記事の【まとめ】は一番下にあり

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【239】「火の取り分」を決めることで、燃やしてはならぬものが見えてくる

【239】「火の取り分」を決めることで、燃やしてはならぬものが見えてくる

簡単には消し止められない火事があると、私たちは消防車が水を撒くことに期待するものだ、と言えるかもしれません。

とはいえそれは、もちろん歴史上ごく最近にできた期待であって、かつては必ずしもそうではありませんでした。

そんなことをとっかかりにして。

※この記事は、フランス在住、西洋思想史専攻の大学院生が毎日書く、地味で堅実な、それゆえ波及効果の高い、あらゆる知的分野の実践に活かせる内容をまとめた

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【238】型を無視する愚を説くフランスの作曲家の言葉

(今日は下のほうにフランス語演習がありますが、飛ばしていただいても問題ありません。)

「型破り」とか、「型無し」とか色々な言葉がありますが、私が「型」を重視しがちな人間であることを脇に置くとしても、どうやら「型」より実質が大切だという(それ自体は極めてまっとうな)考えが行き過ぎると、型など学ばなくても良い、というは発想に陥ることがあるようです。

とはいえもちろん、型は大事なのです。それがいずれ

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assezは「十分に」?【フランス語の方へ:2】

辞書を引くと、副詞assezについては「十分に」という訳語が載せられていることが多く、これはこれでよいのですが、基本語であるだけに、簡潔な訳語だけではやはりうまく理解できないという場面が多くあります。

「十分に」とは言っても、「十分」とはどういうことでしょうか。「めちゃくちゃ」「とても」ということでしょうか。そうではありません。同じく程度を修飾するtrès「とても」とはもちろん違うことがあります

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【174】息抜きにフランス語を読めるようになった経緯から振り出される、あなたへのシンプルな問い

【174】息抜きにフランス語を読めるようになった経緯から振り出される、あなたへのシンプルな問い

外国語はどこまでも外国語ですが、外国語を読むことが息抜きになっている人種もいるわけで、それは私のことです。

今回はそういうことについて書いてみたいなと思います。

※記事の【まとめ】は一番下にありますので、サクっと知りたい方は、スクロールしてみてください。


研究をやっているとは言っても、息抜きで小説や教養書なども読みます。特にフランス語や英語やイタリア語で、研究にまるで関係のない通俗小説や

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【186】フランス語を話せないのにわざわざフランスに来るガッツを(少しは)見習いたい?

【186】フランス語を話せないのにわざわざフランスに来るガッツを(少しは)見習いたい?

郵便局に行ったところ、随分若いアジア系の学生が立ち往生していて、たまたま近くに並んでいた私に助けを求めてきました。

サングラスをかけていてマスクをしていても同じアジア系の人間と分かって親近感を覚えてくれたのか、英語で丁寧に質問してくれて、内容も思ったほど大したことではなかったので、久々に口にする英語でも問題なく応対できました。

互いの用事を終えて少し喋ってみると、彼女はフランスに来たばかりの留

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