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フリーランスマザー

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2016年3月に長男、2019年10月に次男を出産。 フリーランスライターという立場からみる、妊娠・出産・育児のこと。
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#妊娠出産

赤い稲妻が走ったお腹で、これからも私を生きていく

赤い稲妻が走ったお腹で、これからも私を生きていく

妊娠してからいままで、何回「お母さんの顔になった」と言われただろうか。自分の顔がなにか変わったとは一切思わないけど、優しくなったとか、まるくなったとか、やっぱり言われる。妊娠初期はそれにすごく違和感をおぼえたものの、いまではもう慣れたし、勝手に優しく見えるならありがたいなと思うようになった。つんけんしてると思われるより何倍もいい、けど「妊娠しても(出産しても)全然変わらないね」のほうが、本当はうれ

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私と息子のおっぱい事情

私と息子のおっぱい事情

「おっぱい」という言葉を口にするのには、抵抗がある。自分のバストの女性性をすべて母性に置き換えられてしまうような感じが、どうしても受け入れられない。でも、母親の「おっぱい」を指す言葉に、ちょうどいい“代わり”がない。「胸」とか「バスト」では、母乳が出るものじゃないように聞こえる。いまもなるべくなら口にしたくないけれど、話がややこしくなるのは本意じゃないから、あきらめて言う。なんかいい言い方ありませ

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“子育てスタートダッシュ”をするための準備

“子育てスタートダッシュ”をするための準備

わたしは里帰りをしなかった。ぎりぎりまで仕事もしたかったし、夫と一緒にいるのが一番安らげるのもわかっていたから、東京で産むのは自然な選択だった。地元に住む親友の出産予定日がたまたま11日後だとわかったとき「同じ病院で産もうや~」と言われて、ちょっと揺れたけど。それも結局、彼女のほうが9日も早く産んで、もしそのためだけに里帰りしていたら入院期間はかぶらないところだった。

いろんなひとに「産後は手伝

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ふたつに分かれて重なる呼吸

ふたつに分かれて重なる呼吸

2016年3月16日、いままさに産まれてきたばかりの我が子は、ピンク色で、ぱんぱんにむくんでいた。お世辞にもかわいいとはいえない、細い目と大きな顔。「新生児は本当にかよわくて、自分がこのもろい命を育てていけるのか不安になる」なんて話をよく聞くけれど、我が子はずっしりと頑丈そうに見えた。

助産師さんに「抱っこしますか?」と尋ねられたものの、いきみ疲れて手がぷるぷるしていたし、羊水まみれの我が子も早

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ちょうど1年前の今日、生まれた息子

ちょうど1年前の今日、生まれた息子

その数日間どんより重かったお腹が、朝起きると同時にしくしく痛み始めた。これが陣痛かな、と思うものの、痛みがなかなか規則的にならない。初産婦が病院に行く目安は、定期的な痛みが10分間隔になってからだという。5~15分間隔のばらばらとした痛みがしばらく続いて、いよいよだなと思った。

もしこのまま入院するなら、お風呂に入っておきたい。昨日の夜にももちろん入ったけど、出産はどれくらいかかるかわからな

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子宮口が2.5cm開いたまま、働いていた

子宮口が2.5cm開いたまま、働いていた

「産前はぎりぎりまで、産後はできることから、ブランクを作らず仕事を続けるつもりです」と、妊娠中からずっと言っていた。本当に、お腹が大きくなる前とかからずっと。一緒に働くひとたちはその気持ちを理解してくれていたけれど「とはいえ、いつまでできる?」「産後はいつから取材行ける?」って話になる。そして、誠に遺憾ながら、その質問にはっきりと答えられない。気持ち的には産む日の朝まで原稿書いてたっていいし、退院

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“妊娠”係の私と、それ以外を引き取ってくれた夫

“妊娠”係の私と、それ以外を引き取ってくれた夫

妊娠している約8ヵ月の間、夫から何度も「妊娠おつかれさまです」と言われた。

最初に補足しておくと、彼は大学時代のサークルの後輩。だから、付き合ったあともずいぶん長いあいだ敬語を使われていたし、なんなら完全にタメ口になったのは結婚してからだと思う。

という背景もあって、冒頭の言葉。感じ方はひとそれぞれだと思うけど、私は彼のこの台詞が好きだった。

たとえば一本の記事をつくるときにも、さまざまな役

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赤ちゃんの鼓動と、働く自分

赤ちゃんの鼓動と、働く自分

判定薬で陽性が出れば妊娠した、と思ってしまうけれど、実際は違うらしい。私が行っていた病院では、胎児の心拍が確認できて初めて“妊娠”確定。着床していても、それまでははっきり「おめでとう」を言われなかったし、母子手帳ももらいに行けなかった。

無事に心拍を確認したのが7月末のこと。ものすごく小さな身体が、わたしのなかで、とくんとくんと点滅していた。

いわゆる安定期と呼ばれるのは妊娠5ヶ月からで、周り

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実感よりも先に来たつわり

実感よりも先に来たつわり

妊娠に気づいたのは、2015年7月上旬のこと。あれ、まさか? という感じだったのだけど、検査薬の判定線を見たときはものすごく落ち着いていたのを覚えている。自分の身体のことだから、どこかで覚悟ができてたのかも。(でも、あとで彼に報告するときはなぜか緊張が押し寄せて、検査薬を持つ手が漫画みたいに震えた!)

その週末に病院で妊娠6週を告げられ、まだぺったんこのお腹に思いを馳せてみるも、うまくいかない。

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