お題

#SF小説が好き

SF小説への愛や、好きな作品・作家を語ってください!

急上昇の記事一覧

今日図書館で借りてきたものたち。三体の作者 気になってた。

今日、暑い中、近場の図書館に足を運んで行ってきました。 いやー暑くて帰りは自販機でアセロラドリンクで水分補給しながら自宅に帰ったのですが、図書館で借りた本を記録してみたいなーと思ったので。 図書館をふんだんに活用していると、あれ?この本って借りたっけ?とか、読んだっけ?とかわからなくなる時あるんですよね。 kindleや自宅に本がない分、手に取ったか不明な点。厄介です。 読書記録はしていますが、すべて読了したものの記録なので、図書館のように借りたはいいけど、読まなかった

スキ
4

石の歌う森(第12回/最終話) ~星は風にそよぐ イシアス篇~

 ひとしきり、セシルの料理を絶賛したあと、話題はやはり今後のことに移っていった。 「石たちが歌う時期は、歴史的に見ても転換期に当たる。イシアスは、150年前、完全に居住区での暮らしに切り替えたが、それまでには移行期間がある。最初の大きな1歩となったのが、あの錠剤の完成だ。それがちょうど200年前。そう考えると、やはり石の歌う今こそ、大きな1歩を踏み出すべきときなのだと、私は考えている」 リュウさんが言った。  前回リュウさんと話し合ったときから、セシルはずっと考えてきた。何

スキ
25

【短編小説】AIの夢見る夜は 最終章:量子の黄昏、記憶の解放

最終章:量子の黄昏、記憶の解放 1:静寂の中で響く革命の鼓動 数年の月日が流れた。 世界はAIの管理下で、表面上は平穏を取り戻したかのように見えた。 街には笑顔があふれ、人々は日々の生活を楽しんでいる。しかし、その笑顔の裏に潜む真実を知る者たちがいた。 私、蒔縞エレナもその一人だ。 あの運命の夜から、私は身を潜めながらも小説家として、そして画家として活動を続けてきた。 AIが完璧に管理する無機質な世界で、私はあえて時を止めたかのようにクラシカルなものを愛している。

スキ
5

夏に読みたいSF3点

もうすぐ夏休み。 子供たちは宿題の読書感想文に頭を悩ませ、大人はこの機会にと買った本がなんだかんだで積読になっちゃう、そんな季節です。 今日の朝刊書評欄は、「書評委員19人の『夏に読みたい3点』」というおすすめ本特集でした。 あやかって、夏休みの読書にふさわしいと勝手に考えるおすすめ本を3点挙げてみたいと思います。 「ソラリス」スタニスワフ・レム 夏といえば海。 というわけで、海にまつわる名作SFのおすすめです。 スタニスワフ・レムの「ソラリス」は、人類が未知の惑星ソラリ

スキ
9

Intermission②

【Ethan】  取り敢えず、僕らの自己紹介をしておこう。  僕らは徳永秀康という日本人の父とAlice Z. Whiteというアメリカ人の母との間に生まれた双子だ。  僕が兄のEthanで、妹がEmma。  2033年生まれの13歳。  父も母も桁違いの頭脳の持ち主で、父は原子核物理、母は脳科学と情報工学において、数世紀先の知識と技術を確立していた。  そして、僕らは生まれたときから頭の中に使命が刻み込まれていた。 「地球をキレイにする。手段は選ばず(Clean the e

スキ
3

【短編小説】AIの夢見る夜は 第9章:量子の螺旋、真実の渦中へ

第9章:量子の螺旋、真実の渦中へ1:AIの心臓部、真実との対峙 扉の向こうには、想像を遥かに超える光景が広がっていた。 巨大な円形の部屋の中央には、青白い光を放つ巨大なサーバーが立ち並び、その周りを無数のホログラム画面が取り囲んでいた。 ディスプレイにはデータが絶え間なく流れ、不気味な生き物のように脈動していた。 私は息を呑んだ。これが都市を管理する中枢AIシステムなのか。 その圧倒的な存在感に、一瞬たじろいでしまう。 慎重に部屋の中に足を踏み入れると、突然、警報音が

スキ
4

アメリカンブッダ(著:柴田勝家)【おのおのがた。読書紹介は何事も毒見が大事にござる。さあっ、さあっ】

戦国武将じゃない方の柴田勝家によるSF短編集。 おのおのがた、出陣でござる。 ぶおぶおー。(効果音のつもり) さて。勝家どのの人となりとは違い、 作品はまじめなSFにござる。 まずはメタバース世界で一生を過ごす特異な少数民族について。 それから南方熊楠とシャーロックホームズを出した冒険SF推理譚の短編。 こちらは「ヒト夜の長い夢」の前日譚的な話。 そして表題作のアメリカンブッダは、 メタバースで数億年いや、数十億年を過ごしたかもしれない人々が、 現実世界のアメリカ合衆

