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東京装甲少女  EPISODE0 第24話    【 暁烏 】


北の丸公園の救聖軍の宿舎の近くで


秋水、朝日、敷島、白根 その他、錬命新當流の
道場の人々やその家族は再会を果たしていた。


カミーユ、シェイル、他の面々も、気心の知れた
皆との、久方ぶりの再開に張り詰めていた緊張から解き放たれ喜びを謳歌した。


嬉しさのあまり泣く者もいたが、いつしか
皆が落ち着いた頃合いで
秋水は皆の方を向き自然と話を始めた。

秋水
【 みんなと又、こうして再会できたことを
  心より嬉しく思っている。
  そして、多くの人が、呼びかけに応じ、
  ここに集まってくれた事に
  大変感謝している。
  ありがとう。
  
  皆、この大変な状況の中、家族を連れて
  逃げるのはとても不安だと思い集まって
  もらった。

  いつのまにか正義も悪も解らない世界に
  突然なってしまったが何とか手を取り、
  寄り添いながら、この苦難に立ち向かえれば
  と思っている。
 
  会社の同僚がこの公園にある寄宿舎を
  管理している救聖軍の人間に顔が効くらしい
  ので、そこで、我々に1室だけ、部屋提供を
  随時してくれる手筈となったので良ければ、
  交代で使用をしていければと思う。

  救聖軍というと馴染みはないと思うが、
  慈善活動団体であり政府が機能しなくなった
  現在、彼らのような宗教団体は善意で
  炊き出しや宿泊施設の提供をしている。
  
  勿論、宗教というとこの中には、色々
  思う事があるものもいると思うのでここに
  残るかは各自の自由だ。

  私自身は、敬虔ではないが仏教徒だ。

  だが、他宗派とも通念的には通じるものが
  あるとは思っている。  
  故に彼らが行っている慈善活動に関して
  尊敬の念もあり支持している。  

  それと、これは特に救聖軍の活動とは
  関係はない活動だが
  
  私自身も、この秩序が無くなってしまった
  犯罪が蔓延る世界で彼らの様に自分自身が
  出来る事はないかと思い、朝日と共に
  神田界隈で行っていた治安の維持や弱き人を
  救える活動をここを拠点に行えればと
  思っている。

  これを見てくれ!!    

(そういうと、秋水は大きな布で包まれた黒焦げた板の様な物を取り出した。)


 そこには「寛永寺・神田明神」と記されていた。


  それは、ここの誰もが見覚えのある
  神田明神の看板だった

  
  一同は、、嗚呼、、、、、と落胆した。

秋水
【 そうだ、我々の町は 
  無くなってしまった、、、、、、。

  そして、もう、あの頃に戻ることも
  出来ない、、、、、、。

  俺は、ここに来るまでの間、自分に助けを
  呼ぶ人たちを自分が精一杯で助ける事も
  出来ないと思い、見て見ぬふりをして
  逃げながらここまで来てしまった。

  そして、空襲の中、神保町で
  あの、時さんにたまたま会った時も
  自分の弱さから正義も貫けず、戦う事からも
  逃げて、時さんを置いてけぼりにして
  しまった、、、、、。

  今はあの時、俺がもっと強ければ
  もっと自分の正義を貫けていれば
  今とは違う未来が待っていたんじゃないかと
  思う。

  俺は強くなりたい。
  心底そう思った。
  自分の大切な人たち、そして、
  自分の居場所を守れるくらいに、、、、、。
  
  だけど、俺も正直怖くて逃げたい気持ちも
  ある、、。

  だがそんな時、俺が心の中で逃げようと
  すると叫んでくるんだ
  
  親父が、、、、。

  皆にも口を酸っぱく言ってた
  あの言葉を、、、、。
  
【強くあれ!弱いものがいれば寄り添い
 助けてやれ。 
 強くなるというのは皆を助けてやる事だ! 】
    
 
だから自分を顧みず助けてやれって聞こえてくる、、、、、。

  
  俺は逃げない、、、、


  自分として一人の人間としてそして、
  錬命新當流として、、、、、、。
  何かこの状況でも、俺にはまだやれる事が、
  あるんじゃないか

  そう思っている、、、。 】  

皆は、秋水の突然の魂のこもった決意を聞き、
少し面食らったのか、

下を向き黙ってしまったが、、、。


沈黙を破るように朝日が明るく
話し出した、、、、。



朝日
【 おい!おい!みんな!!  
  なんて顔してんだよ!!

