マガジンのカバー画像

個人的に好きな芥川関連記事

39
個人的に好きだった芥川関連記事を集めています
運営しているクリエイター

#芥川龍之介

芥川龍之介の作品年表。

芥川龍之介の作品年表。

芥川龍之介 (1892(M25)~1927(S2)年)

読んだ芥川作品を年代順に紹介。
リンクは私の朗読に飛びます。

明治45年/大正元年【1912】1月
『大川の水』
大川への愛情を語り続ける。

大正3年【1914】4月
『「ケルトの薄明」より』翻訳 0401
ケルト神話的なイェイツの作品をやや文語で翻訳しているやつ。

5月
『老年』
一中節の集まり。
昔浮き名を轟かせた房さんも、今で

もっとみる
芥川龍之介と家族

芥川龍之介と家族

河童忌に想う

2024.7.27
先日7/24は芥川龍之介の命日 河童忌でした。
芥川が13年住んだ田端は、芸術家がまず居を構え、芥川が移ってきてからは文士達がたくさん住んだ文士村と呼ばれていました。その資料館として田端駅のそばに田端文士村記念館があります。
河童忌にちなんで当日は講演などの企画があり、今回は「芥川龍之介が好んだお菓子」を手に入れることができるということで、いやしん坊は出かけまし

もっとみる

芥川龍之介『地獄変』解釈

芥川龍之介の『地獄変』、世間的には良秀の画道に対する狂気や妄執が主題みたいな解釈が多そう(国語の便覧・総覧にもそんな書かれ方をしてた気がするし、↑のリンク先で見かけた『ダ・ヴィンチ』の特集記事も見出し的にそんな方向性っぽい)なんだけど…私の解釈は違くて。
あの小説がえがいているのは“堀川の大殿様”であり、殿の有様を例に取った《人間の欲深さ(の救えなさ、どうしようもなさ)》だと思う。
自分も助かりた

もっとみる
『あの頃の自分の事』感想文

『あの頃の自分の事』感想文

⭐️この感想文は2022年11月9日に書いたものです。

今朝(11月9日)、芥川龍之介の直筆資料が親族の方から寄贈されたというニュース。雨に濡れた手紙など、保存状態のよくないものも。横浜市立大学と藤沢市で協力して修復していくそうです。今回、大学の講義ノートも多く、芥川が大学でどんな授業を受けていたかが分かると、期待が高まっているそうです。
ちょうど感想文を書こうと思っていた作品がありまして、その

もっとみる
船橋屋のくず餅、美味しいな【芥川龍之介】

船橋屋のくず餅、美味しいな【芥川龍之介】

仕事で疲れて頭がぐるぐるしていた日。
何か気分転換しないと家に帰っても気持ちが休まらない…何か好きなことをしたい…と思っていろいろ考えた。

あ!そうだ
芥川龍之介が食べてた「くず餅」、食べてみたい!

帰り道に買えそうなところあるかなと探したら、なんとめちゃくちゃ近くにあった。
今まで全然気が付かなかった(というか知らないから興味がなかった)。

認識とは恐ろしいものです…。

船橋屋「元祖くず

もっとみる
女(芥川龍之介 小説 独自解釈 1)

女(芥川龍之介 小説 独自解釈 1)

引用:青空文庫 芥川龍之介「女」
芥川龍之介 女 (aozora.gr.jp)

 芥川龍之介先生の書いた小説「女」について考えてみたいと思います。

 この物語の主人公は雌蜘蛛、メスの蜘蛛です。「女」と言う題名から、人間の女性の話かと思いましたが、クモでした。人間の女性を「メス」と表現する事はよくありますが、人間以外の生き物を「女」と表現する事は考えた事もなかったので、さすがだなあと思いました。

もっとみる
一番気乗のする時(芥川龍之介 小説 独自解釈 1)

一番気乗のする時(芥川龍之介 小説 独自解釈 1)

引用:青空文庫 芥川龍之介「一番気乗のする時」
芥川龍之介 一番気乗のする時 (aozora.gr.jp)

 芥川龍之介先生の書いた小説「一番気乗のする時」について考えてみたいと思います。このお話を書いたのは大正6年ですから、25歳の時でしょうか。

 冒頭で「僕は冬が好きだから、11月・12月が好きだ」と書いています。その理由として、11月末から12月初めの頃、夜遅くに家に帰ってくると、何とも

もっとみる
[勝手に芥川研究#8] 「地獄変」は芸術至上主義の傑作か?

[勝手に芥川研究#8] 「地獄変」は芸術至上主義の傑作か?