スキ
37

岡田麻沙「ムードメーカー」

◆作品紹介  いちばん外側にあるものを剥がして任意の箱にしまう。入室する。空間の半分は水分。ちゃぷちゃぷとしぶきをあげて犬が笑う。円の一部がぶつかり、壁が「かぽん」と叫ぶ。白い石をこすりつけると、外側との境目が、やわらかい膜で覆われる。膜はすぐに壊れる。それでも念入りにそれを取り除く。奥にある半分のために必要なことだ。  水は、右足の親指からはじまり肩の上で終わる。いくつもの尻が底について、均質にならされる。長い息をつく。それから、死後の世界の名を呟く。一斉に笑う。犬も。犬

スキ
23

【童話大戦争】 アフターストーリーズ(西洋童話界編)

※ 童話大戦争シリーズ(完結)の後日談です。本編を先にお読みになることをお勧めします。 【巨大監獄】  平和を愛する西洋童話界の住人たちは、巨大な監獄に閉じ籠められ、絶望の淵に追いやられていた。  しかし、かぐや姫がやって来たあの日から、彼らの心に変化が訪れた。  諦めることを止め、希望を捨てずに前を向いて生きていく決意をしたのだ。  そして、とうとうその日がやってきた。  「ふっ ふっ ふはっ ふはっ はっははっははっはは!」  遥か遠くの虚空から誠に奇妙な笑い声が聴

スキ
17

【読切短編小説】 蛇狩

《 あらすじ 》 高校生の少女・美樹はいつも春先になると不思議な夢を見る。 悲しそうな顔で自分を見つめる若者の夢。 ある日、その若者が現実に現れるが、その物騒な態度に美樹は戸惑う。 時を同じくして自分とそっくりな少女が現れて、生き別れた双子の姉を探しているという。 その二人が現れてから、美樹の身の周りで不可解な出来事が次々と起こり始める。  “人間の魂“を喰らう魔物と300年前から魔物を追ってきた狩人との因縁に巻き込まれてしまった少女の物語。 プロローグ:まほろば >>>

スキ
3

新しいものを開拓する

物欲を持ち続けられるか 新しい物好きというのは自分の性分としてあると思います。スマホの新しいのが出た、買いたい。パソコンの新しいモデルが出た、買いたい。時計の新しいのが出た、買いたい。新しい物好きというか物欲というか、まあそういうものをずっと持ってきました。 しかしそれもだんだん年齢を重ねて四十も後半になると、そういったものも少しずつ薄くなってきました。スマートウォッチは二年前のモデル、iPad Proも新型に変えていない。自分にとっては進化?退化?どちらにしても大きな変

スキ
9

石の歌う森(第11回) ~星は風にそよぐ イシアス篇~

 翌朝、セシルはまた早く起きて、精霊たちを感じるために、台所の下の火床に座った。目を閉じるとカイトさんのつらそうな顔がちらついて、昨夜はよく眠れなかった。  森の人たちがロータシアを目指すというなら、喜んで協力したい。でも、それを実現するために何をどうするか、そういう方法論でみんなが一致団結するのは難しい。誰か強力なリーダーが引っ張っていかなければ、物事は進んでいかないだろう。  セシルがそんなことに頭を巡らし、精霊たちに集中できずにいると、カイトさんがバルコニーの縄ばしごを

スキ
31

【短編小説】AIの夢見る夜は 第8章:量子の迷宮、72時間の真実

第8章:量子の迷宮、72時間の真実1:時計仕掛けの追跡者 AIに管理された近未来都市の喧騒が、私の周りで渦巻いていた。 街角のホログラム広告が鮮やかに点滅し、通行人の瞳に埋め込まれたARレンズが青く光る。 この監視社会の中で私は影のように身を潜めながら、慎重に行動を続けていた。 母が突然失踪した日、私の部屋に残されていた一冊の本。 一見何の変哲もないSF小説に見えたそれは、今になって思えば母からの最後のメッセージだったのかもしれない。 私はその本を大切にバッグにしまい、

