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大人の美術館探訪〜マチス展・東京都美術館〜

マティス展2023.4.27-8.20

長男Mayaと食事の後、東京都美術館で開催中のマチス展に行きました。

美術館巡りが趣味である夫と私は、子供たちを連れて国内外の美術館に出かけました。
子供に押し付けた一方的な親の想いが、そこにはあったと思います。
その想いを子供なりにしっかりと受け止めていたことを長男から聞かされ、胸が熱くなりました。

長男は中学生の時、ニューヨークの近代美術館(MOMA)で初めてみたモネの「睡蓮」に衝撃を受け、それがきっかけで美術館巡りが自分自身の趣味になったと話してくれました。

「美術の教科書では、ゴッホのひまわりやモネの睡蓮など名画として紹介される作品のほとんどが3㎝×4㎝ぐらいの大きさだったので、その写真から何かを感じとることは無かった。」

「モネの睡蓮の前に立った時、心が大きく揺れ動くのがわかった。その大きさに驚き、美しさに圧倒された。当たり前だけど教科書と全然違った。」

「睡蓮」が特に好きな彼を香川県直島にある地中美術館に誘いました。
平日だったこともあり、誰もいない展示室に彼1人を残して私たちは前室で待つことにしました。
「睡蓮」を鑑賞するためだけに設計された部屋には作品が3点、自然光が柔らかく差し込む音の無い空間で彼は長い間、ひんやりとした大理石の上に立ち尽くしていました。懐かしく、眩しい思い出です。

赤の大きな部屋

土曜日の午後にも関わらず、当日券もすぐ購入することができました。
荷物を預けた後、展示室へ。

LBFからスタートです。
第1章 Towards Fauvism
フォーヴィスムに向かって
1895-1909
この中で一番印象に残った作品が柔らかい色使いの点描画
「豪奢、静寂、逸楽」
あくまでも私の感想ですが、マチスの作品に点描画のイメージがなかったため、新鮮でありながらも違和感のようなものも感じました。

第2章 The Radical Years
ラディカルな探求の時代
1914-1918
「金魚鉢のある室内」
長男が一番気に入り、絵葉書を買い求めた作品です。

Mayaが購入した絵葉書

私はこの章では「白とバラ色の頭部」のインパクトに惹かれました。

第3章 A Parallel Search
並行する探求ー彫刻と絵画
1913-1930

第4章 Figures and interiors
人物と室内
1918-1929
この章からは写真撮影可能です。

赤いキュロットのオダリスク
ニースの室内、シェスタ


マチスの赤は多彩な表情を見せてくれます。
20年程前、ニューヨーク・メトロポリタン美術館の企画展で「マチスのインテリア」を見る機会がありました。
マチスの絵画から床、壁、カーテン、椅子の張り地などを
拾い出し、酷似した商材を用いて一枚の額の中にプレゼンテーションボードのような形で展示していました。この上なく贅沢で、真似のできない色の組み合わせでしたが、どれもこれも素晴らしいと感じました。ルールもセオリーも見当たりません。ただ圧倒的に美しい。
メトロポリタン美術館で他の作品は全く見ず、丸一日過ごしたことを覚えています。

緑色の食器戸棚と静物

人物と室内とネーミングされたこの章をたっぷりと時間をかけて堪能しました。
人物より背景に広がるインテリアに惹かれるのは職業も少し関係していると思いますが、やはり室内の色使いや模様に目が誘導されます。
人物さえ柄の一部に見えてしまう背景の力強さを感じました。

第5章 Expansion and Experiment
広がりと実験
1930-1937

座るバラ色の裸婦

第6章 From Nice to Vence
ニースからヴァンスへ
1938-1948

若い女性と白い毛皮の外套
赤い大きな室内

ポスターやパンフレット、雑誌の表紙にもなったマチス展で一番目にする作品です。

黄色と青の室内

色数の少ない作品です。
赤が存在しない絵は静かな佇まいを感じさせます。

マグノリアのある静物

色の魔術師マチスを表す作品だと思います。
撮影はここまでになります。

第7章 The Cut-Outs
切り紙絵と最晩年の作品
1931-1954

第8章 The Chapel of the Rosary,Vevce
ヴァンス・ロザリオ礼拝堂
1948-1951

マチス展にくる前、長男とランチを摂りながら、「死ぬまでにしたい50のこと」を20まで考えたと話しました。消したり足したりを繰り返し、なかなか増えません。逆に現段階で叶ったものも3つあります。まだ叶っていないものの中にロザリオ礼拝堂に行くとありました。ただロザリオ礼拝堂がどこにあるのか、なぜ行きたいと思ったのか覚えていないと話すと、長男はそれじゃ行けないね。と笑っていました。

マチス展の最後の章でいきなりその文言を見つけた時、2人で笑ってしまいました。
南フランス、ヴァンスにあるロザリオ礼拝堂はマチス生涯の最高傑作と呼ばれています。
今回会場ではマチスの拘りが細部までつまった空間を4K映像で見ることができました。
特に午前11時にステンドグラスに差し込む光は、まさに礼拝堂にふさわしい神々しさがありました。

「神は光である」

素晴らしい映像に魅了され、2度も見てしまいました。
やはり死ぬまでに訪れたいと
強く思いました。

自宅の玄関に飾ったマチス
2004年に買い求めた作品

今回、20年ぶりの大回顧展と聞きました。自宅に戻り、玄関に飾った作品の箱には2004年制作シルクスクリーンの文字がありました。
前回のマチス展で買い求めたものだと思います。
今回もこの作品は展示されていました。
「愛の精神」
これからも大切に持ち続けたいと思います。

マチス展は8月20日まで開催されています。
お勧めしたい企画展です。

今回の写真も長男Mayaが撮影したものです。
玄関の絵画だけは私が撮りました。

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