リョウスケ

日常の事、生活の事、考えた事、思い出す事、等々を書いていきます。

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記事一覧

自分は何なのだろうか?という問い

 子供の頃から、何かを真似するのが好きだった。厳密に言えば好き、という気持ちとは少し違う。それしか選択肢が無かった、というのが近い。  好きなものに、一体化する…

リョウスケ
1か月前
5

夜の自転車(小説)

 夏の夜は短い。日が暮れて、ようやく涼しくなったと思ったら、すぐにまた強烈な陽が昇る朝がやってくる。  仕事から帰り、アパートの前でチカチカと光る自動販売機で冷…

リョウスケ
1か月前
1

暗闇から手をのばし、

暗闇から手を伸ばし、何か掴もうとしているだろうか? たまに自分に、聞いてみる 切実なる願い 切実なる望み どうやら世の中の人々は、そんなに深刻に物事を考えないらし…

リョウスケ
1か月前
2

夜のおしゃべり(詩)

陽が沈み闇の時刻 まき散らされたおしゃべり 世界が裂ける時詩が生まれる まき散らされたおしゃべり それはここにも、あそこにも まき散らされたおしゃべり 拾い集めること…

リョウスケ
2か月前
1

夕暮れの街

 6月のとある平日、トシロウはたまたま休みだった。近くの町まで、ドライブに行った。お目当ては昆虫の博物館だった。トシロウは子供の頃から理科が好きだった。図鑑や実…

リョウスケ
2か月前
2

散歩道

 最近、いろいろな事を考えた末に、自然信仰ともいうべきものに、僕は行きつきました。  それだから僕は、なるべく外に出ます。散歩をします。風の音に耳をすませます。…

リョウスケ
4か月前
3

俳句と短歌 4月10日

友が去り桜咲く夜は日記付け 読書灯あの人の写真照らせども一人灯消せば外花吹雪

リョウスケ
4か月前
30

「自分」にも「他人」にも焦点を当てない。
やりたい事をやる中で、人の為になれば良い。
というのが、最近のモットー。

リョウスケ
5か月前
11

言葉の道 (小説)

 朝起きて、本好きなコウタロウはこう考えた。  必然性と切実さが無いと、結局、良い文章は書けない。俳句は、極限まで無駄な語句を省くから、自然と純度の高いものが出…

リョウスケ
5か月前
12

朝の東の空

リョウスケ
5か月前
2

試行錯誤

先日、文章を書いている友人が、「アイデアはあるけど形にできない。文章化できない。」という事を言っていて、はてこれはどういう事だろうと、考えた。 中上健次の「問答…

リョウスケ
5か月前
2

執念(小説)

ケンタは近頃、嫌な夢ばかり見た。 そこから逃れるように、毎日ケンタは精力的に動いた。 夢に、喰われるような気がしたからである。 そうして動いていると、果たして良…

リョウスケ
5か月前
1

たまに見た空

今日はやる事がいろいろあった。 午前中は洗濯をして、リサイクルセンターへ不用品の処分に行った。 午後は買い物をして、古い友人と会った。 束の間の休息。 旧友と会う…

リョウスケ
5か月前
1

春への期待

朝は晴れたが、その後は雨と雪。寒いのである。真冬に逆戻りしたようだ。 音楽に、南方系の音楽と北方系の音楽があるように、文学にも南方系の文学と北方系の文学がある。…

リョウスケ
5か月前
2

3月の曇り空

今日は3月11日。東日本大震災から、13年経つ。 今日は曇りで、空はガスで覆われたように白かった。 仕事帰り、夕景の撮影を試みようと西の空を観察していたが、今日は撮影…

リョウスケ
5か月前
3

不満足、あるいは空虚

不満足、あるいは空虚を感じるという事は、大事な事だと思う。 不満足であれば、希望を求めて行動するようになるし、空虚を感じていれば、これまた充実した何かを求めて行…

リョウスケ
5か月前
2
自分は何なのだろうか?という問い

自分は何なのだろうか?という問い

 子供の頃から、何かを真似するのが好きだった。厳密に言えば好き、という気持ちとは少し違う。それしか選択肢が無かった、というのが近い。
 好きなものに、一体化するほど執着する。こだわる。
 今も昔も、完璧主義である。

 小学生の頃、九九を完璧に暗記する為に、何度も反復練習をした。練習して覚えて、クラスで発表した時のあの微妙な感動は、今も覚えている。
 図書館にある物語を全部読んだら、コミュニケーシ

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夜の自転車(小説)

夜の自転車(小説)

 夏の夜は短い。日が暮れて、ようやく涼しくなったと思ったら、すぐにまた強烈な陽が昇る朝がやってくる。

 仕事から帰り、アパートの前でチカチカと光る自動販売機で冷えたコーラを買って手に取り、サスケは思った。

 仕事は停滞しているのに、私生活はまるで冴えない。一人、また一人と友達が目の前から去っていく。結婚したり、遠方へ転勤したりと、いろいろだ。
 サスケはポケットから鍵を探り当て、自分の部屋の鍵

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暗闇から手をのばし、

暗闇から手をのばし、

暗闇から手を伸ばし、何か掴もうとしているだろうか?
たまに自分に、聞いてみる

切実なる願い
切実なる望み

どうやら世の中の人々は、そんなに深刻に物事を考えないらしい
それでも伸ばした手には、灯りが灯っている

簡単には消えない、紅くて暖かい炎が

夜のおしゃべり(詩)

