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【プレビュー】『ラストマッチとの向き合い方』~第42節ツエーゲン金沢VSファジアーノ岡山~


マッチプレビュー

最後は笑顔で終わりたい。両者が目指す有終の美

最後に喜ぶ姿が見たい。3分2敗で2023シーズンの最終節を迎えた岡山が望むのは、勝利だ。J2の頂を目標に掲げた今季は苦しかった。勝ち切れない試合が続き、引き分けの数はリーグ最多の18。目標と結果の狭間で心が揺れ動き、悲願達成の難しさを再認識するシーズンだった。それでも、クラブ・チームをサポートするファン・サポーターの姿勢は最後まで変わらなかった。J1昇格の可能性が消滅して臨んだ前節・秋田戦(●0-2)でも、9千人近くの12番目の戦士がCスタに足を運んだ。

最後は笑顔で感謝の気持ちを伝えたい。ピッチで戦う監督、選手も勝利することを目指している。クラブとして初めてJ2優勝を目指すと宣言したシーズンは、若き才能が加入してスタートした。平均年齢は昨季終了時から2歳若返り、チームの躍進にはヤングマンの成長が必要不可欠な状況だった。編成上の都合から、“見えないプレッシャー”が若手に重くのしかかり、チームとして結果が振るわなかった感は否めない。

しかし、今節は重圧から解放されて戦うことができる。それは決して求めていた状況ではないけれど、ノビノビとプレーすることは力を引き出す。苦しみながらチームが積み上げてきたものを、もがきながら個人が身に付けてきた力を、思う存分に発揮できるか。

ただ、今季を勝利で締めくくりたいのは、12試合未勝利の金沢も同じ。9年間におよぶJ2ラストマッチは、西部緑地を本拠地に戦う最後の試合で、チームを7年間率いた柳下監督の退任も発表されている。

激動の2023シーズンが幕を閉じるとき、笑っているのはどちらのチームか。最終節は気持ちを込めてプレーする男たちの姿を目に焼き付けたい。

コラム

しぼんだ風船。膨らませるのは99年生まれの選手たち

風船がしぼんだままの状態だ。

第36節・磐田戦で今季初の逆転勝利を飾り、4連勝が途絶えた第35節・山形戦のショックを払しょくしたと思った。しかし、1週間後の千葉戦は0‐5。失意の大敗を機に、チームは勢いを失った。逆転でのJ1昇格に向かって飛んでいた風船は、さらに3つの引き分けを重ねて落ちていった。

このままで終わっていいのだろうか。

クラブは来季以降もJ1昇格を目標に掲げて活動していく。将来の悲願達成に向けて、今季を勝利で終わりたい思いが湧き出てくる。

前々節・栃木戦、前節・秋田戦は結果が振るわず、内容も決して満足できるものではなかった。張り詰めていた糸が切れたからなのか。躍動感に欠けていたように映った。リーグ戦のピッチに活気のない状態で今季とサヨナラするのは御免である。人の入れ替わりはあるにせよ、今季を戦ったチームの遺産を空気として風船に貯めておきたい。

期待するのは、99年生まれの選手たちだ。特に、田中、本山、仙波、田部井は、木山監督に能力と可能性を高く評価されてピッチに長く立った。チームの中枢を担い、1年を通して力を蓄えてきた。しかし、足りなかった。目標を達成できず指揮官の期待を大きく上回ることはできなかったけれど、悔しさを晴らす舞台は残っている。今季のラストマッチで一矢報い、成長した姿を示してチームを勝利に導く。それが未来という空に向かって高く飛ぶ風船の原動力となるはずだから。


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