マガジンのカバー画像

ショートステイ

130
クリエイター・リンク集「バスを待つ間に触れられるものを探しています」
運営しているクリエイター

#自由詩

詩「ワンルーム•パパ」

先日あなたは
遠くに行きました
戻る気配はないようです

買ったことない
野菜の調理法
誤って
歯に挟まったり

そんな僕のような
あやまちを
母さんと出会う前
あなたもしたでしょ

"ひとり"と"ひとり"になれたから
話をしたい
「エヴァ、終わりましたね。」

やり切れない思いを
見せ合いながら 笑いながら

眉毛の太い
足の短い
僕によく似た男の子

【詩】CROW

【詩】CROW

深淵はもう飽きました
表層に憧れてます
うらぶれた地質学に小さな納屋を建て
夕陽のことを考えて、戒名と共に暮らす
昨日の事を今日のように話す家畜と
生活の匂いのしない長さと
大小の容れ物に仕舞われた作物と
舌先(のようなもの)と

戻った時にはひとりだった
今度は耐えられるだろう
レンズの裏側に捕らえられた展望のうち
一体どれだけのものを私は相続出来るだろう?
どれだけの足が私の後を追うだろう?

もっとみる
【詩】凱旋門

【詩】凱旋門

もう忘れたかな?
駅までの道が暗くて少し怖かったこと
もう忘れたかな?
ルーズリーフの穴の数が微妙に合わなかったこと
あの角のタコスサンドは閉店間際は大盛りで
もう忘れたかな?
君は大勝利を手にあの門を潜る
堂々と胸を張って
胸を張って

もう忘れたかな?
「ありがとう」と「ごめんね」を毎日繰り返して
もう忘れたかな?
いつまでも好きなままじゃいけないって気付いて
ハイドパークの白鳥に指を噛まれて

もっとみる

居座る人

知らない人が
代わりばんこに毎日
わたしの部屋で
わたしを待っている

はじめの人には
大層驚いて
尋ねたり諭したり
怒ったり脅したり
などして
実力行使に出たが
うんともすんとも言わず動かず
居座りは解けなかった

警察も呼んだが
物語の紋切型よろしく
他人には見えないようで
気がつけば
わたしは
異常者だということになった

さて
居座る人は
次の人も次の人も
次の人も次の人も
一日で消えてゆ

もっとみる

現実的非現実

ある昼下がり

大通りに面したオープンカフェでは
憂いを含むジャズが静かに流れ

コーヒーを飲み干し
気だるそうにあくびを噛む男と

その隣に

手鏡を見ながら口を開け
口紅を塗り直す女が座る

少し離れた席では

ラブラドールが
新聞を読み耽る老紳士の足元に
顎を付け穏やかに伏せ寝している

通りに目をやると

ボーダーのカットソーを着た青年が
古い二眼レフカメラの
ファインダーを覗いており

もっとみる
再度出会う

再度出会う

もう誰も追わない、誰とも知り合わない。
密かに感じていた。
私の心の音と貴方の心の色は此処から見る夜空の向こうの電波塔と繋がって、微弱な電波から流れ出るシンパシーは私の心を占拠しているように感じられていた。
私の心が誰かの空を呼ぶ度、不気味に浮遊する物体は私の胸元から入り込み私の身体に呪いの様なものをかけていく。

静寂の中、月を見上げると、さっき迄其処に浮かんでいた筈の月は消えていた。
公園の隅

もっとみる
ことば

ことば

わたしの こころ すくうため

わたしは ことば つむぎます

なんの やくにも たちゃしない

なんの こうして たっている

くうきが すんだ あさやけも

くうきが ねばる くらやみも

ことばは いつも まっている

ひろってくれよと まっている

わたしが ことば つまんだら

わたしの こころ おどりだす

そうこなくっちゃ あそびましょう

そうこなくっちゃ うたいましょう

おひさ

もっとみる
【詩】STAY HOME

【詩】STAY HOME

飛行機雲が稜線に交わる
伝えたいもの手に入れたからSTAY HOME
まだ出て行かないよこの星から

目も眩む深い谷を渡る
木霊に何度も呼び掛けて確かめていたい私の本当の住所
それでも明日が来てしまうなんて考えたくなくて
動きたくないんだこの橋から

ペンと紙切れひっ掴んで駆け出した
芽生えた気持ち逃がすためのSTAY HOME
まだ出て行かないよ
燻ってる炎、消えるまで見届けたいから

指先に宿

もっとみる

詩「地球外炭酸飲料」

となりの県にも
    いけない俺は

地方の一間で
   宇宙にいくよ

    ほらだって

      理科室の匂いだし

          キンピカだし

    湧き上がる
      一粒一粒が
        小惑星の
         地球外炭酸飲料

  こいつを飲み干したんならば、
        宇宙にいけない
           わけないだろ

  ツーツー...

もっとみる
パラパラ・チャーハン

パラパラ・チャーハン

チャーハン食べて生きようよ
意気揚揚と生きようよ
チャーハン・パラパラ・パラダイス
走攻守揃った紹興酒
御念のこもった五年物
寝ても冷めても美味しいよ

チャーハン食べて生きようよ
死ぬまで食べて生きようよ
蓮華の上に咲くチャーハン
白胡椒の蓋、故障中
五目チャーハンごもっとも
覚めて冷まして4000年

チャーハン食べて生きようよ
チャーハン食べて終わろうよ
痛め悼まれ炒めれば
この世は茶番の半

もっとみる