夜のおしゃべり(詩)

陽が沈み闇の時刻
まき散らされたおしゃべり
世界が裂ける時詩が生まれる
まき散らされたおしゃべり
それはここにも、あそこにも
まき散らされたおしゃべり
拾い集めることもできない
まき散らされたおしゃべり
フクロウはただ見つめてる
まき散らされたおしゃべり
朝にはすべて空気に溶ける
どこからともなく働く人

夕暮れの街

夕暮れの街

 6月のとある平日、トシロウはたまたま休みだった。近くの町まで、ドライブに行った。お目当ては昆虫の博物館だった。トシロウは子供の頃から理科が好きだった。図鑑や実験が好きだった。
 トシロウには、気分転換が必要だった。人間関係のトラブルや、仕事のストレスで、トシロウは疲れ果てていた。

 昼前に出ていき、途中の道すがら、ラーメン屋に寄った。ラーメンを食べた。あっさり醤油系のラーメンだった。

 トシ

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散歩道

 最近、いろいろな事を考えた末に、自然信仰ともいうべきものに、僕は行きつきました。
 それだから僕は、なるべく外に出ます。散歩をします。風の音に耳をすませます。そして今は、とても良い季節です。
 noteの更新頻度は、これから落ちるかもしれませんが、働きながら、遊びながら、書きながら、生きていこうと思います。

 俳句や短歌は、素晴らしい文化ですね。俳句や短歌を、上手いこと長くしたような小説を、書

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俳句と短歌 4月10日

俳句と短歌 4月10日

友が去り桜咲く夜は日記付け

読書灯あの人の写真照らせども一人灯消せば外花吹雪

「自分」にも「他人」にも焦点を当てない。
やりたい事をやる中で、人の為になれば良い。
というのが、最近のモットー。

言葉の道 (小説)

言葉の道 (小説)

 朝起きて、本好きなコウタロウはこう考えた。

 必然性と切実さが無いと、結局、良い文章は書けない。俳句は、極限まで無駄な語句を省くから、自然と純度の高いものが出来上がる。
 自分の文章は、どうだろうか?コウタロウは、自問した。

 文章を書くに当たり、論理や整合性も重要だけど、もっと大事なものがある気がした。突き詰めると、言葉をどう使うか、という問題になる。日常生活において、あるいは仕事において

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試行錯誤

試行錯誤

先日、文章を書いている友人が、「アイデアはあるけど形にできない。文章化できない。」という事を言っていて、はてこれはどういう事だろうと、考えた。

中上健次の「問答無用」という人生相談集に、これとよく似た質問に対する中上健次の回答が載っている。中上らしい熱意ある回答であり、僕もその回答に基本的には同意する。

その引用は、長くなるのでここには載せないが、その回答を下敷きにして、自分なりに考えた。

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執念(小説)

執念(小説)

ケンタは近頃、嫌な夢ばかり見た。

そこから逃れるように、毎日ケンタは精力的に動いた。
夢に、喰われるような気がしたからである。

そうして動いていると、果たして良い事はいくつもあった。
お金が稼げた。彼女ができた。

それでも何となく心は満たされなかった。
嫌な夢も、相変わらず見た。

ある夜、夢の中に老人が出てきた。
老人は、
「よく頑張ったな。褒美をあげよう。」
そう言った。
「家の軒下の地

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たまに見た空

たまに見た空

今日はやる事がいろいろあった。
午前中は洗濯をして、リサイクルセンターへ不用品の処分に行った。
午後は買い物をして、古い友人と会った。

束の間の休息。
旧友と会うのは懐かしく、楽しい体験。

友人に会う前に、時間があったので自然公園へ行った。
公園は谷間にあり、小川が流れて、風が吹き抜けていた。
空を仰ぎ見れば、大きなサギが飛んでいた。

風は、まだ冷たさを残しているが、心地良い。
公園の草木は

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春への期待

春への期待

朝は晴れたが、その後は雨と雪。寒いのである。真冬に逆戻りしたようだ。

音楽に、南方系の音楽と北方系の音楽があるように、文学にも南方系の文学と北方系の文学がある。
文化は、それが生まれた土地に根差している。

僕は北国に住んでいるが、冬は苦手である。毎年、毎年、体の芯まで染み込んでくる、この寒さ。心まで凍えてしまう。

それでもこの寒さが、僕を毎年、奮い立たせる。春へ春へと、気持ちを昂らせる。前へ

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3月の曇り空

3月の曇り空

今日は3月11日。東日本大震災から、13年経つ。

今日は曇りで、空はガスで覆われたように白かった。
仕事帰り、夕景の撮影を試みようと西の空を観察していたが、今日は撮影を諦めた。

帰り道、橋のたもとの小さな川で、おじさん達が釣りをしていた。この季節だとフナだろうか。

夕陽は黄金色に輝いていたが、空はどんよりと雲に覆われていた。

13年前、僕は職業訓練所に通っていて、その日はたまたま休みだった

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不満足、あるいは空虚

不満足、あるいは空虚

不満足、あるいは空虚を感じるという事は、大事な事だと思う。
不満足であれば、希望を求めて行動するようになるし、空虚を感じていれば、これまた充実した何かを求めて行動するようになるからだ。

不満や自己嫌悪が人間の活動のエネルギーになる、という事を論じたのはエリック・ホッファーであり、中上健次である。恐らく松本清張も似たような考えを持っていたのではないかと僕は思う。「或る『小倉日記』伝」は名作である。

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