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読書感想文

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私、タケノコが書いた読書感想文など本についてのあれこれをまとめました。
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2024年1月の記事一覧

読書感想文: 牛腸茂雄写真 こども

読書感想文: 牛腸茂雄写真 こども

牛腸茂雄写真 こども(著:牛腸茂雄、白水社、2013)

何度か図書館で読んでいたがまた見たくなりまた借りた。

幼少期に胸椎カリエスを患い、体に重い障害を抱えながら写真家として活動していた、牛腸茂雄による子どもたちの写真を選集した写真集である。

この本の子どもたちの写真の多くはアップが控えめで離れた距離から撮っているものが多い。

勿論クローズアップの写真もあるのだが、牛腸はあくまでもあえて子

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ただ、一緒に生きている(坂本美雨) 読書感想文

ただ、一緒に生きている(坂本美雨) 読書感想文

ただ、一緒に生きている(著:坂本美雨、光文社、2022)

ミュージシャンの坂本美雨さんによる娘さんについての子育てエッセイである。

美雨さんの娘さんは、

そんな娘さんのことを美雨さんは、

と語る。

それにしても子どもはすごい。

例えば、偏見も疑いもなくオープンハートでどんな人も笑顔にしてしまう。
例えば、言葉を知る時の根源的なうれしさを、大人が言語を会得するのとは違う興味そのもので知る

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世界と繋がり合えるなら(羽田光夏) 読書感想文

世界と繋がり合えるなら(羽田光夏) 読書感想文

詩集 世界と繋がり合えるなら(著:羽田光夏、読書日和、2020)

この『詩集 世界と繋がり合えるなら』は全盲の詩人でnoterさんの羽田光夏さんの詩集である。

全体的に優しい詩篇で構成されており、あたたかな包み込まれる印象を受けた。どれも日常の一篇を書かれており、親しみやすい詩集であった。

今回は詩集から七篇詩を選んで感想を書いてみたいと思う。

欠片

なんともミステリアスな詩だと思った

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日々是紡日(著:Kino) 読書感想文

日々是紡日(著:Kino) 読書感想文

日々是紡日(著:Kino、2024)

この本はnoterさんのきのこさん(Kinoさん)が書かれた2023年11/4〜6までの台湾の2泊3日の旅の記録です。

この本の題名の由来が「はじめに」に書いてありました。

まさにそのKinoさんが送った日々是紡日を追体験できるような本でした。

目に入るのは細かく丁寧な旅の記録、可愛いくてわかりやすいイラスト、美味しそうな食べ物の写真、美しい風景……。

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Message(著:横山黎) 読書感想文

Message(著:横山黎) 読書感想文

Message(著:横山黎、2022)

人が親に伝えたいこととはなにか。

この本はnoterさんの横山黎さんの書かれた小説です。

本からあらすじを引用させていただくと、

という話です。

深い悲しみの絶望の果てに希望があるとすれば、それは結局は自ら動かないと希望の光はいつまでも灯らないのである。

ミステリーとなっているが、作者が伝えたいことは、誰が犯人だとかどうやって犯行をしたのか、動機

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読書感想文: Mimínozさんの作品を読んで

読書感想文: Mimínozさんの作品を読んで

注:今回ご紹介するMimínozさんの作品はどれも原作ありきの二次創作のため、その点ご了承ください。

『A3!』(エースリー)という「イケメン役者育成ゲーム」で、リベル・エンタテインメントが提供しているスマホ向けのアプリゲームがあります。
ちなみにこのゲームはアニメ、ノベライズ、コミカライズ、舞台化もしています。

今回、Mimínozさんによる二次創作、このゲーム内に登場する立花いずみ主宰兼総

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「ハーフ」ってなんだろう? 読書感想文

「ハーフ」ってなんだろう? 読書感想文

「ハーフ」ってなんだろう? あなたと考えたいイメージと現実(著:下地ローレンス吉孝、平凡社、2021)
縁あってこの本を手に取った。

この本を読んで学んだことを一言であらわすと、

・あなたの「常識」を疑いなさい。

・あなたの「違和感」を信用しなさい。

です。

「自分のことは自分しか解決できない」という考えは、自己責任による強い正論に見えて実は危ういものだと思う。なぜなら、

だから。

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坂本図書 読書感想文

坂本図書 読書感想文

坂本図書(選書・語り:坂本龍一、バリューブックス・パブリッシング、2023)

音楽家・坂本龍一が高谷史郎と制作していたオペラ『TIME』のことから時間についての記述が多い本である。

坂本が自身の好きな本を紹介していくというコンセプトだが、前述した通り、時間についての本が多い。

例えば夏目漱石では『夢十夜』、九鬼周造では『時間論 他二篇』、アンドレイ・タルコフスキー『Sculpting in

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