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建築物を見て歩く❾国立西洋美術館

美術館に行く目的が、企画展や常設展を見るのではなく、建物そのものを見たいと思った美術館の1つが国立西洋美術館です。
何度訪れても新しい発見があり、飽きることはありません。

グレーと鮮やかな緑のコントラスト

少し遠出にはなりますが、行こうと思い立った時、行ける距離にある美術館です。敷居も高くありません。
企画展でなければ、訪れる人もさほど多くないため、美術館の本来あるべき姿を堪能することができます。

彫刻が映える美しい外壁
初夏の空を背景に考える人
さりげなく主張する階段手摺
グレーと空色


モダニズム建築の巨匠であり、近代建築の父と呼ばれたル・コルビュジエの建築作品。
彼の代表作であるサヴォア邸やロンシャン礼拝堂は、いずれもフランスにある建物です。
そのため、写真や画像でしか見ることができません。
国立西洋美術館は、コルビジュエ思想をダイレクトに受けとめることができる貴重な建物です。
今回も思う存分、堪能したいと思います。

緑色の小石を貼り付けた外壁

外部空間だけでも見るべきものが多すぎるため、入館までずいぶん時間がかかりました。

アースカラーを引き締める美しい黒
シックな色合いの床タイル

床に貼られたタイルは、茶色のグラデーションが美しい。
長方形のタイルをずらして貼っていく馬目地貼り仕上げ。
黄色味を含んだ茶色の濃淡を規則性を持たせず、アトランダムに敷いています。
規則性を持たない計画は、絶対的なセンスに裏付けされていると思います。

黒を背景に
リズミカルに並ぶ椅子

椅子が一定のリズムを刻んで並ぶ様は、先日訪れた大阪の中之島美術館と同じ風景です。
ブラウン系グラデーションのタイルと白木の椅子、座面と背景に配された黒とのパキッとしたコントラストに思わずカメラを向けてしまいました。

19世紀ホールの梁

展示ホールの中央にある吹抜けが建物の一番の見どころです。天窓から降り注ぐ豊かな自然光が十字の形に交差した梁を照らしながら手元まで落ちてきます。
丸柱が支える十字架を想わせる梁、神は光だと感じる瞬間がここに在ると私は思います。

美しい階段

一般住宅のインテリア計画で、階段のデザインは最も難しいものです。
意匠性よりもずっと重きを置かなくてはいけないいくつかの項目があります。
特に安全であることは、住む人の生命に関わるため、細心の注意を払います。

美しい階段は、美術館などで鑑賞するに留めておくことをお勧めします。

美しい横顔
視線を緑に誘導させて
展示室に柔らかい光を

美術館の配光計画は、面白く参考になることが多々あります。
自然光と人工光の取り込み方や混ぜ方をはじめ、展示物に合わせて光の量や質感を調整する手法は、決して感覚的なものではなく、計算されたものです。
光を抑えた空間だからこそ、スポットライトで照らされた絵画に視線が引き寄せられる。
陰も暗さもすべて味方につけて
演出されています。

光と影の共棲

ぜひ、お出かけください。

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