マガジンのカバー画像

自選集:詩

35
密室で延焼する憎悪と、古戦場に揺れる花と。
運営しているクリエイター

#現代詩

十四歳で立てた中指を

十四歳で立てた中指を

ただ中指を立てるだけなら十四歳から可能だが
その中指をさらに十四年後も下ろしてないのは誰にでも出来ることじゃない

皆がそれぞれの落としどころを見つけていく中で
その中指がつまずきの証に思えて暗いpocketへ隠したくなってくる

二十歳までには死ぬって言ってたあいつに久々に会ったらさ
結婚してて子どもの話なんかしてやがんの

そんで「お前は丸くなるどころが会う度に尖っていくな」なんて言葉を
もう

もっとみる
skit talk - Internet idol 2019

skit talk - Internet idol 2019

「わたしのところまで直接言いに来るのはまだいいんだよ。別に効いてないし。でもさ、わざわざ5chにスレ立てて悪口書き込むのはやめてくれない? 本当にそうなのかもって思っちゃう。そんなに嫌われることしたっけ」

127:ブスなのに調子に乗ってるところがむかつく
128:だったらわざわざ幸せアピールすんなよ。金とか男の話とかさ
131:しらねえよ

「いいじゃん別に! プロとしてやってるわけでもないし、

もっとみる
ほんとあの頃が懐かしい(少年時代)

ほんとあの頃が懐かしい(少年時代)

遊戯王ならば ブルーアイズ
放課後のベンチで デュエルした小学生

脳裏に海馬浮かべ モンスター召喚
すると発動する トラップカード と 友達のしたり顔

思わず再戦を希望した 夕暮れ
同時に鳴り出したチャイムが17時を 告げたね

体育はちょっと苦手で いつも憂鬱
運動会の50メートル走はビリで フィニッシュ

でも水泳なら50メートルでも泳げたね

いとこはクロールで記録残してて
そのことに血

もっとみる
駅のホームの黄色い線の内側で踏みとどまる

駅のホームの黄色い線の内側で踏みとどまる

昨晩のすき屋の牛丼の持ち帰りの容器と 発泡酒の空き缶だけを片付けて
散らかったテーブルも床も台所も どこかしもがとりあえずの先送りで

何を間違ったのか立ち止まって考える暇もないままに
慌ただしく家を出る朝だけれど

どんなに働いても前に進むどころか後退しているかのような感覚
それでも駅のホーム 黄色い線の内側で踏みとどまる

毎日のように行われるこの闘い 負ければ死 勝っても報酬は0円
単なるエ

もっとみる
オンライン上の思想戦争

オンライン上の思想戦争

オンライン上で繰り広げられる 思想戦争
昨日今日も誰もが人集めに 必死の形相

「良かったらフォローをお願いします!」

冒頭から読者の脳内へ 忍び込ませていく共感
読み進めるにつれ 高まっていく内なる賛同 と衝動の高揚

でもそのあとに求められるのは やっぱり購入
タダより高いものはない やっぱり交換

みんな知ってる画面の向こう側の人間 と
 自分 は違う人間
だということは 忘れてはならない

もっとみる