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これも「お茶」だと言い続ける

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毎日点てるお茶,茶人の修士論文,バーチャルろくろ。バラバラに見える活動に共通していたのは,ある主張でした。
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#お茶

毎日「違う季節」を生きるということ

毎日「違う季節」を生きるということ

日中だと人に見つかるので,日が沈んでから大学内の柿を収穫した。春が来れば,テニスコート横の山菜を摘みにいく。冬至には柚子饅頭,バレンタインにはハート柄の羊羹を作った。
それらを食べたあと,抹茶が一服出てくる。

私たちは,それも「茶道」と呼んでいた。

茶室の季節はちょっと変その茶道同好会では毎週金曜日に,飲み会に行かずにお茶を飲む。

茶菓子を買うのは私の仕事だった。通常の茶道では季節を先取りし

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「好きなこと」で生きなくても,「自由」に生きられると思う。

「好きなこと」で生きなくても,「自由」に生きられると思う。

「好きなことで生きていく」時代は過去のことどうやって「好きなこと」を人生に組み込むか考えていたら,就職が遅れた。

大学院では,熱心に茶道をする社会人を研究した。彼らは会社員をしながら茶道教室や団体を主宰したり,脱サラして茶人専業になったりした人たち。
つまり趣味を趣味以上にした人々に,会えるだけ会ってきた。

現代茶人を研究する程度には茶道に疑問があったし,お茶が好きだったのだと思う。

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専門家の知識は誰のため?

専門家の知識は誰のため?

上記のイベントで,作家であり料理家の樋口直哉さんが話されていた以下の言葉について,少しだけ。

「料理=素材×調理×調味」一度「〇〇の人」と記憶されると,「あなたにとって〇〇とは」と質問されるようになる。納得感もしくは意外性を与える返事を期待されている。

ただ,理解や共感を得るには,まずもって相手を置いてけぼりにしないことが重要だ。
「〇〇は〇〇でしょ」と思っている相手と自分との距離を縮めるため

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5年記念日。

5年記念日。

「5年付き合った人がいた」と言い続けて,5年以上が経った。

最長記録保持者は,どうやら更新されたらしい。
それなのに,振り返ればこの5年は,相手を好きだと言えない歴史だった。

どんな対象にも,好きな部分と大嫌いな部分がある。
私は100%好きだと言えるまで「好き」と言えない人間だったので,嫌いな部分ばかりを見ていた。一つ長所があれば嫌いな部分が許せるといったタイプでもないので,下の記事のように

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#note酒場 の振り返りとお力添えについて

#note酒場 の振り返りとお力添えについて

もう1週間ほど経っていますが,12月8日に行われた #note酒場 でいくつか抹茶メニューを提供させていただきました。

電子レンジのないカウンターでの抹茶ラテは,温度を保つことがはちゃめちゃに難しく,ご注文いただいた方には本当に申し訳ない限りです。

しかし今頃思いついたのですが,お湯で点てた熱い抹茶にホワイトチョコを溶かせばよかったなと思っています。そしたら,牛乳の泡を足すよりも温度は下がらな

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#note酒場 の抹茶メニュー

#note酒場 の抹茶メニュー

12月8日に伊藤忠ガーデンで11時から23時まで開店する #note酒場 で,バーテンダーとしてお茶を出します。私がカウンターに立っているのは13時から15時です!(他の時間はお客さんとしているはずです)

note酒場についての詳細は以下をご覧ください。

お出しする予定のメニューは,通常の抹茶(300円)と,抹茶に甘みをつけた牛乳の泡をプラスした抹茶ラテ(400円)と,抹茶ビール(400円)に

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チャイを(かなり簡単に)手作りしてみた。

チャイを(かなり簡単に)手作りしてみた。

世界的に飲まれている紅茶は,熱々のお湯を入れても味はあまり変化しません。むしろ香りを立たせるために,高温のお湯を使います。中国茶や玄米茶など,発酵や加熱をしているお茶はそうです。

