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新しい承認欲求との付き合い方とは?ブッダに学ぶ「反応」しない工夫

「続々来る通知に反応するだけでも大変…」

今は、SNSの普及によって「他者からのレスポンス」がとてもクイックに確認できる世の中になりました。また、仕事でもひっきりなしにメールが届き、最近はwebミーティングの招集や、チャットの書き込みなど、1日に処理する情報は日に日に増えているように思います。

こうした「反応」を繰り返す毎日は、とても疲弊します。無数に来る情報に一つ一つ反応してたら1日が終わっていた、という日もあります。時間の問題だけではなく、こうした「反応」はあらゆる悩みの引き金になっているかもしれません。

そこで反応型の生活をどう改善していけばよいのかについて考えます。

承認欲求は常に刺激される

日々仕事にプライベートに忙しくしている毎日の中で、ついつい時間を見つけては手にしてしまうものがスマホ。「ちょっとリラックスに」「ちょっと暇つぶしに」と思って触っているスマホは疲れが癒やされるどころか、「気が焦って落ち着かない」、「リア充な書き込みと自分を比較して絶望する」、「フォロワー数、いいね数が増えずにイライラ」など、気疲ればかり引き起こしがちです。

この背景にあるのが「承認欲求」です。上記のSNS上のストレスはほとんどがこれではないでしょうか。フォロワー数やいいねの数は正に承認の見える化です。

名著「サピエンス全史」にも登場しますが、ホモサピエンスが地球上で栄えたきっかけは「虚構を信じられる力を身に付けたから」と言われています。これは人類が社会性を持った瞬間でもあります。人間関係の中で生きていくためには承認欲求が必要だったと考えると、人間のルーツに深く根付いた欲求とも言えます。

承認欲求が強いがゆえに勝ち負けや優劣を気にしすぎたり、「自分は評価に値しない」と自分で自分を過小評価したりしがちです。この承認欲求に対して、アドラー心理学では「承認欲を捨てなさい」と主張します。コンプレックスや自己嫌悪を克服するために、「他者から認められたい」という欲求は持つべきではないという考え方です。価値の軸足を他人ではなく、自分の中に持つことで、より幸福感を感じやすくなると説きます。

このアドラーの考え方とは少し違った視点でアドバイスをくれる人がいます。それがブッダです。

ブッダの教えにヒントを探る

ブッダは承認欲求を否定しません。欲求を否定すれば、抑圧や不満という新しい悩みを生むおそれがあるからです。承認欲求は悪い側面もありながらも、「認められたい」という想いが仕事のモチベーションになりプラスに働くこともありえます。悪い事ばかりではないと言えます。

ブッダは承認欲求を「否定せずに、まず理解する」という立場をとります。「理解する」とは、「ある」ものを「ある」と、冷静に客観的に認識すること。「今、自分の心に承認欲求が芽生えているな」と落ち着いて理解することが大切だと説きます。

これは自分で自分を俯瞰した視座から見ている状態。客観的なメタ認知の視点で見るということです。こうすることで、自分の感情から少し距離を置くことができます。例えば「上司に認められたい」という承認欲求が芽生えている時、「その欲求が満たされたとして、それがどうなるの?」と冷静な視点で自分を見ることができます。

この視点に立つと、「そもそも承認されたら何が起こるの?」「承認されなかったとしても大したこと無くない?」といった、問いも芽生えます。自分の中で芽生えた欲求を冷静に「まず理解する」というブッダの教えは、「そもそもこの悩みに悩む価値があるのか?」という疑問に変わったりするので、悩みそのものを無かったことにする効果があります。

さらに、「なぜ自分は承認されたいんだろうか?」という問いを持てば、本当に叶えたいことが見えてくることもあります。悩みの正体を理解することで、「ではどうしたら自分は納得するのか?」という打ち手を考えることにもつながります。

ポイントは自分を理解する時に「肯定」も「否定」もしないことです。良いとか悪いとか、優劣を作り出すのは、「判断」が入るからです。判断せずにまず受け止めることが大切です。

