マガジンのカバー画像

大人の教科書〜美術館巡り〜

27
美術館の紹介です。 作品の感想だけでなく、建物や内装 照明計画などの見所をインテリアコーディネーターの視線で紹介しています。
運営しているクリエイター

#わたしの旅行記

大人の美術館探訪〜マチス展・東京都美術館〜

大人の美術館探訪〜マチス展・東京都美術館〜

長男Mayaと食事の後、東京都美術館で開催中のマチス展に行きました。

美術館巡りが趣味である夫と私は、子供たちを連れて国内外の美術館に出かけました。
子供に押し付けた一方的な親の想いが、そこにはあったと思います。
その想いを子供なりにしっかりと受け止めていたことを長男から聞かされ、胸が熱くなりました。

長男は中学生の時、ニューヨークの近代美術館(MOMA)で初めてみたモネの「睡蓮」に衝撃を受け

もっとみる
建築物を見て歩く❸東京駅と丸の内

建築物を見て歩く❸東京駅と丸の内

リスを見かけると懐かしく、嬉しくなります。おたふく風邪に罹った幼稚園児の長男の顔を思い出し、クスッと笑いがこみあげます。
膨れ上がった頬がくるみを頬張るリスにそっくりでした。リスを見て、長男を思い出し写真におさめました。

クラッシックテイストが特徴の
内装です。
天井の装飾が美しい。
日本建築の格天井を思わせる漆喰のパネルは、同じデザインとその形状が規則性のある美しさを刻んでいます。

アールデ

もっとみる
建築物を見て歩く13国立新美術館〜李禹煥展〜

建築物を見て歩く13国立新美術館〜李禹煥展〜

兵庫県立美術館の中で触れていますが、私が国内で一番好きな美術館は、香川県直島にある地中美術館です。
李禹煥美術館は、地中美術館に向かう途中にあります。
設計はともに安藤忠雄。
自然と共生する静かな佇まいの美術館です。

国立新美術館15周年を記念する企画展に李禹煥が取り上げられたと知り、六本木の地で彼の思想がどんな形で表現されているのかを知りたくて出かけました。

色づき始めた木々と変わることのな

もっとみる
建築物を見て歩くⅫ東京タワー

建築物を見て歩くⅫ東京タワー

冒頭のセリフが印象的な江國香織の小説「東京タワー」を知ったのは2005年に公開された源孝志監督の映画「tokyo tower」でした。
東京タワーを彩る四季の風景を繊細な映像で切り取り、物語の背景に映りこむ東京タワーが、その存在感を静かに放つ映画です。
「きっと恋はするものじゃなくて落ちるものなんだ。」と
呟く主人公の視線の先には,常に東京タワーがあり、彼の心の在り方をうつしとり、表情を変える鏡の

もっとみる
建築物を見て歩くⅪ兵庫県立美術館

建築物を見て歩くⅪ兵庫県立美術館

美術館巡りは、心が動かされる趣味の一つです。

本を読むことも同様ですが、
大人になった今、小説の類に向き合うことは少なくなったように感じます。
唯一、言葉の紡ぎ方に憧れ続ける宮本輝の小説『錦繍(きんしゅう)』は私のバイブル的存在。時折、手に取り日本語の美しさを再確認します。

美術館に行くのは、日々の忙しさに紛れ、見失いがちな心の場所、在り方を確認したいからかもしれません。

兵庫県立美術館

もっとみる
建築物を見て歩く➓京都府立陶板名画の庭

建築物を見て歩く➓京都府立陶板名画の庭

テレビ大阪とテレビ東京などの深夜枠で7月に放映されていた「ちょこっと京都に住んでみた。」
東京在住のデザイナー(木村文乃)が、京町家での日常生活と観光地ではない京都の町を案内するドキュメント仕立てのドラマでした。
見どころは、主人公の大伯父(近藤正臣)が暮らす町家のお洒落なインテリア。そちらに気を取られてしまい、台詞が入ってこないこともしばしばありました。
このドラマは、また別の機会にご紹介できれ

もっとみる
建築物を見て歩く❾国立西洋美術館

建築物を見て歩く❾国立西洋美術館

美術館に行く目的が、企画展や常設展を見るのではなく、建物そのものを見たいと思った美術館の1つが国立西洋美術館です。
何度訪れても新しい発見があり、飽きることはありません。

少し遠出にはなりますが、行こうと思い立った時、行ける距離にある美術館です。敷居も高くありません。
企画展でなければ、訪れる人もさほど多くないため、美術館の本来あるべき姿を堪能することができます。

モダニズム建築の巨匠であり、

もっとみる
建築物を見て歩く❽鳩山会館

建築物を見て歩く❽鳩山会館

新緑の美しい季節、今回はステンドグラスの美しさを求めて鳩山会館に出かけました。

薔薇とステンドグラスの洋館

薔薇の花に惹かれます。
色も種類も関係なく、美しいと
思います。
この建物の持ち主である鳩山一郎氏がこよなく愛した薔薇は「ピース」という種類。

ピースを画像検索しました。
バニラクリーム色の花びらにピンク色の縁取りがある柔らかい色合いの花です。

愛する薔薇の名前を覚えている
鳩山一郎

もっとみる
建築物を見て歩く❻国際子ども図書館

建築物を見て歩く❻国際子ども図書館

一枚の画像

この画像を見た瞬間、大きく心が揺れました。

後に、この画像は1981年に建築家安藤忠雄が手がけた兵庫県芦屋市にある小篠邸リビングの写真だと知りました。

安藤忠雄を知り、以来彼の作品を訪ね歩くことが愉しみの1つになりました。
このシリーズ「建築物を見て歩く」の始まりです。

ただ、noteを始める3年前までは、写真と記憶だけの記録でした。写真を見返すことはできますが、その時に感じた

もっとみる
建築物を見て歩く❺横浜洋館の照明を見て歩く

建築物を見て歩く❺横浜洋館の照明を見て歩く

ノイズ(視覚的な雑音)を無くした空間

普段、装飾を排したシンプルで重厚感のある住宅メーカーに勤めているため、担当するお客様の嗜好も一定の方向に偏りがちです。

かつては主流であったダウンライト(天井埋込灯)さえも、天井面に空いた穴がノイズ(視覚的な雑音)だと敬遠されることもあります。

今、間接照明の中で特に人気なのが、天井から光が落ちてくるイメージのコーニス照明やスリット照明。基本は照明器具を

もっとみる
建築物を見て歩く❷日本橋界隈

建築物を見て歩く❷日本橋界隈

東野圭吾のミステリー小説「麒麟の翼」は、映画化され話題になりました。冒頭で映し出され、ズームアップされるまで、欄干の中央に設置された麒麟像に目を向けることなどありませんでした。
「ここから夢に羽ばたいていく、はずだった。」
劇中のその言葉も強く心に残りました。

神社仏閣で見かける麒麟は、龍や鳳凰と同じ伝説上の生き物です。ただ、麒麟に翼があることは、この像を見るまで知りませんでした。
天を仰ぎ、今

もっとみる
建築物を見て歩く❶国立新美術館

建築物を見て歩く❶国立新美術館

慌ただしく過ごした年末年始の長期休暇。明けてすぐの三連休、カメラを片手に自分のペースで都内の建築物を見て歩きました。最初に選んだのは、魅力的な企画展の為、幾度となく足を運んだ国立新美術館。

人気のある企画展では、チケット売り場に並ぶ長蛇の列だけでなく、入館を待つ人々を誘導するスタッフなどが風景の一部となり、今回のような静かな空気感を纏った建物の外観写真を撮ることができませんでした。

人影まばら

もっとみる