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クラシック音楽歳時期 2021-2024

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毎日聴いたり演奏したクラシック音楽のためのノート。どんな音楽に触れて思い書いたかを思い出せば、あの頃の自分を思い出すことができる。もちろん誰に読んでもらえてどんな感想をいただける…
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2024年1月の記事一覧

ストラヴィンスキー:プルチネルラ

ストラヴィンスキー:プルチネルラ

1913年以降、 ストラヴィンスキーの作風は、変遷を遂げていく。火の鳥、ペトルーシュカ、 春の祭典と大規模な管弦楽を使いこなしたきたストラヴィンスキーの作品の編成・規模は小さくなり圧縮されてゆく。 音楽は凝縮され、洗練されていった。 それは新古典主義的な方向と言って良いだろう。サティもブゾーニもプロコフィエフもレスピーギも同様だ。それは世界的な潮流でもあった。バレエリュスも同じだった。 第一次大戦

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まさに鬼才:ジョナタン・フルネル リサイタル 2024/01/18

まさに鬼才:ジョナタン・フルネル リサイタル 2024/01/18

「夜ピアノ」というシリーズの第4回はジョナタン・フルネルさんでした(1月18日、ミューザ川崎)。

実はこの方のことを知らなかったのですが、務川敬吾さんや阪田知樹さんが入賞(3位と4位)された2021年のエリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝された方。フランスの方ということで、どんなロマンティックな音楽を演奏されるのだろうかと楽しみにして出掛けていきました。

プログラムは

ベートーヴェン:創

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日本人が知らない「クラシック名曲」

日本人が知らない「クラシック名曲」



落ち目の名曲たち
タイトルは少々大げさですが。

YouTuberでクラシック評論家のデヴィッド・ハーウィッツが、「むかし有名だったけど、いまは聞かないクラシック曲10選」という企画をやっていたんですね。

10 Formerly Popular Works That Have Faded From The Repertoire (David Hurwitz 1月26日)(英語)

むかしはよ

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ライプツィヒ 音楽の父 バッハの博物館へ

ライプツィヒ 音楽の父 バッハの博物館へ

ライプツィヒへの旅の記憶が新しいうちに、この博物館の思い出も書き残しておきたい。

こちらの記事の通り、クリスマス時期に私はライプツィヒを再訪した。
その時に訪れたのが、バッハ博物館。
バッハと交友のあったボーゼ氏の住居が、博物館に改造されている。
場所は、トーマス教会の向かい。

博物館では無料ガイドを貸して下さる(日本語も有る)ので、それを聞きながら見学するとより理解が深まる。

まずは、博物

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ピアノのバッハ6: 左手のためのシャコンヌ

ピアノのバッハ6: 左手のためのシャコンヌ

わたしは我が家の料理担当です。

家族のために毎日台所に立ち、毎日数時間を料理に費やしています。

海産物が豊かな土地に住んでいるので、自家用ボートで海釣りをするフィリピン人の隣人からおすそ分けしてもらったり、スーパーで魚を丸ごと仕入れて(切り身よりも一匹そのままの方が安い)、三枚に下ろして、新鮮な刺身などを自家製で拵えて舌鼓を打ちます。

なのですが、もう十何年も包丁で怪我したこともないのに、な

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日本語しか喋れない人は西洋古典音楽を弾きこなせないか?

日本語しか喋れない人は西洋古典音楽を弾きこなせないか?

という西洋音楽文化に関わりを持つ人ならば、誰もが抱いている疑問に関して、次の新書は次のように答えます。

わたしの言葉で換骨奪胎して書き換えると:

西洋音楽は二元論を精神的支柱とする西洋文化というユニークな文化の産物。西洋音楽は普遍的な人類の文化と呼ぶにはあまりに歪。文化として個性的で独特に歪んだ西洋文化を日本文化という特殊な文化の中に取り入れると、歪になる。

西洋文化を支配する構造は、独自の

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美しい夏の日の読書:「大いなる遺産」

美しい夏の日の読書:「大いなる遺産」

久しぶりに読書を堪能しました。

速読しないで、文章を味わいながら、のんびりと読みました。

楽しい読書でした。

長編小説です。

南半球に暮らしているわたしには1月は夏休みなのですが、海辺での素晴らしい夏の読書になりました。

読んだのは、19世紀ヴィクトリア英国の大作家チャールズ・ディケンズの古典名作「大いなる遺産」。

ディケンズの最高傑作の一冊として、必ず上げられるこの作品を生涯初めて読

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