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父のこと

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#日記

まだ心の準備もできてない!

まだ心の準備もできてない!

大泣きしながら車で父の病院に向かいました。容態が急激に悪くなったため、4人部屋から個室に病室が変わっていました。看護師さんに案内され、中に入ると母と妹がいました。

「お姉ちゃん久しぶり。」

妹も泣いていました。

妹は、県外で一人暮らしをしていたのでなかなか病院に来られなかったのですが、母から連絡を受け駆けつけたとのことです。

父は点滴を受けながら眠っていました。高熱のため、時々うなされてい

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初めて病院に泊まった夜

初めて病院に泊まった夜

私が病院に初めて泊まる日、何とも言えない緊張感がありました。それはやはり、父がいつ亡くなってしまってもおかしくないと宣告されていたからです。

日中から父の側にいて話しかけたり、プロレスや相撲を観るのが好きだったのでYouTubeで動画を見せたり。父の世代の流行りの音楽をかけたり。動画を観ている間は集中しているようでじっとしていますが、それが終わるとベッド上で動き出します。ベッドサイドに置いてある

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仕事を辞めて父の側にいる

仕事を辞めて父の側にいる

平成30年11月

父が入院する病院に毎日行くようになって1ヶ月が経とうとする頃、職場の上司から電話がかかってきました。

「さすがにこれ以上休めないよな。」

そう思っていたので、退職したい旨を伝えました。後日、職場へ挨拶に伺いましたがみんなが優しく労いの言葉をかけてくれました。人が少なくて仕事が大変な中、突然ご迷惑をおかけしてしまいました。私にとってたった一人の父。後悔したくないという気持ちを

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一口食べるのに一苦労

一口食べるのに一苦労

父はバイタルサインが落ち着いている日には、車椅子に乗って30分から1時間程デイルームで時間を過ごすのが日課になっていました。

「何か食べさせてあげたい。」母がそんな事を言うようになりました。その気持ちはよく分かります。しかし父の病状や理解力、誤嚥のリスクなど色々と問題があるんじゃないか?と話しました。

母はやれることはやってみたいという気持ちが強く、少しでも可能であるならばと、私は看護師さんに

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介護福祉士の本領発揮

介護福祉士の本領発揮

突然ですが、私は介護福祉士です。

今回、父の側にいるため退職しましたが、それまでは十数年間働いてきました。だから母は、私がいると心強いと言ってくれていました。

ある日、そのことが看護師さんの耳に入ったようで、「娘さん、介護やってたんですって?それなら、お父さんに食べさせてもらっても大丈夫?なんなら、その後の口腔ケアも」

おいおい、急に!?まぁいいけど。もし誤嚥させても怖いからと看護師さんにお

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歯ブラシに噛みつく

歯ブラシに噛みつく

入院中は、一日三回口腔ケアをしていたのですが、これがすごく大変でした。

口に物を入れると何であろうと噛みついてしまいます。調子が良いときはちゃんと口を開いていられるのですが、スイッチが入るとものすごい形相で噛みつきます。まだ60代の父は歯もしっかりと残っているので大変です。

さぁどうしよう?

まず、母本人が歯の治療があった為歯科に行った時に先生に話を聞きました。先生は、割り箸をたくさん束ねて

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毎日の大相撲観戦が楽しみ!

毎日の大相撲観戦が楽しみ!

父は昔から相撲を観るのが好きで、毎場所楽しみにしていました。奇数月には場所が始まるので、平成30年11月頃から病室でテレビを見ることになりました。

病院ではテレビはタダで観ることはできません。テレビカードを購入して、それをカード入れに挿入して見ることができます。

私達家族は、ちゃんと集中して見ていられるか心配でしたが部屋のテレビをつけて、父が見やすい角度にセッティングするとニコニコしながら画面

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お風呂に入れた!

お風呂に入れた!

平成30年11月中旬。

父の容態は安定してきていて、毎日車椅子に乗って、プリンやゼリーを食べたりテレビで相撲を見たりと落ちついていました。

週に1回朝のオムツ交換時に、全身清拭と着替えをしてくれているのですが、「今日はお風呂に入りましょう。」と看護師さんが声を掛けてくれました。

入浴は3ヶ月ぶりです。「お風呂に入れるんだって!良かったねー?」と父に話しかけるとすごく険しい表情で首を振ります。

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涙

父は、脳に散らばった腫瘍の影響により認知症のような症状が現れていました。

人の認識はできているようで、私が病院に行って挨拶するとちゃんと「おはよー」と言います。しかし、モードが変わってしまうと何を話しかけても無反応になります。そして、男性の言うことはきちんと聞きます。主治医、男性看護師が対応すると全然反応が違うのです。

不思議だなーと思いながら毎日父の様子を見ていました。10月位まではポツリと

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新しい年を迎えて

新しい年を迎えて

ついに年が明け、父は平成31年を迎えることができました。

時々熱を出すのですが、大きな変化はなく日々過ごすことができていました。

毎日を病院で過ごしていたので、新年を迎えた実感はほぼありませんでした。母も普段ならお節料理の準備などをしていたのですが、「今年はそれどころじゃないよね。」と話していました。

私は病院からの帰り道、実家近くの神社へ行き父の回復をお願いしました。おみくじを引いたら大吉

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姉妹喧嘩

姉妹喧嘩

私と妹は年が6歳離れています。幼い頃から仲は良く、そんなに大きな喧嘩をしたような記憶もありませんでした。

容姿はそっくりなのですが、性格はまるで違います。私は、父譲りの頑固な性格。だらしなかったり、めんどくさがりではあるのですがいざというときにしっかりしないと!と世話を焼く役回りです。逆に妹は、ムードメーカーの甘えん坊といった感じです。

私は介護の専門学校を卒業して、福祉施設で働くようになって

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大移動

大移動

平成31年2月初旬。

父の病室にいると看護師さんから突然、「この部屋に入院する方がいらっしゃるので、申し訳ないけど何日か移動してほしいんです。」と話がありました。

上の階の個室が空いているので、急遽部屋を移ることになりました。病院にお世話になって5ヶ月。荷物もたくさんあり、なかなかの大移動となります。

「ごめんなさいね、今より広くていいお部屋だから。」申し訳なさそうな看護師さん。

「とんで

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環境の変化

環境の変化

病院の都合で、部屋を移動した父。

部屋が広すぎて全く落ち着きません。母と妹も「芸能人とかが泊まるところみたいだね。」とキョロキョロしています。

私達も落ち着かないのですから、父はもっと大変です。まず、階が変わったので顔馴染みの看護師さんはいません。

大好きなテレビは大きくなったから良かったかと思いきや、今までのようにベッドに臥床していても見られる動かせるタイプのものではなく、ベッドの横に置い

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父の異変

父の異変

平成30年9月中旬に肺がんの宣告を受けた父。

様々な検査をして、この時すでに肺がんから脳への転移が認められました。

その時の様子はこちらの記事にあります。

母から歩行がおぼつかなくなったと聞いていましたが、今思えば、他にも前兆はあったと言います。

まずは車の運転。運転は慎重だし、上手だったはずの父。それなのに、8月の終わりか9月の初め頃は右左折の際にぶつかりそうになったり、バックでブロック

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