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4月1日(水)パラレルワールド行きの切符

パラレルワールドに行くのは難しそうに思えて意外な程に簡単である。実践にあたっての感覚を掴めるまでに私は半年から一年ほど掛かったが、せっかく習得した技を独占しておいてももったいないのでこの機会に方法をまとめてみるとする。


まずパラレルワールドとは何であるかという話になってくるが、私の貧弱なSF知識で解釈するに「いま自分がいる世界とは別の、並行(パラレル)に存在する世界」のことである。私の理解では、このパラレルワールドというやつは現世界と比較した時に全くの異世界ではないところが面白みのミソで、今の自分が暮らしている世界と限りなく似ているにも関わらず、様々な出来事の積み重ねのズレで今とは微妙に異なる仕上がりになるらしい。が、パラレルワールドに関しては門外漢以外の何者でもなく、さほど上手く説明できないことにも今しがた気付いたため、なんじゃそれ意味がわからんという方にはおググり奉り戴きたく候。


そんなパラレルワールドだが、渡航にはまず情報の遮断が必須となる。公道沿いの家に住んでいる場合なんかは道路側の窓やカーテンを締め切り行動範囲を限定することで物理的な情報を遮断する必要があるし、スマートフォンやPC、テレビ、ラジオなどのデジタル端末はすべて消すことが求められる。


一見面倒なようだが、ここまでやってしまえればもうパラレルワールドに到着したも同然だ。はっきり言ってパラレルワールドへは気持ち一つで行けるのだ。「今この瞬間、私はパラレルワールドにいる!」と思ったらそこはもうパラレルワールドである。大切なのは思い込みの強さ、ただそれだけだ。


とはいえ何か移動装置的なものがないと雰囲気が掴めないという人は、目を閉じ耳を塞ぎ、その他お好みに応じて余っている感覚をすべて遮断し、1.2.3.4.5...と、十数えた後に目を開ければそこはもうパラレルワールドである。ここは静かな町、いつも同じ朝、みんな目を覚まして呼びかける……と、美女と野獣の例の名曲などを歌って、「ここは平凡で平和だけどどこか退屈な町…」などとファンタジー要素を演出しても良い。


パラレルワールドで過ごす時は、過去に発行された本や雑誌、もしくは過去に撮影された映画やテレビ番組など、自分が向こう側の世界に残してきたものとは無関係の作品に触れると、こちら側の世界に浸って自分好みの一日を過ごすことができる。


とはいえパラレルワールドにずっと滞在するわけにはいかず、あくまで往復きっぷをお持ちの方に限り渡航が許可されることをご理解戴く必要があるのだが、こういったくだらない息抜きの一つや二つ、切り札に持っておいた方がいい。切符だけにきっぷがいい。なんて、これまたおあとがよろしいようで。



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