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ともみの部屋 #2

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伊佐知美の、世界一周の旅とエッセイ。2016年10月〜
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#沖縄

「後ろめたくない私」でいることが、旅と移動の最低限の準備 #清潔のマイルール

「後ろめたくない私」でいることが、旅と移動の最低限の準備 #清潔のマイルール

世界が突然変わった、2020年冬のことコロナが始まった頃、なんて、もう随分と昔な気がしてしまうけれど、あれは2020年冬のこと。いまからちょうど、3年ほど前の出来事だ。

それまで、国から国へ、街から街へ、固定の住まいを持たずに、気分や季節に合わせて移動する「旅暮らし」を満喫していた私は、「その日の気分で国境をまたげなくなった」「それどころか、県境、町境、いや、友だちの家においそれと遊びに行く『敷

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旅と日常が循環するライフスタイルホテル「MEGURU|巡」へ【沖縄県石垣島・川平湾】

旅と日常が循環するライフスタイルホテル「MEGURU|巡」へ【沖縄県石垣島・川平湾】

2泊3日を過ごした石垣島川平湾の「MEGURU | 巡(以下、MEGURU)」を離れる時、まだまだやりたいことも、見たい景色も、感じたい風もあったのに、どうしてだか満たされた気がして、不思議な気持ちで車に乗って石垣の港を目指した。

朝起きて、沖縄の風景を思わせるカーテンを開け、海風を誘うために窓を開けたこと。音楽を聞こうと準備をするときに、Spotifyをポチり、ではなく、ラジカセにテープを入れ

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デザイン留学のあたふた合間日記 in 沖縄・首里【#モンアカ 1week】

デザイン留学のあたふた合間日記 in 沖縄・首里【#モンアカ 1week】

念願だった「モンスター・アカデミア」のデザイン留学も始まることだし、色々ほかに考えたいこと、一人で落ち着いてやりたいこともあるし(東京の自宅では、パートナーと保護猫2匹との4人?暮らしだ)、6月の多くの日々は、大好きな沖縄で一人で過ごそう、と決めてやってきてから、早今日で11日目となるらしい。

来る前は、沖縄では毎日noteを書こうと思っていた。できたら朝は早く起きてヨガをして、白湯を飲んで、お

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35歳、今にふさわしい選択肢を、もう一度選び直す

35歳、今にふさわしい選択肢を、もう一度選び直す

この数年、私が考えていたことは、永遠だと信じていたものも、結構変わっていくんだな、ということ。それは、たとえば心から愛したと勘違いした人でもいつかは別れが来る、とか、信じていたのに裏切られた、とか、そういう少し切なさを含む類のものではなくて、もっと朗らかで、爽やかで、未来にたくさんの希望が持てるもの。

たとえば、ずうっと旅を続けると思っていたのに、その頻度やスタイルは変わっていくということを、受

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はじまりの合図を、離島の海の端で聞いた【沖縄県・渡嘉敷島】

はじまりの合図を、離島の海の端で聞いた【沖縄県・渡嘉敷島】

飛行機の窓の向こう。遠くの空と海の境に、愛しい島が見えた。青い空、青い海。この深さ、知っている。肩の力がふっと抜けて、少しだけ軽くなった気がした。

ヨガをするときは、まず目を閉じて、呼吸を整え、それから身体を伸ばしていく。そして、すかさずインストラクターは言うのだ。「できたら、奥歯の噛み締めを、ゆっくりとほどいて」。

言われるまで、奥歯に力が入っていたことに気づいてすらいなくて、それに驚いたこ

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ジェルネイルを辞めた分、軽くなった夏と秋のあいだの夜に

ジェルネイルを辞めた分、軽くなった夏と秋のあいだの夜に

夕暮れを見届けたあと、すこしだけ歩こう、と思って海沿いを進んだ。日が沈むと沖縄の夏は秋にすぐに向かっていく。東京よりも涼しい夏の夜なのではないかな、とワンピースの裾はためかせて確かめる。

月に一度、通い続けているジェルネイルサロンに寄ることを、仕事終わりにさっき決めた。

世界旅行をしていたときに、必ず塗っていた爪の先。なんとなく面倒くさくて、何よりもサロンに通い続ける、ということがあまり性に合

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「この土地、この季節から逃げない」という選択の自由さを

「この土地、この季節から逃げない」という選択の自由さを

カラン、と音を立てて、横開きの雨戸を開けて店の中に入る。海沿いの読谷村において、まるで森のなかにいるようなカフェ「Bloom Coffee Okinawa」。まだこの町(正確には村である)で暮らしていなかった時代に、それでもやっぱり惹かれて、時おりコーヒーを買いに来ていた場所である。

朝起きて、今日はアポイントが夜しかない、と改めて考える。こういう日は、意図的に予定を入れていない「原稿締切day

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2020年にやってきたこと、12月9日の夜に

2020年にやってきたこと、12月9日の夜に

日記のような、私との対話を書きたいと思った。12月9日(水)の夜22:52。

昨日、乗っていた車にエンジンをかけようと思ったら、エンジンがかからなかった。ガソリンがないのか、バッテリーが上がってしまったのか、はたまたとっても古い車だったので、突然動かなくなった、ということもあり得そうだな、と車にさして詳しくもない頭で思う。

冬に差し掛かった沖縄、雨がやまない、風も強い、そんな日の昼間に、誰も食

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「歩いていきたい日々」を、自覚することから全ては始まる #沖縄移住日記

「歩いていきたい日々」を、自覚することから全ては始まる #沖縄移住日記

目が覚めて、窓の外から射す光を確認する日々が、ずうっと続くと思っていたのに、どうやら南の島々にも冬のかけらというものは到達するようで、私はカーテンを開けて、今日も沖縄が厚い雲に覆われていることを知る。

けれど問題は、あなたがここに居ないことだった。ずうっと居ないなら、それでいいのに、たまに居るから、「居ない」が空白のように思える。

大丈夫、でも私は、「ひとり」が得意。「ひとり」がないと、「わた

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旅と日常が混在するこの島は、私が欲しい未来がぜんぶ詰まってる気がして

旅と日常が混在するこの島は、私が欲しい未来がぜんぶ詰まってる気がして

何もなかった真っ白な部屋。

日を追うごとに少しずつ、それこそ小さな鳥が、巣作りのための枝や藁みたいな何やかんやを、くちばしに咥えて運ぶごとく、私は自分で言うけどこの細腕で、両手いっぱい持てる限りの荷物を、毎度まいど、この部屋まで運んで暮らした。

朝陽が昇って、風が吹いて、海がきらめき、雲が流れ、波は揺れ、そしてそのうちに夕陽が暮れゆき、その隣で月が昇って、そして星が瞬くような、そんなリズム。

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日本の南の島・沖縄で暮らし始めた日々を写真で残すこと

日本の南の島・沖縄で暮らし始めた日々を写真で残すこと

写真を撮るのが楽しい、と感じるようになったのは、いつからだったかもう覚えていない。

世界の美しさや、日常の尊さを残すのなら、イラストでも、動画でも、洋服を作るのでも、料理に投影するのでも、ほかに方法がいくらでもあったのに。

写真、という形がすき。ファインダーを覗く前に、心が動いた瞬間を、いまや目に染み付いた「画角」で切り取る。そしてファインダーを覗いて、もう一度「世界を再発見」するのだ。

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