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もう忘れたかな?
駅までの道が暗くて少し怖かったこと
もう忘れたかな?
ルーズリーフの穴の数が微妙に合わなかったこと
あの角のタコスサンドは閉店間際は大盛りで
もう忘れたかな?
君は大勝利を手にあの門を潜る
堂々と胸を張って
胸を張って

もう忘れたかな?
「ありがとう」と「ごめんね」を毎日繰り返して
もう忘れたかな?
いつまでも好きなままじゃいけないって気付いて
ハイドパークの白鳥に指を噛まれて痛かったこと
もう忘れたかな?
不安なのが許せなくて大声で笑ってみせた

街に夢が戻って
色とりどりのバルーンが空を埋め尽くした
昨日のことのようだけど
遠い昔のことのよう
私たち観覧車で見てたよね
一部始終

思い出せるかな?
早く歳を取りたくてドライマティーニを注文した
思い出せるかな?
使われないままの巣箱が何年も放っておかれて
広場の時計が止まってたの知らなかった
思い出せるかな?
まだ乾いてないアスファルトも全部沫に変えて

君だけが鳥になることを許された
世界をこんなに悲しませても
積み上がったエアメール
返事を書いたのは一度きりだった


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お読みいただきありがとうございます。気づいた方もおられると思いますが、この凱旋門は有名なフランスのパリにあるものではなくて、イギリスのロンドンにあるウェリントン・アーチのことです。まあ、内容的には何処のでもいいんですけどね。十数年前、イギリスに旅行に行った時のことを思い出して書きました。あと、かぐや姫の「神田川」もちょっと入ってます(⌒∇⌒)。

愛すべき時間をたくさん持っている人は幸せだと思います。

読んでいただき、ありがとうございます。 ほとんどの詩の舞台は私が住んでる町、安曇野です。 普段作ってるお菓子と同じく、小さな気持ちを大切にしながら、ちょっとだけ美味しい気持ちになれる、そんな詩が書けたらなと思っています。