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つぶやき・詩歌

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月のうさぎ

月のうさぎ

*想像******

月のウサギが、
そこら辺を歩いている。

杵を持って、
臼のところまで。

月に居場所がなくなったらしく、
うちに仮住まいを始めたみたいなのだ。

朝起きると、
ゴンゴンと
ウサギが杵をつく音がする。
臼が見つからなくて床を叩いている。

もう、しょうがないなあ…。

うちは臼を用意する。
ウサギは喜んでいる…ようにみえる。

ゴンゴンと臼を叩く。

ある日餅米を用意してやる

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三つ子の魂

三つ子の魂

待っている。

この家に帰ってくる人を
待っている。

もう帰ってこないのかもしれない、なんて
不安。

「不安はないよ」なんて

三つ子の魂にすらあったものを
勝手になくしちゃってさ。
無理しちゃってさ。

柿の木に
オレンジの実がぶら下がっていても
しぶいし、

お父さんが皮をむいて干してくれなきゃ
食べられないし。

僕、このまま死んじゃうのかな。
土に還っちゃうのかな。
暗い闇に
引きずり

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詩「私をかえてくれるもの」他

詩「私をかえてくれるもの」他

私をかえてくれるもの私をかえてくれるものたち

私の口を通ってゆくたべもの。
出入りする空気たち。

私が書き綴っている紙
私が握っているペン。

私を変えてくれる可能性を持つものたち。

通すか通さないか。
門番も私。
その方々を通すのかどうかわが身のうちへ。

全開にしてみても良いのだろうか。

そのとき
ここはもはや
境界ではありません。
世界と連続する系であり
一部であり全部です。

全開

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「さみしい」

「さみしい」

休日の朝はね、
「あっ」というまもなくすぎてしまって
うちはさみしいの。

それはね、
誰に言うこともなくて。できなくて。

うちはもどかしい

******

ご飯の時にね、
言いたいことが出てこなくて

さみしいの。

いいたいこと
あるはずなのに
その尻尾もみえない。

そのこ、いま、
ここにはいないの。

******

グラウンドにね。
だれもいなくて
さみしかった。

たまさか
訪れた

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今日の話題 2つ

今日の話題 2つ

裸ロシアには。
バーニャというサウナがあった。

とある農場のコミュニティに
それがあり、
うちも声をかけてもらい、
裸になって入った。

はじめ戸惑った。
初対面の男女がみな
当たり前のごとく
裸で入っていたのだ。

パートナーがいる人も、
そうでない人も。
若者も中年も。

少しの恥じらいもない。

お互いの体を
束ねた白樺の小枝で
たたいたり、
マッサージしあったりしている。

うちもやって

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めざし

めざし

胸が痛い。
息が苦しい。

ご飯も美味しくない。

美味しい、美味しいと
つぶやきながら食べても
本当は
美味しくない。

幸せだと、
これでも幸せなんだと言い聞かせても
その言葉の意味が
だんだん分からなくなる。

******

布団に寝転がって、
寝返りを打って、
床に頭をゴチンと打ち付ける。
そのまま動けなくなる。

めざしみたいだ。
あるいは捌かれる前のウナギ。

竹串で串刺しにされて

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いろんなかたち、しずかになって

いろんなかたち、しずかになって

いつもとは別の浜辺に行った。仕事の休憩時間。 さんごの骨がゴロゴロ。カロカロしていた。

人みたいなかたちにも見える。

みんな、ちがうかたち、たち。

骨のかけらたち。

そしてどれも、 もともと、もっと大きなかたちの一部分。

それでも、

いまはもっと
大きな世界の一部といえるのかもしれない

形をほどくってことは、

より大きな世界に結ばれなおすこと

そういうことだとも

いえるとお

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ひとこと、いろいろ

ひとこと、いろいろ


言わないこと「言わない」期間がたびたび訪れることに気がついた。
そして、それは必要なことだということも。

沈黙。

それは、
意図的につくらなくても、いつのまにか
そこにある。

底にある、
時間の流れ。

「必要」って、
そういうことなのかもしれない。

おのずから現れてくること。
すでにあるもので、「必要」は十分。

あれも必要、これも必要、なんて
まだ手元にないのに口に出して言うようなモ

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「クジラの歌」ほか詩4編

「クジラの歌」ほか詩4編

クジラの歌笛の音と同じで
言葉への変換はいらない

星の歌。
この星に響くもの。

波の音に混じって
波打ち際まで届いている。

風の音に混じって、
こずえまで伸びている。

空に鯨がいるっていう想像をしてしまう。

それは、きっと、
クジラの歌が空にも響いているから

甘みと幽霊この場所の空気
甘いような気がする。

そこの角
なにか、いるような気がする。

水面

水面と死は
似ているの。

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あるね

あるね

あるね、と
うちはつぶやく。

オレンジ色の夕焼けも、
藍色の夕闇も、
オレンジ色だとか、藍色だとか、
名前をつける前に、
あるね、とつぶやく。

海も、山も、
海だとか山だとか言う前に、
深いとか高いとか言う前に、
あるね、とつぶやく。

空を見上げても、
雲だとか、水分だとか、大気だとか、宇宙とか言う前に、
「あるね」とつぶやく。

この世の
様々な出来事

愚かだとか素晴らしいとか言う前に

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こかげのうた(旅立ち)

あなたは言った。

「遠くへ行きたいなあ…」

思いもよらなかったので
うちは驚いたけれど、
顔や声には出さなかった。

「行けるよ」
うちはつぶやく。

「そうかなあ。」
「どこにだって、行けるよ。あなたなら。」

木が、
遠くへ旅立つのは、
どういうときなんだろう。いつなんだろう。

花が咲く季節。
木漏れ日の季節?
実がなるとき?
それとも、枯れ葉の頃
あるいは。雪に埋もれる頃。

「遠くへ

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川柳を 詠んでみたので 読んでみて

転がした
地球儀つかみ
空を見る

晴天に
走る霹靂
まみ伏せて

缶ビール
いいことあったと
いいきかせ

パソコンの
画面は白く
夜は青し

手をつなぐ
いつかの熱が
つなぐ今

おやすみと
言いし記憶に
添い寝して

読んでくださって、ありがとう。
きょうもまた、おやすみなさい。

28years old,2.7,Mizuki

「散歩」ほか詩4編

「散歩」ほか詩4編

散歩
なにを。散らしているのだろう。
なにが。散っているのだろう。

なぜ。歩みを散らすのだろう。

氷水。雪。氷。
それら中間のどこか。

変化はいつだって

可逆的で
あいまい。

氷に触れる。
つめたさ。
溶け出す感触。

氷のおかげで
自らのあたたかさを
たしかめる。

うちという曖昧な存在が
少し確かになる。

うちもいつか
冷たくなるのだろうけれど

氷のように
誰かの役に
たてるだろ

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何でもない日

何でもない日

いつかの
何でもない日のこと

うちは朝起きて、
見た

丘になった
布のしわ

匂いがあって、
窓からの光は熱く。

渇いていて。
水のことを思って。

何の音もしなくて。
冷蔵庫の音さえ、
聞こえてこない。

頭以外
どうしても起きてくれない。

布にぺったりと
はり付いて

微動だにしない。

こんな体でも、
自分なんだろうか。

こんなに
不自由な体でも。

いっそスライムみたいに
そのう

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