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ひよこクラブVol.012 〜 PBL型授業・アクティブラーニングがどうしても必要な理由 #5(最終回) 〜

 これからの教員の役割は、ファシリテーションだと言われています。ファシリテーターにとって大切なことは、自分の意見を差し入れないことと、決定しないことですので、これもまた、従来の教員のあり方とは180度違います。従来型の教員は明確な指示を出し、最終的には結論(正解)を生徒に示します。
 AIの登場を待たずとも、アクティブラーニングやPBL型授業の場には従来型の教員は不要で、ファシリテーター型の教員が必要となります。ファシリテーターには「教える」のではなく「引き出す」ことが求められます。「リーダー」ではなく「フォロワー」であることが求められます。生徒は基本的には全員発言し、全体なりグループなりでシェアされますので、全員が何かしらの形で場への貢献を実感します。授業は、生徒が気合いと根性を鍛え上げ艱難辛苦の果てに何かを手にするための予行の場ではなく、自己肯定感を得る場として位置づけられます。

 そして、アクティブラーニングやPBL型授業、そして反転授業で欠かせないのが、ICTです。コロナ禍で、オンライン授業せざるを得なくなり、PCやタブレットと、オンラインミーティングアプリが多くの学校で活用されました。広い意味ではこれらもICT教育の一つの形と言えなくもありません。ただ、それは「視聴覚教材による授業に毛が生えたようなもの」で、ICT教育が本来目指すところではありません。飽くまでもICT教育はアクティブラーニングやPBL型授業で発揮されるものなのです。つまり、思考力や創造力を育てることが、ICT教育の目指すところなのです。

 ただ、大切なことは、本当に社会の変化に対して危機意識を持って生徒と向き合ってほしいということです。リストラや給与大幅カットやボーナスゼロ支給、そして今月の家賃(否、非常事態宣言後の4月分の家賃まで遡ってかもしれません)を支払うために、もう今日で店を閉めようか、もう今日までか、と思いながら必死にがんばっていらっしゃる方が大勢います。

 それなのに、いまだにアクティブラーニング、PBL型授業の是非論を論じたり、昔と変わらない、知識の伝達を主とした授業に固執するのは、社会と教育現場とのつながりを信じていないか、軽んじているからではないかとさえ思えます。授業は教員のショウタイムではありません。生徒が成長する場ですよね。
 そして子どもを育てるのは社会です。親の私物ではありませんし、ましてや学校の先生の所有物ではありません。もちろん親から先生への「大切な」預かり物でもありません。そう言う人が大勢いますけど。私たち自身もそうであるのと同じように、子どもは誰の物でもないし、預かり物でも借り物でも私物でもありません。

 すべての教育活動は、生徒たちが将来社会に出ることを前提とします。学校の先生が社会状況に疎いと、間違いなく生徒に致命傷を与えます。教員は軽く浮世離れしていないと務まりません(このことについてはまた機会を改めて述べさせてもらいます)が、社会事象に疎くて許されるのは教育者ではなく一部のコアな研究者だけです。
 そして実に、ひよこのみなさんにいろんな授業法を試していただきたい理由は、何よりこれまで述べてきた通り、今、現に私たちが暮らしているこの社会、この現実それ自体が根拠なのです。さまざまな授業法を果敢に試してください。よろしくお願いします。

今回は
⑥いろんな授業法を試してみる
でした。

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