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いちにち・いちとおこ

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日記のようなブログのようなエッセイのようなコラムのような。恋愛のことや、結婚のことや、助平なことや、時に真面目なジェンダーのことなどが、主な関心事。
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#コンテンツ会議

人間関係に抱えていた違和感が腑に落ちた。『安心社会から信頼社会へ-日本型システムの行方』

『安心社会から信頼社会へ-日本型システムの行方』山岸俊男、中央公論社、1999年

はじめに この本を読んだのは、勝手に尊敬している山口一男先生が、山岸先生が亡くなられた時に発表した追悼文をたまたま読み、初めて(山口先生と山岸先生は親しかったんだ!)と知って驚いたから。そして山岸先生はわたしが北大に在学していた時、同じ学科のお隣の講座の教授だったのである。社会心理学の講座だった。

 在学中に山岸

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名画の画家たちを勝手に「付き合いたい順」でランキングしてみた。

名画の画家たちを勝手に「付き合いたい順」でランキングしてみた。

 先日お仕事で名画作品のプロフィールを調べてまとめるというのをやって、何名かの画家たちの作品を100作品超調べて書いた。面白くてかつとても疲れる仕事だったんだけれども、その疲れのうちの何割かは(えええー……こんな男とは絶対付き合えない……無理!)というげんなりした感想だったので、そのことについて書いてみたい。(え……ちょ、かっこいい……)もありましたけど。

 勿論大急ぎでざざざーっとやる必要のあ

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心の中の熱い思いと、前に向かう冷徹な目と。「働き方の男女不平等」

心の中の熱い思いと、前に向かう冷徹な目と。「働き方の男女不平等」

「働き方の男女不平等-理論と実証分析」
山口一男、日本経済新聞出版社2017

 わたしの仕事は「結婚」と「婚活」である。

 そう公言していると(仕方のないことではあるが)割と勘違いされることもあって、「結婚を増やしたいんだろう」とか「独身者に結婚を勧めたいんだろう」という前提からコメントをいただいたりもする。

 正確に言うとわたしの思いは「結婚するなら幸せになって欲しい」「結婚は幸せとも限ら

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女子をエンパワーメントする映画、か?あれ?ううん?だけど。「へルタースケルター」

女子をエンパワーメントする映画、か?あれ?ううん?だけど。「へルタースケルター」

 ツイッターでフォローしてくださっている方から「女性のエンパワーメントがテーマの邦画、なにかおススメはないでしょうか?」という問いかけをいただいたので、おおお、ううーん、と思って朝の身支度をしながらつらつら考えた。映画はそれほど観ないし最近田舎にいるのでさらに観てないし、そもそもわたしのフェイバリット映画がデレク・ジャーマン監督の「カラヴァッジオ」という嗜好なので(札幌のシアター・キノと東京のアッ

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女子へのおススメ参考文献【ケッコン版】

女子へのおススメ参考文献【ケッコン版】

ここでは、わたしがこれでベンキョウしました&結婚を考える女子の皆さまへ是非おススメしたい、そんな本をいくつか、ご紹介します!

私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな
ジェーン・スー/2013/ポプラ社

「アラフォーの星」と勝手にお呼びしているジェーン・スーさんの処女作。30代女子の基本書だなあと思います。「シングル・イズ・ジャンキー」とこの中で結論付けたジェーンさんは現在ま

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書く場所の話。note がなぜ好きかっていうこと。

書く場所の話。note がなぜ好きかっていうこと。

 今年の2月に note を始めた。登録したのはもっと前だったけれども、使い方がよく分からなくて周囲をうろうろしていた感じで、半年だか1年くらいはアカウントを作りっぱなしのままだったように思う。始めてからは主にエッセイを書いていて、小説は昔の作品をちょっと手直ししたものとか、その程度のアップしかしていなかった。

 来年はもう少し小説を書いてみたいと思っている。小説については以前の稿で少しだけ言及

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コンサバアラサー女子は、気をつけないと搾取される。「CLASSY」孝。

 一か月ほど前、美容院に行ったら前に置かれた雑誌のひとつが CLASSY だった。この雑誌のターゲット層はどのへんなのかな、と思ってぱらぱらと誌面を見ると、コンサバティブなファッションを好む20代後半から30代くらいをメインターゲットにしている雑誌なんだな、と理解した。わたしはもうその年齢集団から上半身くらいは抜け出しているし、その時着ていた服もスウェット素材のメンズライクなトレーナーに迷彩柄のス

