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映画と音楽

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「好きなものを好きなだけ」 映画と音楽に纏わるエッセイやコラムを集めたマガジン。」
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#恋愛

『花束みたいな恋をした』を観ても、まったく胸が苦しくならなかった

『花束みたいな恋をした』を観ても、まったく胸が苦しくならなかった

遅ればせながら『花束みたいな恋をした』を観た。

周りの人から早く観てほしいと言われていた作品で、過去の恋愛を思い出すとか、恋愛と結婚は違うとか、観ていて胸が苦しくなるとか。以前からいろんな感想を聞いていた。

お互いに終電を逃して、運命的な出会いをした麦(菅田将暉)と絹(有村架純)。サブカル好きという共通点を発見し、徐々に2人の仲が縮まっていく。絹の部屋に入ってすぐに麦が「ほぼうちの本棚じゃん」

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思い出は綺麗なままで

『ちょっと思い出しただけ』を観て、すぐに思い浮かんだ顔があった。思い出したくなかったあの顔はやっぱりとても美しかった。いつか街で偶然出会ったときは、どうかかっこよくならないでと願うほどにだ。映画で観たあのシーンは、たしかに私たちの生活そのものである。誕生日に2人で食べたいちごが乗ったケーキは、いつもより格段に美味しかった。水族館に侵入したシーンは流石に現実味がなかったけれど、潰れてしまった地元のカ

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My Hair is Bad:“裸”どれだけ過ちを繰り返そうと、どうせ人は裸に辿り着く

My Hair is Bad:“裸”どれだけ過ちを繰り返そうと、どうせ人は裸に辿り着く

My Hair is Badとの出会いは社会人になってからだ。“恋人ができたんだ”をどこかで耳にし、こんなに真っ直ぐな感情を歌詞に載せる歌手がいたのかと感心したものだ。一言で言えば共感。もっと言うならば、世の男性の恋愛の代弁者。それからいろんな曲を聴いたけれど、印象は「なんだこの女々しい歌詞は」だった。

女性の女々しさよりも男性の女々しさの方が厄介である。男性の女々しさはしつこさがずっと付き纏う

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『BUMP OF CHICKEN』“とっておきの唄”〜とっておきになれなかった2人へ〜

『BUMP OF CHICKEN』“とっておきの唄”〜とっておきになれなかった2人へ〜

『BUMP OF CHICKEN』の“とっておきの唄”を聴くたびに、思い出す2人の男女がいる。

学生時代の同期だ。僕は両方と仲が良かった。僕たちは別の友人含む4人で頻繁に遊んでいたため、2人がお別れしたあとは「どっちを誘えばいいかな」と困惑していた。

学校の遅刻は当たり前、勉強は全然できないけど、ルックスが抜群にいいお調子者だった男。男とはまるで正反対。遅刻欠席なし、皆勤賞をいつも獲得していた

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かけがえのない1日を丁寧に生きることの大切さは全部「アバウトタイム」が教えてくれた

かけがえのない1日を丁寧に生きることの大切さは全部「アバウトタイム」が教えてくれた

いつかの過去を思い出して、あのときああしていれば、もう一度やり直せるならなんてありもしないもしもを考えてしまう人は多いだろう。もう2度と過去には戻れやしないのに、過去にばかり目を向けて、過去の思い出をずっと思い出している。2度と戻らない過去を思い出してしまうあの現象を、誰かが勝手に「後悔」と名付けた。

過去に後悔を馳せるたびに、観たいと思ってしまう映画がある。その映画の名前は「アバウトタイム」だ

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「愛がなんだ」のテルコの気持ちは一生理解できない

「愛がなんだ」のテルコの気持ちは一生理解できない

片思いの代表作品として、名を挙げた「愛がなんだ」。物語の率直な感想は「テルコの気持ちが全然わからない」だった。好きな人のために、自分の人生を簡単に犠牲にしてしまうテルコ。好きな人にいつ呼び出されてもいいように、仕事をやめ、好きな人の喜ぶ顔を見るためになんだって喜んでやる。そのくせして片思いは一向に報われない。

報われない片思いというやつは、他人からすれば儚いものである。当人は必死で悩んでいるのに

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ギブス

ギブス

あなたはすぐに写真を撮りたがる。それを嫌がる私。あなたは過去を残したい人間で、私は過去を残さず、未来を見据えていたい人間だ。ずっと一緒にいたいと思っているつもりだから、もっと目の前の景色を味わったり、2人の時間を楽しみたい。

それに写真は私が古くなってしまう。ふと見返したときに、「ああ、こんなこともあったね」と振り返るのは私らしくないし、どんなときも綺麗でいる努力をしていたいからこそ、私は過去を

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恋愛のすべてはMr.Childrenから教わった

恋愛のすべてはMr.Childrenから教わった

「ただのクラスメイト」そう呼び合えたあの頃はa long time ago

Mr.Childrenの「クラスメイト」のように、僕たちはただのクラスメイトだった。でも、恋に落ちて、その恋が終わった瞬間に、二人はただのクラスメイトではなくなった。

恋に落ちたのはどちらからだったかはもう覚えていないけれど、二人の思いが一度重なった事実は、いまでも鮮明に覚えている。好きだからすれちがい、嫌いになりたく

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