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ロボモフ
2021年12月27日 23:15
私たちはそれぞれに好きなものを注文した。「中華そば」「私も」「ご注文を掘り起こします。あなたは塩ラーメン、あなたは味噌ラーメン。自分と何かを結びつけることは生きる基本です。あなた方は正しい。だけど、あなたは中華そば。そして、あなたも。あなたも? 待ちなさい今何と言ったの? まさかあなたも中華そばと? あなた! あなたとあなた、全く同じであることはできないわ。ここで生きていくためにはそれぞれ
2021年5月23日 02:03
「魔法みたいな水だね」「いいえ。名前の力よ」 オレンジ、パイナップル、アップル、ストロベリー。 欲しいものの名前を書いてからスイッチを入れるだけ。 あとはサーバーの中の水がシェイクされて、数秒後にはその名の通りのジュースが完成する。この世に存在するものの名ならば、できないものはない。夢のような製品と言えた。「あんず」「何それ?」 飲めばわかる。(書けばわかる) できあがったあんず
2021年4月10日 02:43
駒の損得はほぼ互角だ。駒の働きは敵の角が隠居しているのに対して、私の角は攻防に利いている。玉の堅さは相手の方が上回っているが、私の方が左右に逃げ道がある。手番は私だ。(これが何よりも大きい) 背筋の伸びは相手が猫のように丸まっているのに対して、私は少しは伸びているのではないか。顔の長さにおいては私の方が香車一枚ほど長い。眼光の鋭さ、それは計測不能ではないか。私は敵を真似て目を閉じた。その方がよ
2021年3月21日 02:57
「最後の試験です。今から流れる映像に合わせて止まることなくツッコミを入れてください」 バーチャル空間に現れるアクシデントに、俺は休みなくツッコミ続けなければならない。一瞬でも止まったら、俺はツッコミ失格だ。 ・ Ready Go ! ・ ・ ・「天井高いな!」「ポメラをまな板にすな!」「お茶熱すぎや!」「セールばっかりやな!」「鞍馬天狗か!」「どこが先手やねん!」「どんな囲
2021年2月20日 01:38
お、何だい鴉の野郎でかい顔して下りてきやがった「今日はあの猫はきてないのかいつもならあの店の扉があいていつもあいつは背中丸めて缶詰食べてるのにまあ今日は雨だしな」鴉が何ぶつぶつ言ってやがんだチャカチャンチャンチャン♪「今日は雨で雨だからどこかに隠れているのかな空腹を抱えながらどこかで雨を待つのかそれとも他に行ったのか僕はあの店先のあの猫しか知らないからな僕
2021年2月2日 01:12
パラパラパラ♪ページをめくる音が気に入ってそればかりしていた本とは色んな向き合い方がある立てかけてみる寝かせてみるむしろ自分の方が寝っ転がってさかさまにすると物語が降ってきそうでわくわくする本をつれだして街を歩く抱えてみれば随分重たくなったありがとうこの重たさが時間をくれる私をつくるパラパラパラ♪雨だ……私の胸を蹴り上げて逃げて行
2021年1月4日 17:11
偶然を装った猫が通ることによって、話のきっかけとなる。予定時刻ちょうどに、猫が通りすぎた。「この辺りは猫が多いみたいですね」「そうなんですね」「……」チャカチャンチャンチャン♪ 猫がまた戻ってきた。「やっぱり多いですね」「ほんとですね」「何か探してるんですかね?」「そうかもしれませんね」「……」チャカチャンチャンチャン♪ 猫がまた戻ってきた。 一瞬立ち止まり、
2020年12月3日 02:31
「夜空なの。それにしてはチープな星ね。もしや雨?」 そう見えるなら、 いっそ雨として認められるのもいい。「やっぱり違うわね。雨ならもっと繊細でなくちゃ。傘もないし」チャカチャンチャンチャン♪「これを星と思えるかしら。もしやふりかけ?」 そうだったかもしれない。 星よりもずっと降りやすい。「いいえ違うわ。ふりかけにしては彩りに欠ける。誰がこれでごはんを食べる?いっそ
2020年12月2日 23:09
「それでは未来の総理、答えられる範囲でお願いします」「どうぞお手柔らかに」「もしも無人島に持っていくとしたら?」「そうだな。炬燵とみかん、ポメラ、ラジオ、プレイステーションかな」「総理、1つだけ」「えっ、1つなの。じゃあラジオだ」「明日の天気予報は聞かれましたか?」「それは聞いてない。晴れるといいね」「もしも雨が降ったら、その時は傘をさされますか?」「どうだろう。少しくらいの
2020年9月30日 02:53
「何だ、誰かと思えば雨かすっかり目が覚めちまった雨の目覚まし時計か!ばかやろう、今日は日曜日だいまだはえーな」チャカチャンチャンチャン♪「しっかしよく降るねいや待てよ。そういや久しぶりだね雨ってのは久しぶりじゃねえかいつ以来だ?ちょっと天気予報をっとばかやろう、予報は未来だい」チャカチャンチャンチャン♪「まずいぞ。洗濯物を取り込まないと!いや、洗濯なんかしてねえ
2020年7月15日 23:39
「そろそろ降るよ」(さあ、準備をなさい) 僕は傘の柄を握りしめ、傘のボタンに指をかけて構えた。(さあ、そろそろくるよ)少し緊張しながら、今か今かと警戒して歩いた。雨はなかなか降らなかった。そんなことが何度も繰り返された。「そろそろ降るよ」 今でもあの声を耳元に思い出すことができる。(用意はいい?)僕は傘の柄を強く握りしめ、傘のボタンに指をかけて構えた。次の瞬間に降り出しても、少しも濡れる