芥川龍之介の作品年表。
芥川龍之介 (1892(M25)~1927(S2)年)
読んだ芥川作品を年代順に紹介。
リンクは私の朗読に飛びます。
明治45年/大正元年【1912】
1月
『大川の水』
大川への愛情を語り続ける。
大正3年【1914】
4月
『「ケルトの薄明」より』翻訳 0401
ケルト神話的なイェイツの作品をやや文語で翻訳しているやつ。
5月
『老年』
一中節の集まり。
昔浮き名を轟かせた房さんも、今ではしみったれた老人になった。が、謡を聞いているうちに次第に気持ちが若返ったのか、猫を相手に一人、口説きを始める。やむ気配のない雪景色と過去の栄光が降り積もる。
大正4年【1915】
9月
『羅生門』
ご存知、雨止みを待つ下人の物語。
大正5年【1916】
1月
『鼻』
鼻の異様に長い僧がいざ短くなると何が起きたか…。
人は人の不幸を望むという突然の差し込みが光る短編。
2月
『孤独地獄』
母から聞いた、何事も楽しめなくなってしまい姿を消した禅僧の話。孤独地獄は、どこにでも出現する。
3月
『父』
修学旅行での友人・能勢くんとの思い出。
人におもろいあだ名をつけるのが上手い能勢くんが、自分の父親にもそれをやる羽目になる。
『虱』
長州征伐に向かう船中は虱に悩まされていた。が、虱を飼う者、食う者が現れ、やがて両者は衝突し…。
7月
『野呂松人形』0718
滅びゆく文化であろう野呂松人形の芝居を見て、文学は、自分の作品は、どうなるのだろうかと思いを馳せる。『後世』に通ずる感。
8月
✕『芋粥』
芋粥を腹一杯食べたい、という欲望を大事に持っていた五位が、突然その欲望を他人の力で満たされる事になり…。夢見る幸せと、他力で叶う味気なさ。
とても好き。
『創作』0819
小説の種を人に提供する男の会話文。
本当と嘘の境目なんて曖昧なもの。
9月
『出帆』
旅に出た友人を波止場で見送った時の話。「燃焼」できない人だ、という一文が印象に残る。出てくるのが豪華メンバーなのが面白い。
10月
✕『煙草と悪魔』1021
フランシス・ザビエルと共にやってきた悪魔が、牛飼いと煙草の名前当ての賭けをする。悪魔のうっかりオチ。善の裏には必ず悪が。
12月
『運』
青侍と陶器師が、神頼みの効果について話す。
陶器師が語る、神頼みで大変なことになった、女の物語。
大正6年【1917】
3月
『貉』
狸が人を化かす起源を説きつつ、あると「信じる」事の価値を語る気持ちいい短編。
5月
『さまよえる猶太人』510
様々な文献に姿を現す「さまよえるユダヤ人」について考え「なぜ?」に迫る。面白い。
8月
『産屋』
7日待てなかった男の話。
9月
『蛙』
池から蛙の声。
全ては蛙のためにあるのだ、と大合唱。
蛇さえもだ!
✕『女体』
虱になって、妻の体の美しさを知る。
『はっきりした形をとる為めに』
なぜ書くのか?書きたいから書くんです。
かっこいい。
10月
『黄粱夢』
一睡の内に自分の一生を見た男。人生はそんなもんだと老人に言われ、「だからこそ生きたい!」と答える、短いが生命力に溢れる一作。
11月
『戯作三昧』
曲亭馬琴の執筆の風景と芸のこだわりを描く。
天才か凡才か。気難しさに溢れる描写が面白い。
ラストの救いが清々しい。
✕『森さんのスタイル』
森鴎外のスタイルこそ本物。
『一番気乗のする時』
書くには冬が良い。
大正7年【1918】
1月
✕『英雄の器』
項羽は英雄の器ではなかったと主張する武将。
劉邦が一言。
「だから英雄の器だったのさ」
戦ったものにしか分からない絆、的な!?
