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新時代の「JAPAN JAM」、その奇跡の3日間を僕はこう観た

【5/4(土)〜6(月)「JAPAN JAM 2019」@千葉市蘇我スポーツ公園】

夏の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」。

年末の「COUNTDOWN JAPAN」。

そして、ロッキング・オンが届ける"第3のフェス"、それが春の「JAPAN JAM」だ。

富士スピードウェイ、幕張メッセ、新木場スタジオコースト、幕張海浜公園。開催地を点々としながら試行錯誤を繰り返してきた「JAPAN JAM」は、2017年、ついに、フェス会場としての絶大的なポテンシャルを秘めた蘇我スポーツ公園に辿り着いた。

駅から徒歩約8分の場所に位置し、3万人以上を容易に収容するステージを3つ併設可能。そしてなんと、それらのステージ間の移動は最短で10秒。

その快適さ/開放感は、それまでの常識では考えられないものだった。同フェスが謳う「野外フェス革命」という言葉に、嘘偽りはない。

そして、蘇我スポーツ公園に場所を移して3回目の開催となった今年の「JAPAN JAM」は、2017年、2018年の経験をもとに改善を重ね、ついには、野外フェスの「答え」に至ったと言っても過言ではない。

まるで、それを証明するかのようにして、3日程中、2日程がソールドアウトに。2009年の初開催からの今回の開催に至るまで。その10年間の歩みが、今年、一つの結実を見せたのだ。

そんな記念すべき10回目を迎えた「JAPAN JAM」に起きた数々の奇跡を、ハイライト形式で振り返っていきたい。



5/4(土)

17:15~ SKY STAGE
UNISON SQUARE GARDEN

ロックが求心力を失いつつある時代において、ロックバンドとしての正しい在り方を懸命に体現し続けている3人組、それがUNISON SQUARE GARDENだ。

ただひたすらに、僕たちが求める曲を、僕たちの予想を上回るクオリティで提示して、そして、僕たちの心を最大限に満たすライブをする。

そのストイックで誠実な姿勢こそが、僕たちに純粋な音楽的興奮をもたらしてくれるのだ。

今回のステージを観て、その「正しさ」を改めて痛感した。

ラストに披露されたのは、今や10年代のロックシーンを代表する楽曲となった"シュガーソングとビターステップ"。

イントロが鳴った瞬間に生まれる会場の一体感。そして、そこに集まった名前も知らない参加者同士で、同じ歓びや興奮、感動を共にする唯一無二の体験。

まさに、アンセムの魔法だ。

そう、フェスの奇跡は、起きるべくして起きるのだ。


18:00~ LOTUS STAGE
Aimer

静謐にして、深淵。

そして、心が洗われるほどに清廉。

一日中、熱気で満たされていた会場の空気を、彼女の「声」は一瞬にして変えた。

どこまでも晴れやかで、果てしなく鮮やかなダンスフィーリングを響かせてみせた"One"。

巡り巡る情念を、激しく躍動する4つ打ちのリズムにのせて昇華させた、混沌のロックチューン"I beg you"。

ポップサイドとダークサイドを自由に往来しながら、Aimerは「歌」の可能性を、謙虚に、そして真摯に、僕たちに提示してくれた。

ラストの"蝶々結び"が披露された時には、日はすっかり落ち切っていた。

Aimerには、闇夜のステージがよく似合う。

息を飲むほどに、美しい時間だった。


18:55~ SKY STAGE
10-FEET

アンコールなしの一本勝負。

百戦錬磨のライブバンドである3人は、今日も「最後のつもり」という壮絶な覚悟を持って、この日のステージに臨んだ。

汗と笑顔と涙、つまりは、人間味ダダ漏れの10-FEETのライブにおいては、僕たち参加者だって、ただの傍観者ではいられない。

「余裕の見せ合いなんてせんと、ムキになってかかってこい。」

「死ぬまで思いっ切り生きろよ。」

不器用なりに優しく、情けないくらい真っ直ぐな10-FEETの音楽は、あの会場に集まった参加者を誰一人拒みはせずに、ギュッと包み込み、そして、力強く肯定してくれた。

最後にTAKUMAは、こう叫んだ。

「1日でも長く生きて、1本でも多くライブしような。」

今年の「京都大作戦」のリベンジにも期待したい。



5/5(日)

