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言語と哲学、記号論好きのための小説: 「言語の七番目の機能」ローラン・ビネ La septième fonction du langage
2015年に出版され、読もう読もうと思いつつ後回しにしていたら邦訳が出版されるほど時間が経ってしまいました。
今年出たばかりです。
持っていたので原書(フランス語)で読んでます。
アンテラリエ賞という文学賞を受賞しています。
ちなみにローラン・ビネ、2019年発刊の最新作 Civilizations (英語綴りなのにはアメリカ原住民がテーマであることが関係あるでしょうね)はアカデミー・フラン
人は矛盾だらけ: 「アンナ・カレーニナ」 III レフ・トルストイ
(写真はすべてモスクワ)
「能天気な牛肉野郎め」
罵りの言葉は各語各国さまざまにあって、共通性も多いが、牛肉が罵倒語になるのは初めて知りました。
日本なら牛肉なら高級だし褒め言葉になっても良さそうです。
牛肉野郎と言われても、けなされた気がしないような。
豚はどこでもひどい罵倒に使われますね。
ぶた、かわいそう...。
第6部(光文社古典新訳文庫第3巻)まで進みました。大長編ですから主要
失われる能力 : 「パトリックと本を読む」 III ミシェル・クオ
アメリカ南部、デルタ。北軍が勝とうが法律が変わろうが奴隷の子孫の状況は悪くなるか変わらないか。そこに自身も移民の子である著者が国語教師として赴任する。
読みどころは盛りだくさん。
著者の授業内容、生徒との接し方
デルタの現実
著者の将来設計への迷いと決断
そして事件と不公正な司法
パトリックと著者の二人の授業
アメリカの深部で日々起きていることや、当たり前になっている差別、構造の問題を、実態の
あきらめ : 「パトリックと本を読む」 II ミシェル・クオ
この本はアメリカの深部、アフリカ系のルーツを持つ人たちの現実を、台湾からの移民を両親に持つ著者が、まず教師として知ることから始まる。
差別の話題は好まれないようだと、I を公開してみて思った。
でも、また書く。
被差別階層の人たちを描くノンフィクションでもフィクションでも、「あきらめ」が状況をさらに悪くしてしまったり、あるいは「あきらめない」ことがアメリカン・ドリームや〈白人〉社会で名をなすこ
差別への反応の難しさ : 「パトリックと本を読む」 I ミシェル・クオ
ボールドウィンやキング牧師やマルコムXが言及しているのは黒人と白人のことだけで、私はそのどちらでもなかったこである。...中略...。アジア人っぽい顔の人がテレビに出てくると(そんなのは珍しいけれど)、心臓の鼓動が速くなったり頭に浮かんだのは「これはジョークなの?」という問いではなく、「これはどういう種類のジョークなの?」という問いだった。
わたし「甘い和菓子はよく小豆が使われるんだよ」
友人
作られる悪者: ジョージ・オーウェル評論集 II
「P・G・ウッドハウスを弁護する」より
現在進行中の裏切り者や売国奴の狩りだしよりもさらに倫理的に吐き気を催すことがこの戦争ではいくつかある。その最たるものは有罪であることそれ自体を理由に多くの有罪判決が言いわたされていることだ。フランスではささいなものであってもありとあらゆる種類の背信者……警察官、三文記者、ドイツ兵と寝た女性……が狩りだされる一方で、もっと重大な背信をおこなった人物はほとんど例