✕『文学好きの家庭から』エッセイ
特に影響を受けたのは叔母。
2月
『南瓜』
台詞調の形式で面白い。一寸法師が人を殺した、という話をする男。
4月
『蜘蛛の糸』0416
芥川といったら、このイメージが強い。
朗読の教科書的作品とも言われる。
お釈迦様と地獄に落ちた盗賊のカンダタ。
生前、カンダタは蜘蛛を助けてやったことがあるので、お釈迦様はその蜘蛛の糸で地獄から引き上げてやろうとするのだが…。
『地獄変』
地獄の絵屏風を描くことを命じられた絵師・良秀とその娘、時の帝の複雑な思惑が交錯し、やがて地獄のような光景に辿り着く。圧巻。
『袈裟と盛遠』
袈裟の旦那・渡を殺しに行こうとする盛遠、
旦那になりすまし、部屋で殺されるのを待つ袈裟、その二つの独白から成る短編。
こじれた、業の深い恋愛。
5月
✕『イズムと云ふ語の意味次第』
〜主義というものは人に付けられる物で当てにならない。
6月
『悪魔』
美しい姫を堕落させたいと願いながら一方で、堕落させたくないと願う悪魔の胸中。
『開化の殺人』
殺人を告白する医師の手紙。想い人を悪夫から救うために男を毒殺したが、その女は違う男と再婚する。
もう一度あの薬を使えば…揺れ動く告白の記。
『京都日記』
京都の思い出あれこれ。竹やぶが美しいけど迷子、光悦寺の建て増した建築が邪魔、迷子さんの鼻水かわいい。
8月
『奉教人の死』8.12
教会に捨てられ育った「ろおれんぞ」が、邪淫の罪を着せられ追放。その後の大火、身を捨てた救出劇、ドラマチックなクライマックス。
人の命は一瞬の輝きこそ。面白い。
『るしへる』
天主教を捨てて仏門に入った僧が記した、悪魔「るしへる」との会話。悪魔は地獄を知り、また天国を知る。その心は善なり、と。
10月
✕『永久に不愉快な二重生活』
芸術と、生活について。
✕『私の嫌ひな女』
バカが嫌い。殊に賢いと思ってるバカが。
12月
『犬と笛』
笛の上手い髪長彦が、山の神にすごい犬を呼び出せる笛をもらう。嗅げ、飛べ、噛めの三種の犬を授かった彼は、
さらわれたお姫様を救う冒険の旅に出る。
『邪宗門』(10〜12月)
『地獄変』の帝の息子の時代におきた変わった出来事。摩利信乃法師と呼ばれる抜群の法力を持ったキリスト教の僧が仏僧と法力合戦というエンタメの後、未完で終了。続き読みたい…。
大正8年【1919】
2月
『窓』
孤独な男は来客を待っていたが、向いの家の女に夢中になる。
4月
『蜜柑』
鬱々とした気分の汽車の車中、目の前に座る汚い小娘。この気分を一気に転換させた、小娘の、行動。
『沼地』
ある展覧会で見た陰鬱な沼地の絵。
どうしようもなく惹きつけられると、作者は自殺したのだという。命を賭けて描いた絵を、鼻で笑われる画家。
『竜』
今昔物語を作ろうと民衆に呼びかける男。集まった中の一人の翁が、竜が池から現れた話、を語り始める。
6月
『疑惑』
地震で建物の下敷きになった妻、迫る炎。
男はその時取った行動から一生疑惑に苛まれる事になる。
7月
✕『後世』
名文。自分の文章がいつまで残るかも分からないけど、
数十年後の読者が一人でも自分の幻想を見てくれたら良い。
願いの一篇。
8月
『じゅりあの・吉助』
愚直な信仰が神に通じ、口から花が咲く。
『往生絵巻』もこのパターン。
『忘れられぬ印象』
伊香保の思い出。一緒に温泉に入りまくった紳士の話。
11月
『魔術』1110
友人に魔術を習った私。
その魔術は、欲を出した途端に使えなくなってしまうというが…。どこか胡蝶の夢の現代版のような雰囲気。
12月
『尾生の信』
来ない恋人を待ち続けて溺れ死んだ尾生の話から、その魂が自分に宿り、何かを待ち続けている、と繋げる。
『舞踏会』
鹿鳴館での舞踏会、日本女性とフランス人。
そしてその後のオチが面白い。
大正9年【1920】
1月
『葱』
小説を書く作家のボヤキから始まり、カッフェの女給の夢想と現実を描き出す微笑ましい作。
軽快なノリが面白い。
3月
『東洋の秋』
文筆生活への疲れ、寒山拾得がいるからと持ち堪える芥川。
『沼』
沼地をさ迷う男が音楽に誘われ、沼地に飛び込む。
口から睡蓮の、仏教感。
4月
✕『私の好きなロマンス中の女性』4.1
Twitterみたいな短文ギャグ。存在しないからこそ好き。
5月
『女』
雌蜘蛛が蜂を殺し、子を産み、やがて死んでゆく。
