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「クジラの歌」ほか詩4編

クジラの歌

笛の音と同じで
言葉への変換はいらない

星の歌。
この星に響くもの。

波の音に混じって
波打ち際まで届いている。

風の音に混じって、
こずえまで伸びている。

空に鯨がいるっていう想像をしてしまう。

それは、きっと、
クジラの歌が空にも響いているから


甘みと幽霊

この場所の空気
甘いような気がする。

そこの角
なにか、いるような気がする。

水面

水面と死は
似ているの。

さかい目。
触れられないもの。


「水と空気の境界」が
水面と呼ばれている。

有るのは水と空気のみ。
水面なんて実際にはなくて。

触ることはできない。

水面に触れたつもりで
私たちは
水に触れている。

同じなんじゃないか。
「死」というものも。

生と、その向こう側の世界との
境界が死。

死に触れることはできない。
体験もできないのでしょう。

それは、水面をすり抜けるようなもの。



四六時中

四六時中
耳鳴りがして

電話のベルも
聞こえなくなっても。
それはそれで。



四六時中
コーヒーの味で

舌の上に何が乗っかったって
分からなくなっても
それはそれで。




四六時中
悩み事ばかり考えていて

誰かと話すことも
誰かを思うことも

できなくっても
それはそれで。



四六時中

暑さ寒さばかりを
いっていて

風の柔らかさを感じられなくなっても
それはそれで。



なお

それはそれで
世界は。

それはそれで
この世界は。

28 years old,6.21,Mizuki


※表題の画像はfurunoによるPixabayから

絵を描くのは楽しいですが、 やる気になるのは難しいです。 書くことも。 あなたが読んで、見てくださることが 背中を押してくれています。 いつもありがとう。