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いろんなテーマのコラム

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毎回いろんなテーマを据えてコラムにしています。
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#小説

【青春音楽小説の感想】藤谷 治『船に乗れ! (1) 合奏と協奏』

本屋大賞ノミネートの作品。三部作の第一巻。

個人的な趣味(クラシックピアノ、吹奏楽でトランペットの経験がある)との合致点が多かったからかとても面白く読んだ。

まず設定が好き。本作は青春音楽小説と銘打たれている通り、主人公は(三流)音楽高校の生徒なのだが、東京芸大付属高校に合格しかけるほどチェリストとしての腕があり、音楽への知識も深い。

筆者ご自身、実際に青春時代を音楽高校で過ごしていたからだ

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4月1日(水)パラレルワールド行きの切符

4月1日(水)パラレルワールド行きの切符

パラレルワールドに行くのは難しそうに思えて意外な程に簡単である。実践にあたっての感覚を掴めるまでに私は半年から一年ほど掛かったが、せっかく習得した技を独占しておいてももったいないのでこの機会に方法をまとめてみるとする。

まずパラレルワールドとは何であるかという話になってくるが、私の貧弱なSF知識で解釈するに「いま自分がいる世界とは別の、並行(パラレル)に存在する世界」のことである。私の理解では、

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3月23日(月)物語が心に運ぶもの

3月23日(月)物語が心に運ぶもの

困ったときは、よく歌うようにしています。特に『サウンド・オブ・ミュージック』の曲は、歌っていると視界の遠くにスイスの山々が見えるようで、気分がすっきりします。

ミュージカルや映画などの歌曲って、歌詞に物語が付随しているのが良いところだな、と思います。自分が今いる世界や自分自身の心情とは別の、舞台や映画で描かれた物語の中にいる人物の心情として歌えるので、その間は頭の中のことなんて忘れてしまいます。

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1月25日(土)自分のために書いて、自分のために生きる

文章を書く動機は人それぞれだとして、近頃の自分は「誰かのため」を想定しすぎていた。自分の言葉で誰かの心が軽くなったら本当に素敵なことだけど、じゃあ、自分は?自分の心は軽くなってる?というと、全然、なってなかった。

読まれるためのタイトルを、みんなが知りたい内容を、共感されそうなエピソードを、誰も知らない世界の話を、書いても書いても自分の心は軽くはならず、どんどん漬物石に押し潰されるみたいになって

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谷崎潤一郎『文章読本』と、今日の日記 0806

谷崎潤一郎『文章読本』と、今日の日記 0806

谷崎潤一郎氏の『文章読本』をここ暫くちまちまと読んでいる。文章の書き方を「〜なのであります」調で平易に記した本で、為になり、無駄の無い文章は桁違いに上手く、且つたまに「ひ〜細か〜〜〜変なこと考える人やな〜」と普通にウケてしまうので読んでいて楽しい。文例として源氏物語や漢文を引用することもあり、国語の授業をきちんと聞いていたかどうかが問われるが、飛ばして読んでも理解は十分可能である。

谷崎先生の指

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私の闘病体験談 | 線維筋痛症、筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)について | 症状、治療法の情報サイトをまとめました | 周りに病気の人がいたら

私の闘病体験談 | 線維筋痛症、筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)について | 症状、治療法の情報サイトをまとめました | 周りに病気の人がいたら

■いつもの読者様へいつもブログを読んでいただきありがとうございます。兼ねてから私の持病の解説を記事にしてこのブログに投稿していましたが、今回もまた新規読者の方向けに、病気関連のお話を書きます。既にご存知の方は読み飛ばしていただいても大丈夫です。これまでいくつか書いてきた病気情報の記事は、私体験に基づく内容や医療的に確証が取りにくい情報が入り混じっていました。繊細な題材を扱う上で、情報発信の形として

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生き方|それでも君は前を向く

生き方|それでも君は前を向く

悲しみはいつも突然やってくる。努めて笑っていても、他のことを考えていても、ほろほろっと泣けてくる。涙が出る。そうしたらもう悲劇のショーの始まりだ。こんな自分は好きじゃない。

本当はずっと前から悲しいのだ。記憶の最初っから、悲しくて、苦しくて、傷付いて、平気な顔をして、今がある。情けない私は情けないほどに傷つきやすく、ちょっとしたことで秘密の箱が開いてしまう。記憶の切れっ端が、フィルムの破片が、溢

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創作と愛|書くことについて書く

創作と愛|書くことについて書く

(2017年11月30日執筆)

近頃あまり書けていないので、今日は思いつくままつれづれ書いてみる。

歌うことについて歌う歌があるように、書くことについて書いた書があっても良いのかもしれない。

そもそも私はなぜ書くことにしたのだろうかと立ち返ってみる。休職中の病身ではどうしても孤独に飲まれてしまいそうになるが、自分の孤独を癒すために書くのではない。人のために書くと決めたのだ。

私が書く大した

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