美しさ漂う文章。価値観の転換。
『黒衣聖母』
悪意あるような微笑をたたえた聖母像にまつわる、ちょっと不気味な話。
6月
『杜子春』
有名な、大金を二度も貰い、使いきり、仙人の修行をする話。畜生の父母のシーンが印象的。
まっすぐに生きていこう。
8月
✕『愛読書の印象』
芥川先生の愛読書の変遷あれこれ。
9月
『動物園』
動物園で眺める動物たちを、色んな物に例えたりする面白い小品集。
12月
『アグニの神』
少女をさらってきて、アグニの神の依代にする婆が、
神に怒られる。
『妙な話』
戦争に行った夫を心配する妻のもとに現れた郵便配達人。実は夫の所にも現れていたらしく…妙な話。
そしてヒヤリなオチ。
大正10年【1921】
8月
『母』
中国と日本を舞台にした、子を亡くした母の話。
黒い感情。
9月
『好色』
「いや、吉祥天女にしても、こんな糞はする筈がない。」
惚れた女に振り向いてもらえない女たらしが、どうにかその女を嫌いになろうと、女のうんこをかっぱらう話。なにこれ。
12月
『藪の中』
とても好き。一つの事件に対し、いくつもの「証言」が集まり、それがどれも喰い違う。「真実」は人の数だけ。
何度でも味わえる名作。
『俊寛』
様々に語り継がれている俊寛の物語、その真相はこんなでした、と俊寛のお付きの物が物語る。偉大な俊寛は、意外とお気楽に暮らしていたのだ。
大正11年【1922】
『パステルの竜』
外国の女性作家の作品を、自らの翻訳を添えて紹介する。
『一批評家に答う』
批評家におこな芥川先生。ごもっともである。
3月
『仙人(皆さん。私は今〜)』
仙人になりたいと医者の家に住み込んだ権助は無理難題を言いつけられても二十年間奉公し…信ずる者は救われる、話。
『トロッコ』
トロッコ大好き良平くん、土工についていって遠くまで。泣きながら走って帰る。見慣れぬ景色の絶望感。
真髄は末尾の数行。これは、人生の話なのです。
5月
『着物』
こんな夢を見た、で始まる小品。
着物を皆にディスられる男の話。
7月
『魚河岸』
魚河岸で友人たちと飲んでいると、
怖そうな男がきて以降、盛り上がらなくなった。
こいつを退治してくれる男がいたら、と思っていると…
8月
『おぎん』
キリスト教徒の殉教物語。だが、これは死刑の直前に教えを捨てた家族の物語。教えを守るか、家族の愛を守るか。染みる。
12月
『教訓談』
人が人を食った話としてかちかち山を上げる。内なる獣。
『漱石山房の冬』
場所から過去の思い出が吹き出してくる、タイムマシンみたいな作品。
大正12年【1923】
1月
『プロレタリア文芸の可否』
精神の自由こそが大事!
2月
『二人小町』(戯曲)
小野小町を連れに来た黄泉の使い。
だが小町は命乞いし、代わりに玉造小町を連れていかせようとして…。
『猿蟹合戦』
童話のその後の皮肉。裁かれる蟹。君たちもたいてい蟹なんですよ。怖っ!
3月
✕『私が女に生れたら』
夫を操り自分を成長させる。
4月
『伊東から』
けふの自習課題、について。
7月
『白』
まっ白な毛の犬・白の毛が、仲間の犬を見捨てた時に黒くなる。家に帰っても自分だと分かってもらえない白は寂しい放浪生活に出て…。
犬を主人公にした童話めいた中に、「黒くなる」事が重く響く傑作。
9月
『お時儀』
保吉と、電車で出会う少女の淡い恋物語。
おじぎをした、しないに煩悶するかわいい作。
幕切れ、電車の擬音が印象的。
11月
『あばばばば』
保吉シリーズ。タバコ屋の店番のはにかみ屋の女が、母になり、いっこうはにかむ様子を見せなくなる。
「母」への愛とある種の怨念みたいなものが、芥川作品には結構あるような…。『女』しかり。
12月
✕『一塊の土』
息子に早く死なれたお住は、嫁のお民とその子供と共に生きる。強いお民を頼りにする気持ちが次第に妬みになり、死を願う。ほっとする、恐ろしい気持ち。
人生の呪いとでもいうような物を描き出す凄味ある短編。
大正13年【1924】
1月
『金将軍』ちくま文庫全集5
朝鮮の歴史話。
清正と行長が目撃した不思議な子供が、後に行長を討ち取る。
剣が宙を舞ったり斬られた首が動いたりする。
歴史話は盛られがち。
2月
✕『霜夜』
霜夜の思い出。芥川先生就寝前のルーティン。
3月
『「すみ子の小唄」』
本を貰うのは迷惑!
