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私と先生、あるいはThe Beatles最後の曲について
私と先生について、今の内に書き留めておこうと思った。
先生、とは呼んでいるが、まあそう呼ぶ慣例のある業界にいらっしゃっただけであり、私が直接先生に指導されたことはない。一度、いまだに私は英語を書くのが苦手で、どのように克服すればいいのか分からない、と相談してみたことはあったが、先生はニヤリと笑って「お金さえ出せば翻訳はなんとかなりますよ」と仰るので、それっきり何か教えを乞おうとしたことはなかっ
NUMBER GIRL BYE BYE
2002年11月30日、NUMBER GIRLはメジャーデビューから3年というスピードで解散した。舞台となった札幌PENNY LANEはキャパ500人。その最後の勇姿を目撃できた人の数は非常に限られていたが、後にリリースされたライブアルバム「サッポロOMOIDE IN MY HEAD状態」を聴いてその凄まじさに打ちのめされ、「ああ、どうしてこのライブを自分は生で体験できなかったのだ」と涙で枕を濡
もっとみる2021年まとめの文章
SNSとサブスクリプションサービスの普及によって、個人が限られた時間の中でリーチ出来る音楽作品の範囲というのは正に爆発的に広がった。かく言う私もTwitterによって、能動的に集めようとしなくとも、処理できない量の情報が流れ込んでくるようになった。その結果、一部のパワフルなリスナー以外にとって重要なのは情報を取捨選択する能力ということになり、もう少し端的に言ってしまえば「捨」の能力を強めていく結
もっとみるThe Caretakerを忘れるな(Everywhere at the End of Timeについて)
さて、認知症の分類の一つであるアルツハイマー病の新薬アデュカヌマブがアメリカ食品医薬品局(日本の厚生労働省)の条件付き承認を受けたことが話題になっています。周知の通り、人類はまだ認知症を克服出来ていません。認知症研究の第一人者である長谷川和夫医師が認知症になったことを公表されたことは各所に衝撃を与えました。
そんな認知症(アルツハイマー病)をテーマにした作品が、イギリスの電子音楽家James