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環境の変化

病院の都合で、部屋を移動した父。


部屋が広すぎて全く落ち着きません。母と妹も「芸能人とかが泊まるところみたいだね。」とキョロキョロしています。


私達も落ち着かないのですから、父はもっと大変です。まず、階が変わったので顔馴染みの看護師さんはいません。


大好きなテレビは大きくなったから良かったかと思いきや、今までのようにベッドに臥床していても見られる動かせるタイプのものではなく、ベッドの横に置いてあるため、真横を向かないと見ることができません。


環境の変化と、人の変化に父は戸惑っていました。普段とは表情が全然違っていて、明らかに不安そうです。


いつもは午後から車椅子に乗車し、飲んだり食べたりしますが、この日はほとんど食べませんでした。


このままでは父がさらに弱ってしまう。私達は心配でした。大好きなテレビも身体の自由がきかない父には見ることが大変で、ほとんどの時間広い部屋で寝ているだけ。


困った。


一晩過ごして、二日目になり活気がない父を見て途方にくれていると看護師さんが訪室され、「もとの部屋が空いたので、戻れます。」とおっしゃったのです。


「そんなすぐに!?」とびっくりしましたが、父にとってはもとの場所に戻れることが最善と思っていたのでほっとしました。


再び荷物をまとめ、大移動。もとの階に戻ると「お帰り!早かったね!」と皆に声を掛けられ父はちょっと嬉しそうです。部屋に戻るといつものテレビを見て、目の輝きが違います。


二日間だけの移動でしたが、環境って大切なんだなと痛感しました。






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