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記事一覧
BGM | #青ブラ文学部
窓口にやってくるお客様はご年配の方が多い。
クレジットカードも持たないし、ましてやスマホもパソコンも持たないのでインターネットバンキングもできるはずもない。
ATM操作を教えてあげても、なかなか覚えてもらえない方もいて、銀行員の悩みのひとつだ。
ヤガワさんは腰も少し曲がっていて目が悪く白杖で生活している。必ず窓口で現金払い出し、振り込みを行う。ご家族にはできるだけ迷惑かけないように、自分でなん
カロリー呪縛 | #青ブラ文学部
「どれ食べる?」
メニューを見ながらマユミに声をかける。
「あ~ これ食べたいけどカロリー高い」
好きなものを食べればいいのにと思うのだが、太りたくない気持ちからか、もっと痩せたい気持ちなのか、マユミは食事の写真より、その下に小さく書かれているカロリー表示を細かく確認してから食べるものを決める。
マユミは決して太っているわけではない。
むしろ痩せているのだが、まるで何かに取り憑かれたのよう
良い人だった | #シロクマ文芸部
花吹雪の桜並木はとても美しく、月日が過ぎた今でも脳裏に焼きついています。それはある人の告別式の日に見た光景です。
◈
通夜の天気は雨、参列者の悲しみそのまま、涙のように降り続いていました。
雨は翌日の朝には止み、親戚たちは言いました。
「良い人だったから…」
良い人が亡くなると晴れで、悪い人が亡くなると雨なんていうことがあるはずはないのですが、その時の私は悲しすぎるあまりに脳が麻痺していた
逢いたい人 | #青ブラ文学部 | #毎週ショートショートnote
大好きなおじいちゃんが死んだ。
泣き暮らしていたある日、おじいちゃんから聞いたオバケレインコートの話を思い出した。雨の日悲しみに暮れひとりで歩いていると現れるという。
逢いたい!
毎日祈った。祈りの雨
雨こいっ!
ある日の放課後、雨がポツポツ降り出した。雨足が強まる中、やっぱ迷信だよな…とクスッと笑ったその時、前方にふわっとした白いものが見えた。
あっ!
白いものはすうっと滑るように近
祈りの雨 | #青ブラ文学部
「明日は雨が降りますように…」
運動会が嫌いなマミはそう毎年祈っていた。
◈
学校は嫌いなわけではないし、友だちもいる。でも体育は苦手で、鉄棒や跳び箱もみんなのようにできない。
休み時間のドッジボールもうまくボールを投げられないし、ボールをうまく受け取れないから相手チームのターゲットとなりすぐに当てられ外野へ、そしてそのまま終了となる。
運動会なんて最悪だ。
各クラス身長順に並び、横並
風車の家 | #シロクマ文芸部
『風車の家』と呼ばれている家がある。
その家には五歳になる少女が家族と住んでいた。折り紙で作った風車が大好きで、それにふーっと息を吹きかけてくるくる回ると、ケラケラとよく笑い喜ぶ姿を近所の人々はよく見かけていた。
◈
まだ夜は肌寒い春のある朝、少女は忽然と姿を消した。
「おやすみなさい」
前日の夜九時頃、いつものように布団に入ったのを最後に、家族がその姿を見ることはなかった。布団は乱れなく
エッセイ | 桜の木の下は| #青ブラ文学部
※昆虫の話があります。苦手な方読まないでください。
今日はピカピカの一年生(古い?)を数名見かけました。
今年は桜の開花も遅れたので、東京では久しぶりの入学式に合わせた満開!
保護者の方たちは写真やビデオもたくさん撮影したでしょうね。
◈
自分の小学校入学を思い出しました。
そのアルバムは押し入れの奥の方にあり、長いこと開いていませんが、目に焼き付いています。
わりと新しいうちからセピア
エッセイ | 燕の子 | #虎吉の毎月note
燕の巣ができ始めました。
幼少の頃から大好きな光景です。
毎年、同じ場所に巣が作られるので気付きやすく、毎日通る場所であれば一瞬の観察も楽しく、燕の子たちの成長を見守ります。
同じように思う方が多いのでしょう。
毎年、燕の巣の下では多くの人が足を止めスマートフォンで撮影しています。
◈
燕は天敵から雛を守る為に、烏や蛇がこない人間の生活圏に巣を作ります。
燕の巣は商売繁盛の縁起物でもあり
変わる時 | #シロクマ文芸部
変わる時刻表、変わる時間割…
家族の予定が少しでも変われば、私の日々のタイムスケジュールも少しずつ変わる。
「バス何分だっけ?」
「あ!月曜日、体育あるんだ~」
「ママ!体操着!」
「で、バス何分だっけ?」
「今度の営業所、駅から遠いんだよ」
「電車の時刻表も変わったよね?」
「今日って雨降る?!」
ねぇねぇ…
あなた達スマホ持ってるよね?
一日中画面見ているくせに、どうして自分の家