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集中できない自分はダメなのか?マインドフルとマインドレスを考えてみた

「ぼーっとしてたらヤバイもうこんな時間…。なぜ集中できないのかな」

こんな気持ちになることがあります。特に仕事で、生産性を高めたいと思いつつ、集中しきれない自分がいたりします。

どうすれば集中力高く行動できるのでしょうか。そもそも、ぼーっとすることは悪い事なのでしょうか。マインドフルネスという言葉が広く使われるようになった今、改めて逆のマインドレスという視点を考えてみます。

マインドフルネスとは

集中力を高めたい時によく使う言葉が「マインドフルネス」です。この言葉の意味は「今、この瞬間に集中する」ということです。

我々は普段の生活の中で「今、この瞬間」になかなか集中できていません。その最大の敵がスマホです。人と会話している時も、食事をしている時も、常に手元にあり、SNSやニュースからひっきりなしにくる通知に振り回されっぱなしです。

そういった外的な刺激をシャットアウトし、「今、この瞬間」に集中するマインドフルネスには様々なメリットがあります。

マインドフルネスの効果
 ・メタ認知機能が発達し客観的に物事を見ることができる
 ・理性的に考えることができる
 ・集中力の向上させられる
 ・不安やストレスを弱めることができる


マインドフルネスの主な手段として広く知られているのが「瞑想」ですが、瞑想をすることで理性を司る前頭前野が活発になり、感情を司る扁桃体の活動が低下すると言われています。感情を抑え、冷静に理性的に思考することができるということです。

マインドレスネスとは

マインドフルネスの反対にあるのが「マインドレスネス」。正直、あまり聞きなじみのない言葉です。マインドフルネスが「今、この瞬間に集中する」であったのに対し、マインドレスネスとはその逆。つまり「注意が散漫な状態、今この瞬間に集中できていない無意識の状態」のこと。

冒頭で紹介していた「ぼーっとしていた」というのが正にこれです。他にも、どうにもならない未来への不安、過去への後悔をついつい考えてしまう時もマインドレスネスと言えます。

例えば「明日の仕事、うまくいくだろうか…」といった不安や、「昨日言った一言で気を悪くしてないかな…」といった後悔、心配などです。心配してもしかたがないことを心配しすぎたり、既に起きてしまった過去について、あれこれ考えてしまうような時のココロの状態です。

この状態では食事をしていても味わっていないし、人と会話していても聞いていなかったりします。「今、この瞬間」にココロがいないので、ぼんやりうわのそらです。正に「マインド」が「レス」している状態と言えます。

マインドフルネスが集中できている状態、マインドレスネスがぼーっと何かの思考に染まっている状態、こう比較すると後者は悪のように感じがちです。しかし、一概にそうではなさそうです。

マインドレスネスの意外なパワー

一見悪者に見えるマインドレスネスですが、実は様々な研究で生産性や創造性を高めたり、問題解決に役に立つことが分かってきています。良い効果が期待できる3つのマインドレスネスについて見てみます。

1 オートパイロット

人は無意識に驚くべきスピードで情報を処理することができます。例えば、初めて会った人を表情や言葉遣い、身振り手振りなどでその人がどんな人か、自分はこの人を信用してよいのかどうか、などを瞬時に判断しています。人が第一印象を決める要素は3つあると言われており、言語情報(話の内容)、聴覚情報(声)、視覚情報(見た目)の3つ。印象に影響を与える割合は以下の通りです。

 言語情報(話の内容)7%
 聴覚情報(声):38%
 視覚情報(見た目):55%

この割合をメラビアンの法則と言います。つまり人は93%の非言語コミュニケーションで相手の印象を評価しているということ。この非言語領域は意識せずに無意識下で感じ取っていると言えます。こうした、無意識にやっている脳の働きをオートパイロット(自動操縦)と言います。

また、マインドワンダリングという言葉があります。これは、心が「今この瞬間」に起こっていることに注意を向けず、目の前の課題とは全く関係のないことを考えて、さまよっている状態のこと。「授業中の落書き」が正にこれです。実は、オートパイロット状態でマインドワンダリングしている時はクリエイティブな発想が生まれやすい瞬間でもあります。つまり、マインドレスネスは創造性を高めるのに役立っているといえます。

2 衝動的な行動

周りを見渡すと「直感で動くタイプの人」っていますよね。衝動的な思いつきによる行動はもちろんリスキーでもあるのですが、うまく行くこともあります。時にそれをラッキーと表現しますが、その人の中では無意識下で脳が思考し、判断のもと動いています。実は経験値が高い人の直観は成功する確率も高いのです。

理屈による説明が難しく、筋書がないように見えて、本人の脳の中では経験則から「これはうまくいくかも」と直感的に判断していたりします。

また、衝動的な行動をとると、その行動そのものを楽しめる様になることが知られています。つまり、余計な詮索や考えを介さず、偏見のない行動がとれます。マインドレスネスな行動は裏表がなく、損得ではない率直な行動であり、周りから誠実さを感じるといった側面もあります。

3 マインドレスな決断

単純な選択をする場合、論理的に考えた方が後々振り返って正しい結論が導き出せることが多いです。一方で、複雑な決断が必要な時には、まず意識下で情報を集めた後、一旦思考を中断することが望ましいと言われています。言い換えると、「一旦寝かせる」ということ。「意識的思考」と「無意識の思考」の両方を活用すると複雑な問題に対しても対処しやすいと言えます。

これはジェームス W.ヤングの著書、「アイデアのつくり方」でも同様のステップが登場します。

「アイデアやひらめきはどうやって生まれるか?」についてこの本では4つの段階から生まれると説きます。

 第1段階:データを集める準備段階
 第2段階:データを組み合わせる段階
 第3段階:無意識・潜在意識に任せる段階
 第4段階:アイデアが生まれるのを待つ段階

注目はこの第3段階の「無意識・潜在意識に任せる」。これはつまり「考えるのをやめる」ということ。本の中では「孵化(ふか)」という言葉で表現されていますが、一旦第2段階までやって、アイデアを考え抜いたら、その後一旦その事から離れるのが良いといいます。「ぼーっ」と映画を見たり、とにかく別のことをする。そうすることで、頭の中の情報が無意識下で有機的につながり、新しいアイデアのひらめきにつながるといいます。

まとめ

今は「生産性」という言葉が重視され、そのためにいかに目の前の事に集中すべきかという「マインドフル」であることを常に求められる世の中と言えます。

一方で、その対極にある「マンドレス」という状態は、一見集中力散漫な良くない状態と思われがちですが、実は無意識下で脳の働きを活かすメリットがあります。特にクリエイティブなアイデアや複雑な問題解決、判断が求められる人にとっては、マインドレスネスが持つ3つのパワーをうまく活用することで、より高いパフォーマンスを発揮できるかもしれません。

これは知っていなければ、そういう発想に至りません。「ぼーっとする」のには効果があると分かれば、それを活用するかどうかは意識の問題であり、言い換えれば「ぼっーっとするスキル」とも言えます。

瞑想などのマインドフルネスだけではなく、改めてマインドレスネスの効果にも着目してみてはいかがでしょうか。脳の可能性を今まで以上に引き出せるかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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