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怪文書偽造罪

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  • オールタイムベストMV

    100人の投票で決めたオールタイムベストMVランキングです。

記事一覧

私と先生、あるいはThe Beatles最後の曲について

 私と先生について、今の内に書き留めておこうと思った。  先生、とは呼んでいるが、まあそう呼ぶ慣例のある業界にいらっしゃっただけであり、私が直接先生に指導された…

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2か月前
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「洋邦問わず」解決編

 キンモクセイのニューアルバム、「洋邦問わず」が2024年2月14日、無事発売となった。これがとんでもない傑作だったので文章に認めようと思って念入りにリスニングしてい…

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4か月前
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キンモクセイ「洋邦問わず」レビュー(発売前編)

 ポピュラーミュージックグループ、キンモクセイのニューアルバム「洋邦問わず」が2024年2月14日リリース決定した。これまでのライブでその片鱗はお披露目されており、ま…

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5か月前
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Blur"The Ballad of Darren"について

1274年 蒙古襲来 1549年 キリスト教伝来 1853年 ペリー来航  そして2023年、はいBlur来日ですね。2023(仁王立ちのプーさん)と覚えてください。しかも8年ぶりの…

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11か月前
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NUMBER GIRL BYE BYE

 2002年11月30日、NUMBER GIRLはメジャーデビューから3年というスピードで解散した。舞台となった札幌PENNY LANEはキャパ500人。その最後の勇姿を目撃できた人の数は非常…

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1年前
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HETE(GO!GO!夏おじツアー所感)

 私は泉の精。貴方が落としたのはこの「綺麗なライブレポ」ですか?それともこの「汚いライブレポ」ですか? ========================================================…

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1年前
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コスパが良い音楽作品5選

 名作映画のあらすじを10分程度にまとめたファスト映画の横行、映画や動画を1.5倍速で観る若者たち、サブスク全盛時代にイントロを省く傾向のあるアーティストたち……。…

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2年前
7

2021年まとめの文章

 SNSとサブスクリプションサービスの普及によって、個人が限られた時間の中でリーチ出来る音楽作品の範囲というのは正に爆発的に広がった。かく言う私もTwitterによって、…

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2年前
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キンモクセイ20周年記念に捧ぐ

 2021年10月24日、ポピュラーミュージックグループキンモクセイがメジャーデビュー20周年を迎えた。キンモクセイは10年ほど活動休止期間があるので、これはメジャーデビュ…

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2年前
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サカナクションは夜歩く

 新しい経験は幸福感をもたらすことが分かっていて、それは単に「移動する」ことでももたらされるという研究結果がnature誌に掲載され話題となりました。通勤通学のような…

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2年前
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アーティストに改名を勧めるだけの記事

 こんばんは。細木数子です。  バンド名……それは自分たちの作った音楽を聴いてもらえるかどうかというふるい分けの、言わば第一関門。終わってるバンド名なんか付けた…

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2年前
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オールタイムベストMV(後編)

前回までのあらすじ:  なんやかんやあって100名で決めるオールタイムベストMVランキングを発表しているところである(詳細は前の前の記事を参照)。いよいよトップテンの…

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3年前
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オールタイムベストMV(中編)

前回までのあらすじ: なんやかんやあって100名で決めるオールタイムベストMVランキングを発表しているところである(詳細は前の記事を参照)。ここからはアナログタロウ…

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3年前
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オールタイムベストMV(前編)

背景(建前): 「ビデオがラジオスターを殺っちまった」とThe Bugglesが歌ったのは1979年だったが、実はMusic Video(以下MV)の歴史は20世紀初頭にまで遡ることが出来…

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3年前
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The Caretakerを忘れるな(Everywhere at the End of Timeについて)

 さて、認知症の分類の一つであるアルツハイマー病の新薬アデュカヌマブがアメリカ食品医薬品局(日本の厚生労働省)の条件付き承認を受けたことが話題になっています。周…

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3年前
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レコードvsCD「音が良い論争」の無意味さとは