優劣はコンプレックスを生み、悩みを生み出します。その優劣は「判断」が起点となっているとするなら「判断が悩みを生んでいる」と理解できます。そう考えると「ムダに判断しない」ことが、メンタルを安定的に保つポイントと言えそうです。

ムダに反応しない工夫

「判断」もそうですが、それ以上に「ムダに反応しない」ことも大切です。先に出てきたSNSの「いいね!」や「フォロワー数」、「既読スルー」などでイライラしたりするのは「ムダに反応している」ことが原因ではないでしょうか。

反応しないポイントは視点を「外」ではなく「内」に向けることです。「反応する」とは、外からの何らかの働きかけに対して、何らかの対処をするということです。つまり、起点が自分の「外」にあります。反応している間は実は自分をおろそかにしているとも言えます。

そうではなくて、意識を自分に向ける時間をなるべく多く持つことです。その工夫として瞑想する、マインドフルネスを生活に取り入れるなどは有効です。中でも私がおすすめするのは「目を閉じる」です。とってもシンプルですが、効き目抜群です。

目を閉じれば、自分の外の世界が見えなくなり、自然に自分の内面に意識が向きます。目を閉じている間はSNSの文字情報も入ってきません。目を閉じて、自分の感情に意識を向ける。喜怒哀楽の感情を「ありのまま理解する」ことです。そして、ブッダのごとく、ドライに冷静にその感情と向き合う。そうすることで、落ち着きを取り戻すことができます。

1日のスタートを切る時、1日の終わりに、数分でもいいので目を閉じて内省する時間を待つだけで、反応型の生活から距離を置く事ができます。

「反応(リアクト)」ではなく「行動(アクト)」

反応のことを「react(リアクト)」と言います。よくテレビでもリアクションという言葉を使います。これはボケに対してツッコミを入れるなど、何らかの反応をするという意味で使われています。

この言葉のもう一方にあるのが「act(アクト)」。つまり、反応ではなく自分の考えに応じてする行動のことです。これらの言葉はこう対比できます。

「react(リアクト)」:反応 ⇒ 受動的

「act(アクト)」:行動 ⇒ 能動的

行動の起点を自分以外に委ねているのがリアクト、自分の人生の主導権を自分で握っているのがアクト、と言えるかもしれません。

自分の今日の一日を振り返ってみましょう。どれだけアクトできたでしょうか。リアクトが多くないでしょうか。自分軸で行動できる人は、自分を信じられている人であり、まさに「自信」を持っている人だと言えます。できることならアクトな日々を送りたいですね。

まとめ

情報量が日々増えて行く現代において、外からの刺激は過剰なまでに多く、それに伴い承認欲求も刺激されます。

承認欲求が人類の長い歴史に刻まれた欲求だとすれば、それを完全に捨て去ることは難しいでしょう。であれば、どう付き合っていくかです。

ブッダの教えでは承認欲求を否定せず、まず今の自分を理解することが大切です。判断を入れずにドライに受け止める。この自分を冷静な目で見るというスタンスは、現代に生きる我々にとってとても大切なメンタリティだといえます。

ムダに判断せず、ムダに反応しないことは心をおだやかに保つことにつながります。こうした工夫をするかどうかで、冷静に目の前のことに対処できるかどうかが変わり、仕事においても生産性を大きく左右しかねません。

すぐ動揺する人、すぐに気が散ってしまう人は、小さなことについ反応しがちな人かもしれません。そうならないためのポイントは、自分の感情を冷静に受け止めること。その工夫として目を閉じて、自分の内面に意識を向けることです。自分の「外」ではなく「内」に目を向け、心に穏やかさを取り戻しましょう。

ブッダの教えは2500年前からあったと言われますが、今の時代こそ価値ある教えなのかも知れません。

他人起点のリアクト(反応)ではなく、自分起点のアクト(行動)を増やして、自分の人生の手綱を握って、日々過ごしていきたいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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