『第四の夫から』ちくま文庫全集5
チベットのラッサで、一妻多夫で暮らしているという男からの手紙。文化圏の違いと価値観の違い。
✕『或恋愛小説』ちくま文庫全集5
保吉もの。恋愛小説を雑誌社に書いてくれと頼まれた小説家が、構想を話す。ロマンスのようでシビアな、勘違いから生まれる恋の話。
戯曲形式。
5月
『「仮面」の人々』
同人雑誌「仮面」の人々との交流。
6月
『鷺と鴛鴦』
銀座で見かけた二人の美人姉妹の話。鼻毛で髪が臭い。
✕『新緑の庭』
庭の植物たちが愉快に語り出す掌編。
『桃太郎』ちくま文庫全集5
芥川版桃太郎。天界の桃が地上に落ちることでこの世に生まれた桃太郎。吉備団子をけちり、罪もない鬼を蹂躙する、裏・桃太郎。リズムが良い。
7月
『蒐書』
本を集めることについて。本棚を見れば人が分かる、誠に。
8月
『十円札』ちくま文庫全集5
保吉もの。借りた十円に悶々する。
大正14年【1925】
1月
『大導寺信輔の半生』
どことなく自伝めいた、大導寺くんの生活。強いコンプレックス。
3月
『私がもし生れかはるならば』
人間がいい。もしくは順に下等になっていく終点を見たい。
4月
『詩集』
売れない作家の詩集が姿を変えてリンゴを包む紙になる、という、可愛そうだけど詩的なお話。好き。
✕『雪』
土も肌も同じ。印象的なモデルの言葉。
✕『ピアノ』
誰もいないのにピアノが鳴る。栗。震災。
5月
✕『沙羅の花』
沙羅の花、そこにあった石、今はどうなってるかしら。
✕『臘梅』
芥川家に残ったものは…。
8月
『尼提』8.13
トイレ掃除人が釈迦と出会い出家する。
お釈迦様の見事なワープが決まる。
9月
『海のほとり』
海の近くでの友人との思い出。
海沿いに出る幽霊の話など、どことなく不穏。
『死後』
自分が死んだ後、友が悲しんでいない夢、妻が再婚している夢。
✕『我机』
自分の机について。
✕『才一巧亦不二』
タイトルは難しいけど内容は簡単でシニカルで面白い。
神童も二十過ぎればただの人、に本当の神童はこう答える。
✕『微笑』
久米とのエピソード。駆け出さなくっちゃ間に合わない。
12月
『年末の一日』
年末に訪ねてきた友人を漱石先生のお墓に案内しようとするが、お墓に辿り着けない。不安な感じ。
月不明
✕『軽井沢で』
意味ありげな短文集。
さようなら僕の抒情詩時代。
『偽者二題』
芥川に金を貸した!芥川に序文を書いてもらった!
偽者の行動が手紙で本物に届く。
大正15年【1926】
1月
『二人の友』
森鴎外の友人で、自らの先生の福間先生の事。しょうもないギャグをよく言う人だった。
3月
✕『一人の無名作家』
無名の作家の作品に感動。
埋もれていく人も沢山いるのだろうな。
4月
『カルメン』4.10
僕たちが夢中になっていた女優・イイナの、カルメンさながらの私生活。
『凶』4.13
霊柩車、瓶に映る男の顔、霊柩車。
不吉な雰囲気。
5月
✕『囈語』
短い項目がいくつかのエッセイタッチのもの。
腹の具合に関する事柄を鯨の潮や鮫の卵に例える面白さ。
✕『横須賀小景』
エッセイ的スケッチ。
世界が歪んだような感覚。
『又一説?』
短歌は文芸に取り残されるかどうか考える。
6月
✕『亦一説?』
小説家と大衆文芸家について。
✕『無題』
腹痛で講演会を休みます、という文章。
腹下しの表現がおもろい。
7月
『三つのなぜ』7.15
物語中の「なぜ」を考える。ファウスト、ソロモン、ロビンソン。
『鵠沼雑記』7.20
日々の縁起悪げな出来事のスケッチ。参ってくる神経。
8月
『春の夜』8.12
Nさんという看護婦から聞いた話、として始まるちょっぴり怪奇ストーリーだが、ラストが非常に味わい深くて癒される。
10月
✕『槐』
槐の木に関するエッセイ。
『点鬼簿』0909
点鬼簿、とは、死者の姓名を記した帳簿のことだそうだ。芥川の家族たちの思い出が綴られる。
書き出しの「僕の母は狂人だった」が強烈。
『悠々荘』1026
三人で散歩中に見つけた廃墟の事を色々想像しながら探る。無常感。美しい短篇。
