マガジンのカバー画像

したたかに生き愛を生むガイドブック

28
茶々から学ぶ、したたかな生き方
運営しているクリエイター

#出産

リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十八話 運は強気なものに味方する

リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十八話 運は強気なものに味方する

運は強気なものに味方する

日に日に、秀吉の拾への溺愛ぶりが増していった。鶴丸の時と同じように、いやそれ以上に秀吉は拾いを可愛がっている。

私も拾が、可愛くて愛おしくたまらない。
毎日我が子を抱いて自分の乳を与えるなど、鶴丸の時にはなかった。
乳を飲ます内、これが我が子、という愛着がますます深くなる。
乳はいくらでも湧いて出た。

私が拾に乳を飲ませている姿を、秀吉は目を細めうれしそうに見ていた

もっとみる
リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十七話 これからも私についてきて

リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十七話 これからも私についてきて

これからも私についてきて

私は生まれたばかりの赤子を抱きしめた。お湯で洗われピカピカになった、ふわふわしたあたたかい塊。この子は私の愛で命だ。それをもう一度手に入れた喜びと安堵で、泣きそうになった。その日から私は秀吉に言われた通り、乳母ではなく自分の乳を口に含ませた。赤子は、顔を真っ赤にし無心にゴクゴクと乳を吸う。その様子が、愛おしくてたまらない。そばで乳母の大蔵卿局も目を細め、うれしそうに見て

もっとみる
リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十六話 欲しいものを欲しいと望み手を伸ばすからこそ、与えられる

リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十六話 欲しいものを欲しいと望み手を伸ばすからこそ、与えられる

欲しいものを欲しいと望み手を伸ばすからこそ、与えられる

この時期、元号が天正から文禄に改元された。

もともと元号が変わるのは、天皇が譲位したり、災いを改めるためだった。だがこのたびの改元は、そうではない。
秀吉から秀次に関白の世襲をしたためだ。それはこれから天皇に変わり、武家が天下を支配する、と世間に知らしめるためだった。
まだ妊娠していない私はその現実に唇を噛み、辛い思いでただ眺めるしかなか

もっとみる
リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十五話 子種をよこせ!

リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十五話 子種をよこせ!

子種をよこせ!

鶴丸を失った秀吉は、姉の息子秀次を養子に迎えることを私に告げた。私は「必ずまた子を産みますから、それは止めて下さい!」と嘆願したが、秀吉は耳を貸さなかった。早く妊娠して、豊臣の後継者の座を取り戻さなければ、と私は焦った。だが肝心の秀吉は鶴丸を失ったショックで男としての自信も失い、私の元に通うことも少なくなった。このままではいけない、と私は策を練った。

 翌日、私は秀吉と秀次、豊

もっとみる
リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十四話 I am a woman 女の戦

リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十四話 I am a woman 女の戦

I am a woman 女の戦

鶴丸が私の元からいなくなった・・・・・・
この世を去った・・・・・・
私は呆然としたまま、まだ実感がない。

朝、目が覚めると無意識に鶴丸の姿を探す。
いつものくせで
「鶴丸は、今朝はどうした?」
と大蔵卿局に尋ねる。

彼女は、目を赤くし
「鶴丸君は、旅立たれました・・・」と、たもとで涙をふく。
彼女の言葉と姿を見て、私は永遠に鶴丸を失った事を思い出す。思い出

もっとみる
リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十一話 give and takeそれも愛の一つの形

リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十一話 give and takeそれも愛の一つの形

give and takeそれも愛の一つの形

天正17年9月13日、私は鶴丸と共に大阪城に入城した。

秀吉は鶴丸が生まれた時から、彼を自分の後継者に決めた。
そのため山城淀城から大阪城まで、豊臣の権勢を誇るように絢爛豪華な大行列が従った。
大阪城に着いた私は、抱いていた鶴丸を乳母に預け、華やかな輿から降り大阪城に足を踏み入れた。
秀吉は上機嫌で、私達を迎えに来た。鶴丸を見るなり顔中をくしゃくし

もっとみる
リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十話 無条件で愛される

リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第十話 無条件で愛される

無条件で愛される

天正17年5月27日、私は男子を出産した。

初めての出産は、時間がかかった。
身を八つ裂きにされるような痛みに、私はうー、うー、と獣のような声でうなり続けた。
気が遠くなるような痛みの中で
「母上はこれを3度も体験した」
と思うと、改めて母の強さと母を一人の女とし身近に感じた。

もうこれ以上いきめない、無理だ・・・・・・と思った瞬間、股間からズルリと赤子が出てくるのがわかっ

もっとみる
リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第九話 本当に欲しいものを、どれだけ自分に与えられる?

リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第九話 本当に欲しいものを、どれだけ自分に与えられる?

本当に欲しいものを、どれだけ自分に与えられる?

それから私は病気を理由に、しばらく秀吉と距離を置いた。子宮が受け取った子種がしっかり根付くよう、毎日布団の上に横たわった。
治長はなに事もなかった顔で、私に仕えている。彼は私の部屋の外で番人のように私を守り、控えている。襖一枚隔てた場所に治長がいる。呼べばいつでもそばに来る。それを考えると子宮がキュン、とうずく。あの夜の深い大きな波に飲まれたエクス

もっとみる
リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第八話 女は楽器、それを奏でる男で音色は変わる

リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第八話 女は楽器、それを奏でる男で音色は変わる

女は楽器、それを奏でる男で音色は変わる

男と女が褥をともにすること。sexするのは誰としても同じだと思っていた。
秀吉は30歳も年上でたくさんの側室もいるし、経験も豊富だ。
だから私は彼から与えられる閨のことが、男と女のすべてだと思っていた。治長は最初から、秀吉と違った。
治長は高価な青磁の器を扱うように、大切に私に触れる。
触れながら、触れられながら、わたしは幼い頃を思いだした。

同じ乳を飲

もっとみる
リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第六話 
Are You Ready?

リーディング小説「生む女~茶々ってば~」第六話  Are You Ready?

Are You Ready?

野心の扉の開いた先は、秀吉の跡取りとなる天下人の母。

秀吉が望む子どもを、私が彼に与える。正室の寧々にも他の側室達にもできなかった豊臣を継ぐ男児を産む。その子が彼から私への愛と地位を、揺るぎないものにする要石。
私は「どんな手を使っても、この要石を手に入れる」と彼との褥を終え、決意した。

早速翌日、手を尽くし子どもが授かる、という妙薬を取り寄せた。
そして、子ど

もっとみる