コスパが良い音楽作品5選

 名作映画のあらすじを10分程度にまとめたファスト映画の横行、映画や動画を1.5倍速で観る若者たち、サブスク全盛時代にイントロを省く傾向のあるアーティストたち……。何かに追われるように生き急ぐ我々は、「無駄な時間」を極端に恐れるようになりました。世は正に、「コスパ最重視時代」。そんな現代に生きる人々へ向けた、コスパ最良の音楽をまとめました。意識の高いみんな、乗り遅れるなよ!

① Napalm Death - You Suffer
 何かと忙しい我々現代人は、仕事に自己研鑽に忙殺され、音楽鑑賞に割く時間も取れず、なかなか一日に必要な音楽量を摂取できません。そんな時にはコレ。演奏時間1.3秒。3分間で138回聴くことが出来、効率的に音楽を摂取することが出来ます!ちょっとした1.3秒以上の隙間時間ができた際にすかさず音楽を摂取したい時に是非ご活用ください。これでキャリアアップのための時間も、音楽鑑賞の時間も犠牲にせず、無駄を一切作ることなく人生を送ることが出来ますね!
 ちなみにほぼ聴き取れない歌詞は"You suffer, but why?"(お前は苦しむ。なぜだ?)。あれ、なぜか涙が……。

② Coaltar of the Deepers - 15 Years Later
 曲の前半が作成されてから、後半が作成されるまでの間に15年が経過しています。15年寝かせた芳醇な旋律……。この風味-テイスト-をわずか5分14秒で味わえるという最高のコスパの良さ。最上級の贅沢を貴方に……。世知辛い社会を生き抜く貴方へのご褒美として如何でしょう。しかしながら、この曲は2019年にライブで無料配布されたシングルCD"Half Life"に収録されていたのみでサブスク配信もありません。そのため、CDは高額転売されており、その点ではコスパはマイナス1点でしょうか。

③ Invincible - Michael Jackson
 これは1曲ではなくアルバム単位でのご紹介です。世界を手に入れた"King of Pop"Michael Jacksonが金を注ぎに注ぎ込んで作り上げた名盤。その製作費は3000万ドル(約35億円)にも及びます。これが○ックオフで250円で売られている事実……。250円が35億円に化けるんですよ?犯罪か?最早コスパ云々という範囲を超えたビットコインを凌ぐ最強の成り上がり手段と化したといっても過言ではないでしょう。ちなみに当初小室哲哉が曲提供をするという話も上がっていたそうで、もし実現していたら……と妄想せずにはいられません。

④ Thousand - Moby
 「最近、体の調子が悪い。Beatが足りてないのかな……」そんな時、あると思います。それならコレで間違いありません。内容量なんと1000BPMで、米津玄師"Lemon"11.5曲分のBeatを配合!加速し続ける世界においていかれないよう、全力で貴方の加速をサポートします!ちなみに高速道路での摂取はお勧めしません。用法・容量を守って楽しく鑑賞してね。

⑤ Symphony No.8 - Gustav Mahler
 最後はクラシックからのご紹介です。「1000人の交響曲」の異名を持つ、Mahlerの交響曲第8番です。演奏には有名なBeethovenの「第九」をも凌ぐ、超大規模な合唱団を必要とし、初演時には1030人がステージに上がったという逸話からこの異名で語られます。現在も必ず1000人で演奏されているわけではありませんが、それでも800人程度は必要とするようです。BOOWY 200組分、The White Stripes 400組分のマンパワー配合!ただ鑑賞には第1楽章だけでも20分以上かかるので、時間的コストとマンパワー的コストのバランスを見ながら摂取することをお勧めします。


 ……如何でしたか。ここまで書いていて、私はなんだか疲れてしまいました。「コスパ」を重視しすぎてゆとりを無くしてしまうのは、自分を追い詰めるだけの結果になるのかもしれません。それで心身を壊してしまっては、かえってコスパが悪いという結果を招きかねません。みんな、もっと余裕を持って生きよう。実益にならないような、趣味の時間がもっとあってもいいじゃない。ゆったりとした音楽鑑賞に時間をかけてもいいじゃない。この記事を書いて、私はそう思えるようになりました……。

 
 そんな貴方にはコレ!総再生時間8時間半!Max RichterのSleep!!



おわり

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