 1980年代に入りコンパクトディスク(CD)が普及するに伴い、レコードは徐々にその姿を消していきました。しかし、近年ぬるりとその人気が再燃しているという話を聞くこ…

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3年前
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私と先生、あるいはThe Beatles最後の曲について

 私と先生について、今の内に書き留めておこうと思った。
 先生、とは呼んでいるが、まあそう呼ぶ慣例のある業界にいらっしゃっただけであり、私が直接先生に指導されたことはない。一度、いまだに私は英語を書くのが苦手で、どのように克服すればいいのか分からない、と相談してみたことはあったが、先生はニヤリと笑って「お金さえ出せば翻訳はなんとかなりますよ」と仰るので、それっきり何か教えを乞おうとしたことはなかっ

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「洋邦問わず」解決編

 キンモクセイのニューアルバム、「洋邦問わず」が2024年2月14日、無事発売となった。これがとんでもない傑作だったので文章に認めようと思って念入りにリスニングしていたところ、体感的に2秒だったのがいつの間にか2週間もの時を経ていた。現代の玉手箱、それが「洋邦問わず」。

M1 Smile
先行配信されていた、「二人のアカボシ2.0」的雰囲気を持つムーディな一曲。インスピレーション元はBrian

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キンモクセイ「洋邦問わず」レビュー(発売前編)

 ポピュラーミュージックグループ、キンモクセイのニューアルバム「洋邦問わず」が2024年2月14日リリース決定した。これまでのライブでその片鱗はお披露目されており、またギターの佐々木良が担当するFMさがみの月末ラジオでは数曲が世界最速オンエアされた。しかしながら、それらのお披露目機会に接することが叶わなかったファンも中にはいることだろう。
 ところで、リリース前の音源を購入するか否か、重要な判断材

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Blur"The Ballad of Darren"について

1274年 蒙古襲来
1549年 キリスト教伝来
1853年 ペリー来航

 そして2023年、はいBlur来日ですね。2023(仁王立ちのプーさん)と覚えてください。しかも8年ぶりのニューアルバム"The Ballad of Darren"を携えてですよ。再結成バンドの新作には今まで散々辛酸を舐めさせられてきたせいで、リリースニュースを見ても固く心を閉ざして人を信じられない保護犬のように威嚇する

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NUMBER GIRL BYE BYE

 2002年11月30日、NUMBER GIRLはメジャーデビューから3年というスピードで解散した。舞台となった札幌PENNY LANEはキャパ500人。その最後の勇姿を目撃できた人の数は非常に限られていたが、後にリリースされたライブアルバム「サッポロOMOIDE IN MY HEAD状態」を聴いてその凄まじさに打ちのめされ、「ああ、どうしてこのライブを自分は生で体験できなかったのだ」と涙で枕を濡

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HETE(GO!GO!夏おじツアー所感)

 私は泉の精。貴方が落としたのはこの「綺麗なライブレポ」ですか?それともこの「汚いライブレポ」ですか?

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・綺麗なライブレポ

□キンモクセイのGO!GO!夏おじツアー2022 at 原宿RUIDO(2022/9/4)

 コロナ禍に突入し、ライブ産業のあり方を大きく変えてしまってか

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コスパが良い音楽作品5選

 名作映画のあらすじを10分程度にまとめたファスト映画の横行、映画や動画を1.5倍速で観る若者たち、サブスク全盛時代にイントロを省く傾向のあるアーティストたち……。何かに追われるように生き急ぐ我々は、「無駄な時間」を極端に恐れるようになりました。世は正に、「コスパ最重視時代」。そんな現代に生きる人々へ向けた、コスパ最良の音楽をまとめました。意識の高いみんな、乗り遅れるなよ!