「地獄変」は芥川のあまりにも有名な短編です。初期・中期の作品の中でも完成度の極めて高い、彼を象徴する芸術至上主義の傑作とされています。
 この作品を読むとき注意しなければならない点がひとつあります。語り手である大殿の奉公人が必ずしも真実を語っていないということです。色眼鏡を通して大殿の所業について語っているため、大殿が善人であることになっていますが、読んでいけば自ずとわかるように、大殿は相当我が儘

もっとみる
或恋愛小説 或は「恋愛は至上なり」(芥川龍之介 小説 独自解釈 1)

或恋愛小説 或は「恋愛は至上なり」(芥川龍之介 小説 独自解釈 1)

引用:芥川龍之介「或恋愛小説――あるいは「恋愛は至上なり」――」
芥川龍之介 或恋愛小説 ――或は「恋愛は至上なり」―― (aozora.gr.jp)

 芥川龍之介先生が書いた「或恋愛小説」について考えてみたいと思います。登場人物は、小説家の堀川保吉(ほりかわやすきち)と婦人雑誌社の編集者。面会室での二人の会話を小説にしています。

 編集者に恋愛小説を書いてほしいと切り出された保吉は、書きたい

もっとみる
新説「蜘蛛の糸」

新説「蜘蛛の糸」

〜なぜ蜘蛛の糸は切れたのか〜

京都の日蓮宗の三木大雲さんという僧侶がおられます。
とても人気のお坊さんでYouTuber、作家でもいらっしゃいます。
お話がとてもお上手で、ある時移動の途中に聴いていますと、おや!と興味深いお話です。

「蜘蛛の糸」をお坊さんがしたがらないのはお釈迦様は薄情なのだと勘違いする方がおられるからだそうです。
大人になって読み返すと確かに無常感のようなものが込み上げてき

もっとみる
【読書】「寒山拾得」芥川龍之介 〜飯田橋で寒山拾得に遇った話〜

【読書】「寒山拾得」芥川龍之介 〜飯田橋で寒山拾得に遇った話〜

体調があんまり回復しません。
noteもなかなか書く気力が起きなくて…悲しいです。

そんななかではありますが、本は変わらずに読んでいます。
最近は、芥川龍之介の『杜子春』(角川文庫)を持ち歩いて、通勤時間に読んでいます。

そのなかに、私の好きな話が載っていました。

寒山拾得(かんざんじつとく)なぜ好きかと言うと、言語化するのが難しいけれど、やはり芥川の人となりを感じられるからだと思う。
あと

もっとみる
下人はやっぱり「勇気」を振り絞ったのだと思う

下人はやっぱり「勇気」を振り絞ったのだと思う

1.ざっくり

羅生門の門の下で盗人になることを積極的に肯定できない下人が雨宿りをしていた。生きるためには盗人になるしかないが、問題を先延ばししてとりあえず羅生門の楼の上へ。そこで老婆に出会い、老婆の論理を逆手に取るかたちで、引剥(老婆の着物を剥ぎ取る)をする。下人は梯子をかけおり、夜の闇に消えていく。下人の行方は誰も知らない。

2.老婆の論理

・悪に対する悪は許される
・生きるために仕方なく

もっとみる
[勝手に芥川研究#6] 人としての芥川龍之介~実直のひと

[勝手に芥川研究#6] 人としての芥川龍之介~実直のひと

人としての芥川龍之介について、気難しくて理屈っぽく、冷徹で神経質、ブルジョア気質から所詮抜け出せなかった小市民、常に他人から攻撃を受けないようにバリアを張っていた臆病者等々、色々ネガティブなイメージを持つ人がいます。もちろん人間ですので好き好きあるのは当たり前です。
ただわたしから見る芥川は、良くも悪しくも自分に真っ正直で他人にも嘘をつけない「実直のひと」だったと思います。逆にたまには自分に嘘をつ

もっとみる
[勝手に芥川研究#5]「侏儒の言葉」の復刻版が届く~ついでの超初期3編感想など

[勝手に芥川研究#5]「侏儒の言葉」の復刻版が届く~ついでの超初期3編感想など

侏儒の言葉

芥川龍之介の「侏儒の言葉」復刻版をメルカリで購入しました。1000円足らずで安い上に「おまけつけますね」と「傀儡師」復刻版まで送ってくれました。出品者様、ありがとう!古本屋もよいけど、古い本を手軽に手に入れるにはメルカリは便利ですね。先日もポール・オースターの「最後のものたちの国で」(文庫版がありませんし、単行本もなかなか入手困難です)を手に入れましたし、本当に助かります。

研究と

もっとみる