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読みおわった本

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なにかしらの本を読了したときの日記
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#おすすめ本

読書日記|0306-0312

読書日記|0306-0312

20230306 晴れ
きょうも休み。パンを作ろうかと思っていたのに強力粉がない。買いにいけばいいものを、なんかもういいや、となり、やめた。休みの日は頑なに家から出たくない。窓を全開にし、陽の光を浴びながら、ひかりさんに教えていただいた横光利一の『花園の思想』を読む。はじまりから終わりまでずっと、もうほんとうにずっと、ず〜っと美しくて、なんなんだこれは、という状態。白く発光したような文字が並ぶ、こ

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読書日記|20230220-26

読書日記|20230220-26

0220
昼休み、『トワイライトⅢ-下』を読み、午後からは心のうちでほぼキレていた。

しかし仕事は楽しい。私は私のままでいてもいい、と、そう思わせてもらえるのは、まわりの人の優しさによるものなので、そういうこと、忘れずにいたい。帰宅後、残りの数ページを読み、なんかもう、もう知らん。こんなにも主人公を嫌いになることはとても稀なことで、といいながらも、オースティンのエマの主人公も嫌いだったな、と思っ

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20220727|ことばの途上

20220727|ことばの途上

晴れ

朝、酵素ドリンクをのみながら『ことばの途上』を読みおえる。おにぎりを拵え、仕事へと向かう。とても慌ただしく、一向にやらなければいけない仕事が終わらないという状況が退勤時間ギリギリまで続き、解せぬ、という具合。がしかし、そういう日もあるわけで、そういう日があるからこそ、誰かのやさしさに触れることができるのであって、一人では生きていけないなんて、わかっているはずなのにね、と帰りの車内で思ったり

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20220704、05|ここで唐揚げ弁当を食べないでください

20220704、05|ここで唐揚げ弁当を食べないでください

20220704|朝から雨

セミの声は聞こえるし、カブトムシは甘ったるい匂いのするゼリーのなかに体ごと浸っている。あのかたい背中もひょっとして甘い匂いになっていたりしないかなんてばかなことを考えながら、雨の音は、記憶を遠い過去へと連れていき、どうすることもできないものだけを残してどこかへ消えた。あのひとは、きょうも誰かをおもって、すこし死んだりしながら息をして、いつまでも消えない悲しみに絶望して

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20220619|頁をめくる音で息をする

20220619|頁をめくる音で息をする

開店時間は23時、尾道にある古本屋弐捨dBを営む店主(中原中也への情熱が凄い)のエッセイと日記が綴られた一冊。彼の目にうつるもの、触れるもの、心かよわすもの、それらの日々の真ん中に、なんの違和感もなく自然とあらゆる詩が存在する。時に棘のような鋭さを露わにし、あるいは噛み付くような刃をも隠さず、しかし読むものの心は、瞬く間に奪われ、彼の切実な思いに涙ぐむ。

終いには、自分の吐く言葉のすべてが嘘くさ

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往復書簡#1『月金帳』|女ふたり、読んでいます。

往復書簡#1『月金帳』|女ふたり、読んでいます。

火曜日の朝、こちらは雨。

家のなかは青白く、静けさを纏い、なんともいえないよそよそしさ。この雨で、心配事のひとつ、アナベル(紫陽花)がきちんと根付いてくれたらいいのにと淡い期待を寄せています。

そんな静かな朝に『月金帳』は読みおえられました。身のまわりに起こる、あるいは意識にものぼらないぼんやりと視点をうつした先に存在するもの、それらをあるがままの飾らない言葉で綴られた書簡たちは、さざなみのよ

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20211112|ぶらんこ乗り

20211112|ぶらんこ乗り

寝るまえにすこしずつ読もうと決めていたのに、気づけば読みおわっていた。今まで読んできた本のなかで、まちがいなく、ぶっちぎりで何度も読みかえしている本であり、読書から離れていた私をグッと引き戻してくれた本でもある。

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