一方,煎茶などのいわゆる緑色のお茶は,一般的に60度から80度(お茶による)で淹れると言われています。玉露なら50度など。沸騰したお茶だと苦味が強く出てしまうからです。

茶葉に直接氷を乗せて溶かして飲む「氷出し」のお

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お仕事のご依頼について

お仕事のご依頼について

ガチガチの茶道ではなく,ざっくり「お茶」っぽい人が必要なときに,一番頼みやすい茶人だと思います。(2020/02/29現在)

「飲めるお茶」の場合・以下の動画のような,テーブルとお湯だけご用意があるような場所で点てることが圧倒的に多いです。(いわゆる茶室でまともにお点前をするお茶会は,私がしても全然面白くないと思います。)

・とはいっても職場に茶室があるので,月に1〜2回は茶室で茶会をしていま

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悪循環でしかない「努力」もある

悪循環でしかない「努力」もある

人は「これだけ努力したんです」と言いたい努力をしているのではないか。

しかし「これだけ努力をしてるので」なんて,自信を持って言えない。できない人間だと思われることよりも,「これだけ努力してるので」なんて言い返せないのが悔しいこともある。
昔より今の自分ならもっと上手くできることも,確実にあるのだが。

目に見えて「これだけ努力」をしていた時期もあった。そして結果ではなく「visibleな過程」の

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修論をnoteで公開してよかったこと

修論をnoteで公開してよかったこと

修論をnoteで公開するまで修論が完成したのは去年で,学術誌に載せるように指導教官に勧められ,査読が通って2018年の春に出版されることになった。

いざ春になると,出版された学術誌3部と,自分の記事部分だけが印刷された抜き刷り30部が送られてきた。
「30部も!」と思ったが,ふと我に返る。

学術誌は全国の大学図書館などに置かれるはずで,興味のある人には読まれるはず(現代の一般茶道修練者の研

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見えている部分だけが人生ではない。

見えている部分だけが人生ではない。

いかにも意識の高い学生だった頃,ニュージーランドに行った。素朴な人が多い,意識の高さとは無縁の土地でSNSを開くと,日本の知人のツイートをいつものようには読めなかった。

SNSは,人生の一部を自己申告する場だ。その自己申告(=人に見せている部分)が並ぶタイムラインに,どうしようもない違和感があった。
「人に見える部分だけが人生ではない」と痛切に感じたのはその時だ。

*

帰国してから,院試

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続けることへの執着と「紅茶の日」

続けることへの執着と「紅茶の日」

今できないことができるようになれば,大げさにいうと世界が変わりそうな気がする。何も続かなかった人が何かを継続してみたら,今とは違う世界が見えそうだ。

実際に毎日お茶(主に抹茶)を点てて撮り続けて分かったことは,「続けているだけでは何にもならない」ということだった。こんなガッカリな結論すら,続けてみないことには分からなかった。

それでも,友達に「"ほぼ"毎日お茶アップしてるよね」と言われてパッと

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Teaistは何をしているのか / プロフィール

Teaistは何をしているのか / プロフィール

IT企業やアートギャラリーで会社員をしながら複業茶人とフルタイム茶人を経て、現在はTeaist(ティーイスト)を名乗っている矢島愛子と申します。(Click HERE to see my portfolio in English!)
1992年愛知生まれ→広島4年間→大学院から東京在住。Teaistとしての活動は以下の5つです。

具体的な2020年、2021年、2022年、2023年の仕事内容は

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これから茶道教室に通われる方へ。

これから茶道教室に通われる方へ。

そして茶道教室をお探しのあなたへ。

本日より全国公開された映画『日日是好日』は,日常に気づきを与えてくれる場として茶道教室を描いていました。『日々是好日』のエッセイや映画にあるような体験は,茶道教室に通い続けたら得られそうな気もします。実際,得られることもあります。(あの作品に大いに共感するということは,私もそのような体験をすることがあったのだと思います)

これまでの茶道の醍醐味は,何十年もの

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