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映画と音楽

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「好きなものを好きなだけ」 映画と音楽に纏わるエッセイやコラムを集めたマガジン。」
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#青春

沢田研二『勝手にしやがれ』が映し出す未練がましい男のかっこ悪さ

沢田研二『勝手にしやがれ』が映し出す未練がましい男のかっこ悪さ

先日、カフェで知り合った友人たちとカラオケに行った。カラオケは最初に歌う曲が1番緊張する。1曲目さえ乗り越えれば、問題は解決するのだが、何を歌えばいいかいつも悩む。最初は「りれき」から歌う曲を選曲しているのだけれど、今回は自分が歌える曲がほとんどなかった。結局、何を歌ったのかは緊張しすぎて、よく覚えていない。

社会人になりたての頃、社内の先輩とカラオケに行く機会が多かった。自身が生まれる前から存

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ORANGE RANGEと夏の思い出

ORANGE RANGEと夏の思い出

すこし早いが、真夏がやってきた。夏にORANGE RANGEを聴きたくなると思う人を、勝手ながら全員友達と思っている。

ORANGE RANGEは僕が小学生〜高校生のときに、お茶の間で一躍有名になったアーティストだ。「花」や「ラヴ・パレード」などバラードの名曲も多いが、やっぱり「ロコローション」や「イケナイ太陽」など、ノリのいい楽曲が特に印象に残っている。

ORANGE RANGEを知ったのは

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29歳、12月24日、クリスマスイブ、志村正彦

29歳、12月24日、クリスマスイブ、志村正彦

クリスマスイブに思い出してしまう1人の男がいる。それはフジファブリックの志村正彦だ。2009年12月24日、クリスマスイブにフジファブリックのボーカルである志村正彦が29歳でこの世を去った。死因は不明。未だに死の謎が解明されていないあたりが、なんとも志村らしいとも思う。

フジファブリックは志村が亡くなったあともメンバーの入れ替わりはあるけれど、いまでもずっと続いている。志村の意思がそこにあるよう

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Creepy Nuts“かつて天才だった俺たちへ”はすべての主人公になれなかった神童に捧げる応援歌だった

Creepy Nuts“かつて天才だった俺たちへ”はすべての主人公になれなかった神童に捧げる応援歌だった

小さい頃はなんにだってなれると思っていた。それが時間と経験とともに、自身の至らなさに気づいて、「所詮自分はこんなものか」と掲げていた夢を諦めるようになる。でも、中には自身の可能性を諦めず、天才になれない事実に抗い続ける者もいる。天才になれなかったと嘆くか。天才になる努力を続けるか。人生の分岐点はおそらくこの辺りなんだろう。

苦手だとか 怖いとか 気づかなければ
俺だってボールと友達になれた

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マカロニえんぴつ“恋人ごっこ”|もう一度やり直したいと願ったあの日々へ

マカロニえんぴつ“恋人ごっこ”|もう一度やり直したいと願ったあの日々へ

終わった恋をもう一度だけやり直したい。そう願った経験は誰もがお持ちなんだろう。失恋したときは後悔に苛まれるくせに、終わってしまうまでその過ちに気付かない。それでもやっぱり人は何度も恋に落ちる。性懲りもなく何度でもまた恋に落ちていくのだ。

2020年2月7日にDigital Singleとしてリリースされた“恋人ごっこ”。2ndフルアルバム“hope”に収録され、MVの再生回数は2000万回を超え

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中島美嘉:“GLAMOROUS SKY”はモラトリアム期を綴った歌だった

中島美嘉:“GLAMOROUS SKY”はモラトリアム期を綴った歌だった

中学生の頃に、『中島美嘉』の“GLAMOROUS SKY”と出会った。とはいえ、当時はテレビで『中島美嘉』がこの楽曲を歌っているぐらいの印象だった。この楽曲の思い出よりも、ドイツW杯の思い出の方が正直強い。ジダンが決勝戦でマテラッツィに頭突きをして、退場になったあの衝撃はいまでも鮮明に覚えている。

“GLAMOROUS SKY”は映画『NANA』の主題歌だ。主人公大崎ナナ(中島美嘉)が劇中で歌っ

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『BUMP OF CHICKEN』“とっておきの唄”〜とっておきになれなかった2人へ〜

『BUMP OF CHICKEN』“とっておきの唄”〜とっておきになれなかった2人へ〜

『BUMP OF CHICKEN』の“とっておきの唄”を聴くたびに、思い出す2人の男女がいる。

学生時代の同期だ。僕は両方と仲が良かった。僕たちは別の友人含む4人で頻繁に遊んでいたため、2人がお別れしたあとは「どっちを誘えばいいかな」と困惑していた。

学校の遅刻は当たり前、勉強は全然できないけど、ルックスが抜群にいいお調子者だった男。男とはまるで正反対。遅刻欠席なし、皆勤賞をいつも獲得していた

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「the pillows」:“Funny Bunny”|夢が叶ったのは自分が頑張った証拠

「the pillows」:“Funny Bunny”|夢が叶ったのは自分が頑張った証拠

キミの夢が叶うのは誰かのおかげじゃないぜ 風の強い日を選んで走ってきた

「the pillows」の“Funny Bunny”に出会ったのは、中学生のときだった。

「BUMP OF CHICKEN」や「ELLEGARDEN」、「RADWIMPS」などあらゆるロックバンドにハマったのも中学時代。当時は新しいロックバンドと出会うために、友人とよくTSUTAYAに行っては、いろんなロックバンドのCD

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『サマーフィルムにのって』みたいな青春時代を送りたかった

『サマーフィルムにのって』みたいな青春時代を送りたかった

これほどまでに「こんな高校生活を送りたかった」と思えた作品は、これまでにあっただろうか。ただの青春と言えばそうとも言える。でも、その一言では片付けられないとある高校生の青春物語がそこにはあった。

恋愛、時代劇、SF、高校生、友情など、あらゆるジャンルがミックスされた現代版恋愛SF青春映画。主人公は伊藤万理華が演じるハダシ、謎の高校生・凛太朗を演じる金子大地。ハダシの幼馴染・ビート板を演じる河合優

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恋愛のすべてはMr.Childrenから教わった

恋愛のすべてはMr.Childrenから教わった

「ただのクラスメイト」そう呼び合えたあの頃はa long time ago

Mr.Childrenの「クラスメイト」のように、僕たちはただのクラスメイトだった。でも、恋に落ちて、その恋が終わった瞬間に、二人はただのクラスメイトではなくなった。

恋に落ちたのはどちらからだったかはもう覚えていないけれど、二人の思いが一度重なった事実は、いまでも鮮明に覚えている。好きだからすれちがい、嫌いになりたく

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