  大善さんが今のみんなを見たら
  なんて言うかわかるかぁ? 
  

敷島!!
おめーは相変わらず考えてるふりして
考えてねーだろ 
嘘臭く神妙なツラすんじゃねー!!

 
白根!!
まあ、お前はちょっと落ち着け!!


秋水!!
相変わらずお前は、馬鹿が付くほどクソまじめ
で辛気臭えな!!
優しすぎんだよ!!少しは朝日見習え!!  】

と、そこにいる全ての門弟の名前を出し、
生前、大善ならこういったであろう言葉を
皆に伝えた。


そして、皆が笑いに包まれ笑顔を取り戻した所で
傍らに置いていた、大きな風呂敷から
あるものを取り出し掲げた。


朝日
【 そういえば、俺はな、この間これを取りに
  明神様に行ってたんだ!! 
  そう、虎徹だ!!

  空襲が始まってから、すぐに自宅の裏手の
  明神様に心配で向かったら、まだその時は
  明神様は無事だったんだが
  神主さんがその時いらしたんで話をしたら、
  大切なものは地下に隠したから、
  何かあったら頼むと言われたんでな

  そこに虎徹は必ずあると思ったから、
  明神様は焼けちまっていたが
  地下に取りに行ったんだ。
  
  
 俺がこれを取りに行った理由は、2つあってな
  
 ひとつ
  また、秋水に会えたらこれを渡して、
  錬命新當流を再興してもらおうと
  思ったからだ。

 そして、2つめ
  もし、秋水がいなくても錬命新當流の魂を
  継いでる俺、いや俺らが守らなくちゃ
  ならいと思ったからだ、だから、
  皆に会ったらまた、周りの皆を助ける為に
  活動しようかと思っていたんだ。

  だが、その決意を決めた矢先に
  死んだと思った秋水と再会した。

    もうこれは、やるしかないと思ったわ。
  まあ、どっちにしてもやるがな

  だから、お前らも、ビビッてないで
  早く覚悟決めろ!!
   
  錬命新當流だろ!!お前ら!!

  やれる!?やれないじゃねーんだよ!
  やるんだよ!!  


  大善さんが生きてたら皆、張り倒されるぞ!!

  なあ!! 敷島!!白根!!   】


東京装甲少女  EPISODE0 第24話    【 暁烏 】



と、この政府も警察も機能していない状況で
自分たちが何が出来るかと尻込みしていた一同に
喝を入れた。


名指しをされた、

大柄な男、白根一海は、

まるでワナワナと今にも噴火しそうな
活火山の様に顔を真っ赤にして
ウォ――――ッ!!
と叫び出した!!!


白根
【 何言ってんだ朝日さん!!
  当たり前だぁ!!!!
  俺らは初めから、秋水さんに
  付いていく気だァ!!!  
  なんでもやるぜ!!