① Napalm D

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2021年まとめの文章

 SNSとサブスクリプションサービスの普及によって、個人が限られた時間の中でリーチ出来る音楽作品の範囲というのは正に爆発的に広がった。かく言う私もTwitterによって、能動的に集めようとしなくとも、処理できない量の情報が流れ込んでくるようになった。その結果、一部のパワフルなリスナー以外にとって重要なのは情報を取捨選択する能力ということになり、もう少し端的に言ってしまえば「捨」の能力を強めていく結

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キンモクセイ20周年記念に捧ぐ

 2021年10月24日、ポピュラーミュージックグループキンモクセイがメジャーデビュー20周年を迎えた。キンモクセイは10年ほど活動休止期間があるので、これはメジャーデビュー20周年と活動10周年がほぼ同時に来たことを意味する。一粒で二度美味しい。アーモンドグリコだろこんなん。

 しかし「20年」という数字、これはすごい。The Beatlesの2.5倍、すなわち2.5Beatlesに相当するし

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サカナクションは夜歩く

 新しい経験は幸福感をもたらすことが分かっていて、それは単に「移動する」ことでももたらされるという研究結果がnature誌に掲載され話題となりました。通勤通学のような習慣的・恒常的な「移動」よりも、馴染みのない場所への新規性のある「移動」の方が幸福感を感じやすいことも分かったそうです。ドライブや散歩といったように、本来手段であるはずの移動が目的となって我々に幸福感をもたらすという経験は誰しもあると

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アーティストに改名を勧めるだけの記事

 こんばんは。細木数子です。
 バンド名……それは自分たちの作った音楽を聴いてもらえるかどうかというふるい分けの、言わば第一関門。終わってるバンド名なんか付けた日にはいくら良い音楽を演っていたって歯牙にもかけてもらえない。あるいは、音楽が良くてもバンド名のせいで大幅なイメージダウンを被ると言う事態も十二分に起こりうるわけです。
 そこで今回は、そんな不遇なバンド名に適切な改名を勧めていきたいと思い

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オールタイムベストMV(後編)

前回までのあらすじ:
 なんやかんやあって100名で決めるオールタイムベストMVランキングを発表しているところである(詳細は前の前の記事を参照)。いよいよトップテンの発表。

第10位 25点

 Guns N' Roses/November Rain (1992)
 監督:Andy Morahan

 Gunsが当時物凄く売れていたことが分かる、非常にお金のかかったMV。GunsのMV3部作の2

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オールタイムベストMV(中編)

前回までのあらすじ: なんやかんやあって100名で決めるオールタイムベストMVランキングを発表しているところである(詳細は前の記事を参照)。ここからはアナログタロウ風一言解説付。

結果:第46位 12点

 神聖かまってちゃん/ロックンロールは鳴りやまないっ(デモver.) (2008)
 監督:の子

 次々に時代を越えて洋・邦のロックスターが現れるMAD文化を象徴したようなMV。著作権の問題

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オールタイムベストMV(前編)



背景(建前): 「ビデオがラジオスターを殺っちまった」とThe Bugglesが歌ったのは1979年だったが、実はMusic Video(以下MV)の歴史は20世紀初頭にまで遡ることが出来る……とはいえ、この当時にMVなるものがあったはずも無い。この時何が行われていたのかというと、楽譜の販促のため、"illustrated song"といって幻灯機で映写された静止画に歌やピアノを乗っけるという

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The Caretakerを忘れるな(Everywhere at the End of Timeについて)

 さて、認知症の分類の一つであるアルツハイマー病の新薬アデュカヌマブがアメリカ食品医薬品局(日本の厚生労働省)の条件付き承認を受けたことが話題になっています。周知の通り、人類はまだ認知症を克服出来ていません。認知症研究の第一人者である長谷川和夫医師が認知症になったことを公表されたことは各所に衝撃を与えました。

 そんな認知症(アルツハイマー病)をテーマにした作品が、イギリスの電子音楽家James

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レコードvsCD「音が良い論争」の無意味さとは



 1980年代に入りコンパクトディスク(CD)が普及するに伴い、レコードは徐々にその姿を消していきました。しかし、近年ぬるりとその人気が再燃しているという話を聞くことが増えてきましたよね。

 人々が再びレコードを求めるようになった理由は、ジャケットが大きく視覚的に所有欲を満たせるとか、A面からB面にひっくり返すという「手間」を楽しむだとか、まぁ色々あるわけですけれど、最も大きい理由として挙げ

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