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旅と日常が混在するこの島は、私が欲しい未来がぜんぶ詰まってる気がして

何もなかった真っ白な部屋。

日を追うごとに少しずつ、それこそ小さな鳥が、巣作りのための枝や藁みたいな何やかんやを、くちばしに咥えて運ぶごとく、私は自分で言うけどこの細腕で、両手いっぱい持てる限りの荷物を、毎度まいど、この部屋まで運んで暮らした。

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朝陽が昇って、風が吹いて、海がきらめき、雲が流れ、波は揺れ、そしてそのうちに夕陽が暮れゆき、その隣で月が昇って、そして星が瞬くような、そんなリズム。

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「海の近くで、真白な壁の家、少し小高い、丘の上。できれば風がよく通り抜けて、白いリネンのカーテンが三面採光、いつだって揺れ、願わくば焼きたてのパンと好みのコーヒーがいつも手に入るような」

沖縄。どちらかといえば、灯台下暗しというか、近すぎて選択肢にすら入っていなかった、けれど振り返れば愛して止まなかった日本の島に、2020年夏の終わり、引っ越すことを決めて。

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今まで言い張ってきた、「自然の近くで暮らすために移住をするなら、できれば二段階移住=まずはシティに、そのあとにさらに田舎へ。その方が、齟齬が少ないし、暮らしのギャップも減らせるし、何より『フィットする場所を選べる』」の法則に則って、私は最初に那覇市は首里に、そしてそのあとに、いま暮らす、この日本で一番人口の多い村・読谷村に移ってきた私。

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そしてこの部屋で海と空、さとうきびに囲まれて、今日1ヶ月と少しの時間が経ち。慌ただしく過ごした数ヶ月を後ろ手に、ふぅ、と深呼吸をした今夜。

窓を開けて、空気を入れ替える。心の中まで、そうするように、進んできた、気がして。

モノを持たずに、スーツケース一つで世界と日本中を旅する、というライフスタイルを選んだ私が、「部屋を持つ」という覚悟と、そこにかける労力、そして実際の資金的なものは、なかなかに堪えるものがあったけれど、それはまた別で話そう(笑)。

だって、本当にPCとカメラ、少しの衣類と花瓶くらいしか持っていなくて、洗濯機や冷蔵庫はもちろん、椅子の一つも机のかけらも、洗濯ばさみもフライパンも、なかったのよ、私

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2020年というときは、誰しもの心と体、日々の過ごし方に、影響を与えた。与えている。

例に違わず私もそうで、何もしなかったようで、できなかったようで、それでも少しずつ未来を考えて、いま動かねば、と半ば背水の陣のように。けれどこれは、どうしてだかずうっと前から決まっていたことのような「馴染み」と「運命」すら。

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旅の仕事を断念し、それも決まっていたことかのように、今までよりもさらに「場所を問わない仕事」を突き詰め、手放し、つくり。恋人と道を分かち、東京の家を解約し、そして新しい「大切」を抱きしめて。

「止まる」をしたかった、2019年4月から2020年夏の終わりまで。自分では、もう「止まれ」なかった。旅が好き、愛してるを突き詰めたい、いっそ行けるところまで、周りなんて知らない、発信をして、発信をして。

けれど、「これが私がしたかったことなのだろうか」。ありがたいことに仕事もいただけて、恋だってきっと上手くいってた、何処へでだって行けて、行けばいくほどに、また私は……。

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「止まりたかった」の。もしかしたら「留まりたかった」のかもしれない。私が私を生きるため、もう一度暮らしと未来を「創る」ために。帰りたい、帰る場所、私が私を、愛してあげられる。そしてまた、世界と日々を。

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旅と、日々と、沖縄と。さぁ始めましょうか、34歳、好き勝手に生きてきた、その次のステージ。2021年を迎えるまで、カウントダウンが始まっている心持ち。けれど大丈夫、まだあと25日もあるのだから。

間に合う。毎日とことばを、紡いでゆきたいのなら、いま。

▽お知らせ
沖縄をメイン拠点としたデュアルライフ暮らしについて、2020年12月7日発売の、「表現」と「表現する人の想い」をお届けするカメラとトラベルのライフスタイルマガジン『GENIC』さんに取材いただきました。

「旅するように暮らす」で4ページ、別冊「NikonZシリーズで広がる表現の世界」などで掲載いただいています。

雑誌タイトルは「100人の旅という表現」。本当に、ほんとうに素敵な特集の1冊だなぁと思います。ぜひ、手元に紙の本で1冊。部屋にあるだけで、そこにまるで窓ができたような、風があたたかく吹く本です。よかったら、のぞいてみてくださいね。

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