12月
✕『鬼ごっこ』1201
昔鬼ごっこをしていた女との再会。
やけに真面目な顔をしているな、という感想。
結婚。
✕『僕は』1204
僕は、で始まる自己分析。
僕が、(人との関係において)何人にも分かれている、という所が目を引く。
『或社会主義者』1210
運動から離れても変わらぬ情熱くすぶる彼。その想いは知らぬ所で受け継がれる。
昭和2年【1927】
1月
『玄鶴山房』
よくもまぁ、これだけ色んな感情を短編に織り込んだもんだ。肺病の玄鶴の家で起こる家族内外の人間関係の堆積。
2月
『河童』(11日)
精神病院に入院中の患者が語る、河童の世界に行った時の話。
✕『都会で』
都会で出会う物たちの記録の断片。
『或阿呆の一生』めいた雰囲気が感じられる。
『その頃の赤門生活』
学生時代、こんな事があったなぁ…。ドイツ語の件が面白い。
3月
✕『小説の読者』
読書傾向にも色々ある。読書階級って言葉おもしろ。
『蜃気楼』
蜃気楼を見に行った時の話。友達と海岸をぶらついているとき、水葬のネームタグを発見したり、夢の話、マッチの灯りの話など、どことなく不気味な雰囲気。
4月
✕『歯車』
全てが自分に攻撃的に刺さってくるような感覚。
幻覚、幻聴。これは、しんどい。
✕『春の夜は』
春の夜に関する短文いろいろ。
5月
『二人の紅毛画家』5.6
マティスとピカソについて。ピカソはいつも城を攻めている。
✕『しるこ』5.7
おしるこやが地震を境に姿を消した事を嘆き、しるこが世界を席巻する空想を楽しむ。
6月
✕『或阿呆の一生』
芥川が、自ら命を絶つ前に書いた人生振り返り。
『歯車』『侏儒の言葉』とかと合わせて読むと絶望が深い。
✕『講演軍記』
里見弴と北海道に講演旅行に。
7月
✕『機関車を見ながら』
人間は機関車である。軌道から逃れられない。どこか諦めの漂う寂しい風景。
9月
『十本の針』
芥川の遺稿、十の格言。詩人の詩は、その詩人の全て。
大正12年〜昭和2年
『侏儒の言葉』
ピリリと辛い、核心を突く一言集。深い。
遺稿
『闇中問答』
僕と或声の対話。死への道を辿る芥川の必死の抵抗がここにある。
不明
✕『兄貴のような心持ーー菊池寛氏の印象ーー』
兄のように慕う菊池寛について。
『かちかち山』
童話のかちかち山が、やたらに幻想的な風情でもって描かれる。宗教画のような神々しさ。
『寒山拾得』
夏目漱石先生との交流。
飯田橋で、絵画から抜け出た寒山・拾得を目撃。
それを夏目先生に手紙で書こうと思うとこ、かわいい。
✕『鑑定』
買った作品を偽物だと皆に言われたが…
✕『孔雀』
孔雀に化けたカラス、本物の孔雀、見分けのつかぬやつら。
『佐藤晴夫氏の事』
佐藤氏はまず詩人である。
✕『商賈聖母』
天草の城での動乱。体現止めのダイナミックさ。
『饒舌』
始皇帝が現代で学者を殺している、という夢を見た話。
✕『塵労』
お金を前借りに行った友人は、貧乏暇なしで旅行の暇がないと言うが、仕事で旅行に行きまくってた。
『仙人』
瓢箪集めマニアの友人の、瓢箪船。
✕『装幀に就いての私の意見』
装幀、もっとキレイに出来ると思うんです。
✕『出来上った人ーー室生犀星氏ーー』
人間・室生犀星を評する。大した人だ。
『東京小品』
鏡、下足札、漱石山房の秋、の三作。鏡に夢中の子供、酔っ払った外国人と芸者の恋、漱石山房の風景。
✕『東京に生れて』
東京について語れと言われたけど、距離が近すぎて難しいわ。
✕『春の日のさした往来をぶらぶら一人で歩いてゐる』
芥川先生のお散歩日記。かわいい。
✕『比呂志との問答』
息子・比呂志とのかわいい会話。
✕『文章と言葉と』
はっきりした文章を書きたい。
『三つの指環』
それぞれ能力の違う指環を持った三人が集う。
小説体と半分戯曲みたいな状態とがある未定稿。
✕『森先生』
森鴎外の思い出。日焼けしてないと認識出来ない。
✕『夢』
夢の色彩、匂い。
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