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両義的なもの・相矛盾するものをうけいれる「あいまいな日本人」——ニスベット『木を見る西洋人 森を見る東洋人』を読む
リチャード・E・ニスベット(Richard E. Nisbett, 1941 - )はアメリカの社会心理学者。彼はミシガン大学セオドア・M・ニューカムの社会心理学の教授であり、ミシガン大学アナーバー校の文化と認知プログラムの共同ディレクターである。 専門は、社会的認知、文化、社会階級、および加齢。著書は『Culture of Honor(名誉の文化)』はじめ、多数ある。
本書『木を見る西洋人 森
コミュニティ再生、そして包摂的ローカリズムへ——ラグラム・ラジャン『第三の支柱』を読む
ラグラム・ゴヴィンダ・ラジャン(Raghuram Govinda Rajan、1963 - )はインドの経済学者。シカゴ大学経営大学院教授(Eric J. Gleacher Distinguished Service Professor of Finance)や、インドの中央銀行であるインド準備銀行の総裁を務めた。専門は金融論、銀行論。
本書『第三の支柱』は、グローバリゼーションと、その社会的、
なぜ人は学ばなければならないのか——吉田松陰『講孟余話』を読む
吉田松陰の『講孟余話』からの一節。松陰の『講孟余話(講孟箚記)』は、松陰が安政二年から三年にかけて、長州の野山獄と杉家幽室で幽囚の身であった時、囚人や親戚と共に、孟子を講読した読後感や批評そして意見をまとめたものである。吉田松陰(よしだ しょういん、1830 - 1859)は、江戸時代後期の日本の武士(長州藩士)、思想家、教育者。山鹿流兵学師範。明治維新の精神的指導者・理論者。「松下村塾」で明治維
もっとみる感嘆の行為としての他者の顔との邂逅——アルフォンソ・リンギス『何も共有していない者たちの共同体』を読む
アルフォンソ・リンギス(Alphonso Lingis, 1933-)はアメリカの哲学者。リトアニア系移民の農民の子どもとしてアメリカで生まれる。ベルギーのルーヴァン大学で哲学の博士号を取得。ピッツバークのドゥケーン大学で教鞭をとった後、現在はペンシルヴァニア州立大学の哲学教授。世界のさまざまな土地で暮らしながら、鮮烈な情景描写と哲学的思索とが絡みあった著作を発表しつづけている。メルロ=ポンティ『
もっとみるA・H・Z・カーの小説「誰でもない男の裁判」を読む
異色のミステリー作家A・H・Z・カーによる小説「誰でもない男の裁判(THe Trial of John Nobody)」からの一節。アルバート・H・ゾラトコフ・カー(Albert H. Zolatkoff Carr, 1902 - 1971 )は、アメリカの作家・政治経済学者。F・D・ローズヴェルト、トルーマン大統領の補佐官をつとめ、実業界でも大きな成功を収めた。ミステリー作家としては、1950-
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