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わたしたちの生きる場所。わたしたちの生きる時間。「廻り神楽」

『神楽が来れば、春はもうすぐなのす』

 岩手県宮古市山口の黒森神社を本拠地に、340年以上もの長い間、陸中沿岸の人びとの篤い信仰を集めてきた「黒森神楽」。年に一度春になると、黒森山の神様「権現様」が獅子頭に移り、山を降りる。一年おきに交互に行われる、山口から久慈市まで北上する「北回り」、釜石市までを南下する「南回り」の巡行。神楽衆は権現様を携え、家々の庭先で権現舞を舞い、夜は「神楽宿」と呼ばれる

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受注者になりたいなら、発注者になってみるといいと思う。

 先日偶然、末吉宏臣さんの note から、末吉さんと幻冬舎の箕輪厚介さんのラジオ番組「未来の作家のカタチ」に飛んだ。第1回と第2回しかまだ聴いていないけれども、(ああ、面白いな)と思った。お二人は本づくりに関わる人たちの中で「編集者」という立場から「作家」を語られている訳だけれども、(編集者の関わり方って、イベントの企画者と似てる感じなんだな)と思ったからだ。自分への引き寄せ方はその人次第で様々

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適度な距離で、よってたかってやさしい。「せかいいちのねこ」「いらないねこ」。

 甥っ子の2歳の誕生日がくるので、その4歳になるお姉ちゃんの分も含めて、お誕生日プレゼントに絵本をあげようと思った。ヒグチユウコさんの本はちょっと気になっていたので、(2冊だから……あ、続き物だからちょうどいいや)と思って、「せかいいちのねこ」と「いらないねこ」をアマゾンで注文した。

 届いた後、未読だったので、(じゃあ、まず読もう!)と思って読んだら号泣して、その上(これはどう考えても大人の絵

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24時間テレビの「みんなで達成したね!」感がやばい。

 母親が観ていたからふと目線を上げると、テレビでブルゾンちえみが走っていた。(あー、当日まで発表しないとか引っ張ってたけど、ブルゾンちえみになったんだ)と思った。24時間テレビのチャリティーマラソンの話である。実況の「右脚を時々叩いています。相当痛めているのか。それをかばって走るから、左にもちょっと影響が出ているようです」とかいうアナウンスを聞きながら不安定な格好で走るブルゾンの姿をちょっと眺めた

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「女」を「男」に変換すると、そのおかしさに気がつく表現が、ある。

 牛乳石鹸のWeb動画を巡っての是非が、ちょっと前話題になった。

 わたしはこの動画を見て(えええー、パパ、30過ぎての自分探し?)という感想を持ったのだが、知り合いの知り合い、くらいの近さで、「これのどこが悪いの?パパだって、迷うこともあるじゃん。ちょっといなくなりたくなることもあるじゃん。そんなに遅く帰ってきた訳じゃないし、息子だって笑顔で迎えたじゃん。許して家族が続くんじゃん。そのくらいの

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資生堂の中のおじさんマインド。

 資生堂の「表情プロジェクト」CMを偶然見た。番組のスポンサーだったし、プロモーションのスタートで力を入れているのだろう、その時間帯の中で、繰り返し流された。初見で生まれた微かなひっかかりは、何度も見るうちに大きな違和感になった。

 そのCMは、「今 自分の笑顔を好きですか」という問いかけから始まる。「最近 思いっきり笑ったのっていつだっけ」「絵文字ではいつも素直な気持ちを伝えてる」「なのに私達

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「暇な女子大生 @bored_jd」は清々しい。

 たまたま2連続で「暇な女子大生」についての記事を読んだので、興味を惹かれて、実際のツイートを読んでみた。全部。わたしも暇ですね。

 どんな感想が自分の中に生まれるだろう、と思っていたのだが、最終的に残っていたのは「面白い!」だった。表現の仕方と彼女の持つスタンスが、圧倒的に面白い。あと、読む前に若干危惧していた不快感は、読んでみたらまったく生じなかった。爽やかだった。

 彼女のツイートには一

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