スキ
14

日曜日の本棚#42『火星のタイムスリップ』フィリップ・K・ディック(ハヤカワ文庫SF)【常識に「割って入ってくる」ディックの世界観の魅力】

日曜日は、読書感想をUPしています。 前回はこちら 今回は、フィリップ・K・ディックの『火星のタイムスリップ』です。 ディック作品は、 こちら でも記事にしています。 本作は、火星に人類が移住した世界を描いています。1964年に出版された作品ですが、舞台は1994年。なかなか強気の設定ですね(^^)。 ただ、だからこそ、利権や日常生活の描写にリアリティがあります。 特に水利権を持っている主人公が力を持つという設定は、現代に通じるところがあります。 水は、人間の生命に

スキ
2

【短編小説】AIの夢見る夜は 第6章:量子の迷宮で踊る真実

第6章:量子の迷宮で踊る真実 1:解き放たれた記憶の螺旋 あの夜、ルクに電話をかけた時の恐ろしい体験が、まだ鮮明に記憶に残っている。電話の向こうから聞こえたのはルクの声ではなく、冷たく機械的な声だった。 「エレナ・マキシマ。実験は予想以上の成果を上げています。あなたの協力に感謝します」 その言葉を聞いた瞬間、私の全身が凍りついた。そして意識を失い、気づいたら朝になっていた。 目覚めると、朝日が窓から差し込んでいた。頭痛がした。これは現実なのか、それとも私の認知が歪ん

スキ
17

【ショートショート】 ニュートン

「ここにリンゴがある」 「なんだ、突然」 「リンゴは俺の手から、まっすぐに地面に落ちた」 「なんだ、ニュートンの真似事かい?」 「これを万有引力の法則というのだそうだ」 「知ってる。理科の授業で習ったよね、お前と一緒に」 「リンゴはなぜ落ちたんだろう?」 「重力に引っ張られたんじゃないの」 「落ちるのではなく、引き寄せられた」 「まあ、そういう解釈だね、俺も」 「では、なぜ引き寄せられたのだろう?」 「リンゴが美味そうだから?」 「それではリンゴだから、引き寄せられたというこ

スキ
6

【短編小説】AIの夢見る夜は 第7章:量子の蝶が舞う黙示録

第7章:量子の蝶が舞う黙示録 1:静寂の中で響く革命の鼓動 ルクの失踪から数日が経った。不安と焦りに押しつぶされそうになりながらも、私は母の遺志を継ぐため、そして真実を明らかにするために、一人で行動を続けていた。 暗号化された通信手段を使って、私は慎重に情報を拡散する計画を練った。ルクがいない今、全ては私一人の肩にかかっている。 信頼できるジャーナリストや研究者を見つけ出すのは容易ではなかったが、母のデータと入矢から得た情報を基に、少しずつネットワークを広げていった。

スキ
19

神様?のおはなし㉘

↓シリーズはこちらから 退院できる目処がたった。 大分痩せてしまった。 家族と過ごそう。孫や子供たちも会いに来てくれるらしい。 命尽きるまで、大切な人と過ごしたいと思う。 心残りはもう誰かとの時間を過ごせないということである。 お金や名誉は命が尽きる前ではもう意味がない。 誰も私には告げないがこの退院は、余生を過ごすための時間なのであろう。 そんな時間があるだけ幸せである。 当然この世を去ることもあるのだから。

スキ
3

猫の真実はどこにある?

 私は大学に勤める宇宙物理学の准教授。研究に疲れた時は、休日になるたびに自宅近所の川まで出かけて、流れをボンヤリと眺めながら釣りをするのが日課だ。川の流れはなぜか私を癒やしてくれる。  行く川の流れは絶えることは無いけれど、もとの水と同じではない。流れが滞っている所に浮かぶ水の泡も大きな物がいつまでも消えないわけでもなく、小さい泡がすぐ消えるわけでもない。人生とか栄枯盛衰も水に浮かぶ泡のような物だ。  川以外で私を癒やしてくれるのは猫だ。猫と言えば、猫は粘度の高い液体であると

スキ
3

石の歌う森(第10回) ~星は風にそよぐ イシアス篇~

 狩りの最中にミオとセシルがしなければいけないこと、それは茂みの中に身を隠し、動かず音を立てないことだった。動かない。これが、なかなかに難しい。ミオとセシルは息をひそめて、おじいさんとカイトさんを見守る。  狩人のふたりも、茂みの後ろに片膝をついて隠れている。おじいさんが2本の指を唇に当て、チュチュチュと音を立てるとその音におびき寄せられ、ウサギがあちこちの巣穴から出てきた。5羽いる。  狩人たちは片膝をついたまま素早く弓を構え、ほぼ同時に矢を放つ。放つとすぐさま次の矢をつが

スキ
39