  なぁ!!敷島!! 】


と、激しく話しかける白根を尻目に

ボーッと前を見つめる
小柄で中性的な雰囲気を醸し出す

敷島に白根熱くが熱く問いかけた


敷島
【 、、、、、、、、、ああ、、、、、。  】


とだけ、無気力で捉えどころのない返事をすると、
またボーッと敷島は前を見つめた。

白根はその返答に満足したのか、
敷島を見つめていた方から
にんまりとした笑顔で朝日を見た。


まぁ、こいつらは相変わらずかと、
フン!!と鼻で朝日が笑った。

他の門弟も、
2人の応答に口々に呼応するように


【 やるぞ!! 】 
【 そうだな!!やるしかない! 】など

誰もが、反対するものなどいないという感じで
この集団の熱気に満ちた状況の中で

唯一、秋水と朝日に向け挙手をし、
発言をしていいかと発言を求める人物がいた。


初瀬 龍臣 であった、、、、、、、、、、。


初瀬も、
錬命新當流の中で、敷島、白根に続く
実力者だった。


どちらかと言えば、
何か事が起これば、

白根が何も考えず突撃し

この中で1番腕が経つ
敷島も続き参戦し

初瀬が頭脳明晰を活かし
冷静に分析、対応、調整するという形で、

3人の連携は完璧で集まれば最強という事で

道場の三羽ガラスと呼ばれていた。

朝日は初瀬に向かい

朝日
【 おう、どうした龍臣!! 】

と手を上げてきたきた龍臣に発言をさせるように
話しかけた。


初瀬は、

概ね皆も同じ心境、境遇であり、何か行いたいとは
思っていたが、一人では家族の事が心配で
行動に移せずにいた事などを話し感謝も述べた。

また、具体的には北の丸公園周辺の治安維持に
あたるというが
皇居のお堀周辺は守備隊が警護しているので
爆撃も受けず治安は概ねいい方だと思う、
だが、皇居から離れた所はそれらが
目が届かない地域の為、
明らかに治安が悪化しているという。


現在ここに集まっている人数は
35名であり
全員が参加するのであれば5名位で
1小隊を編成するとして
7小隊程度での活動になる為、
初めは皇居周辺の炊き出しなど
行っている場所の哨戒任務から始め、
土地勘のある千代田区の神田周辺からの
救出作業や治安の安定化
その後、周辺への警戒拡大をしていくのが
最善なのではと述べた

また、現在、日本に対しての爆撃は
首都東京を中心にその他大阪
及び大都市のみだが、そのうち通信網は
少しづつ破壊され
分断されていくので活動を維持する上で
アナログ通信機器の入手及び、
大規模戦闘を想定して、武器並びに協力人員及び残りの門弟との合流の確保などなど


周りがそこまで考えていたのかと唖然とするほど
理路整然と話を始めた、、。


初瀬
【という事で短くではありますが
 当面の課題と目標としては以上となります。】

正直、秋水も朝日も
そこまでは考えていなかったので
逆についていけない状況になりながらも
朝日は苦笑いしつつ初瀬に話しかけた、、、。


朝日
【 おっ、、、おう!! 
  さすが龍臣だな、、、、!!
  俺らの事を良く理解してるな。
  まぁ、俺らもなそういうのはな
  考えていたんでな、、、、。
  まぁ、大体は一緒だな!! 大体は!!
        なっ?秋水!! 】


と秋水に問いかけたが、

秋水は何が起こっているのか解らないので
とりあえず、首を縦に振るだけだった。



初瀬
【そうですか、
 お二人と私の意見が合致して良かったです。
 
 安心しました。
 
 それでは、そちらを踏まえて私は、
 小隊編成及び各フローの作成など滞らない
 様に色々とやっておきますので安心して
 頂ければと思います。
 よろしくお願いいたします。 】



朝日は、
まあ、そこら辺は行き当たりばったりな俺らよりもこいつに任せておけば大丈夫かと思いながら

朝日
【 おう!じゃあそこら辺は頼むな!龍臣! 】



と龍臣に任せる事にした。



初瀬
【 了解いたしました。
  あと、そういえば、これはあまり関係ない
  話かもしれませんが
  お二人に一応お耳に入れておきたい話が
  あるんですが、、、、、

  お二人はソロエスタ教というのを
  ご存じですか、、、、、、?




と初瀬は話し出した、、、、。


東京装甲少女 EPISODE0  第25話へ続く、、、、、



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こちらで小説を展開している
東京装甲少女EPISODE-0という作品ですが
物語の初まりのOpening Part から
現在のストーリーまで今の所

【無料公開中】です。


是非、東京装甲少女
という世界観の伝わる
始まりから
お読み頂ければ幸いです。

今後は有料化も予定しておりますので
期間限定の今のうちに
お読みい頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。


ここから、初めのストーリーを読む


※お知らせ👼

現在こちらで小説を展開している
東京装甲少女という作品ですが、
こちらにはお話の基になるデジタルアートNFT
作品があります。

そしてその作品が
2024年4月に行われましたNYCで大規模開催された
https://www.nft.nyc/という展覧会で
展示されました🎊

皆様のご協力を頂きこの度展示して頂く事が叶いましたので
また来年も展示されるのを目指してまいりますのでご協力
よろしくお願いいたします。
ありがとうございました🙇



NFT NYC2024 展示作品


NFT NYC2024 デザイン採用チケット


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