18:00~ LOTUS STAGE
ゲスの極み乙女。

J-POP、ロック、クラシック、ジャズ、エレクトロ、ベースミュージック。

もはや、ミクスチャーという言葉でさえも括り切れないほど「カオス」な響きを放つ彼らの音楽は、まさに「ゲスの極み乙女。」という全く新しい音楽ジャンルを打ち立ててしまったと言っても過言ではない。

こんなにも「歪」なポップが、何万もの人々に熱狂をもってして受け入れられている光景は、やはり何度観ても心を震わせられる。

そして、川谷絵音、休日課長、ちゃんMARI、ほな・いこか、4人それぞれの超絶技巧は、やはりライブにおいて真価を発揮する。

クールで理知的な佇まいを感じさせる彼らの楽曲が、少しずつ熱を帯びていき、最後には、観客を巻き込みながら華々しく花開いていく。

ゲス極流・カオスポップの真髄とも言える"キラーボール"、この曲がラストに放たれた時の狂騒は、本当に凄まじかった。


18:55~ SKY STAGE
[ALEXANDROS]

彼らがステージに登場した瞬間、その「王者の風格」に圧倒されてしまった。

オーラ/佇まいのみにおいて、「ロック」の真髄を感じさせてしまう[ALEXANDROS]は、やはり現在の音楽シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。

今回、療養中の庄村聡泰に代わってドラムを務めたのは、盟友のリアド偉武(BIGMAMA)。揺らぎや綻びを感じさせることのない堂々たるステージだった。そう、ロックバンドは、逆境の中でこそ輝くのだ。

ハイライトとなったのは、やはり、現時点での最新アルバム『Sleepless in Brooklyn』の楽曲たちだった。

切なさと憂いを秘めたギターアンサンブルが、美しく鮮烈な光を放つ"アルペジオ"。

大きく翼を広げたようなメロディに「ロック」へのロマンを託した、まさに会心の一撃、"Mosquito Bite"。

海外で積み重ねてきたトライ&エラーが、完全に血肉化されていると言えるだろう。

そして、ライブ初披露となった新曲"Pray"。

透徹なサウンドスケープの中に響く、真摯な祈りの言葉たち。その美しさに、思わず息を飲んだ。

[ALEXANDROS]の壮絶な「新章」を予感させる、素晴らしいアクトだった。



5/6(月)

17:15~ SKY STAGE
UVERworld

彼らは、フェスの戦い方をよく知っている。

目の前の「あなた」との出会い。それが、もう二度と訪れないかもしれないことを、痛いほど分かっている。

だからこそ、フェスにおける彼らのアクトは、いつだって一度きりの真剣勝負だ。

意外と思われるかもしれないが、UVERworldがロッキング・オン主催のフェスに出演するようになったのは、今からたった4年前のことだ。

6人は、それら一つずつのステージに全身全霊で臨み、まるでオセロの石を返すかのようにして、一人ずつ支持者を増やしてきた。

その結果が、この日の超満員のSKY STAGEだ。

この日、UVERworldと初めて出会った「あなた」の心にも、きっと消せない記憶が刻まれたはずだ。


18:55~ SKY STAGE
ASIAN KUNG-FU GENERATION

「自由に楽しんで!」

ライブ冒頭、ゴッチは高らかにそう告げた。

誰かに迎合する必要も、無理する必要もない。音楽の楽しみ方を決めるのは、いつだって、他でもない自分自身だ。

長年にわたりフェスカルチャーを牽引してきた彼らが、既存の枠組みに囚われることなく、常に新しいフェスの楽しみ方を提案し続けてくれている。その姿勢に、心を動かされた人は多いはずだ。

イントロが鳴った瞬間、両手を上げて歓びを表現する人もいれば、軽やかなステップを踏み出す人、静かに肩を揺らしながら、一つひとつの言葉を噛みしめる人もいる。

それら全ての音楽の受け取り方が、等しく正しく、同じように輝かしい。

"荒野を歩け"は、まさに、新しい時代のフェスアンセムとして燦々と鳴り響いていた。その光景は、本当に感動的だった。

アンコールで披露されたのは、まさに今月リリース予定の新曲"解放区/Liberation Zone"。

新しい時代の幕開けに、こんなにも晴れやかなビジョンを描いてくれる楽曲と出会えたことが、何よりも嬉しく、誇らしい。



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