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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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#お金

 "金利のメッセージ" (Message in a Yield)

"金利のメッセージ" (Message in a Yield)

 前稿.続・米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com) で 政策金利は中央銀行が決める - 市場参加者や銀行の "思い込み" は危険|損切丸 (note.com) だから、マーケットの動きに反してFRB・ECBが6月にも「利下げ」を敢行するリスクに触れた。それはそれで仕方が無いことだが、こういう時大暴れするのが金利市場

 発せられる "金利のメッセージ" とは?

 もっとも分かり

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「欲望」と「客観性」のバランス

「欲望」と「客観性」のバランス

 これは1987年のヒット映画「ウォール街」で主演のマイケル・ダグラスが演じていた有名なスピーチだが、いかにも ”アメリカらしい”

 一方日本には:

 なんて歌もある。日本的思想では「欲望」は抑制した方がいい

 どちらが "正しい" のだろうか?

 20年以上マーケットで仕事をした感覚で言えば、「リスク」「投資」に関しては「欲望」もその抑制も両方必要。トレーダーの仕事なんてその間のせめぎ合

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やっぱり「インフレ」しかない

やっぱり「インフレ」しかない

 地味ながら3/21に金融政策の ”予想外” が相次いだ

 対照的な2国だが、現在の世界の経済状況を端的に現していて興味深い

 まずスイスと言えば元々 ”世界一物価の高い国” 。それだけに今回の「インフレ」局面でもCPIは+1%台で低位安定しておりそれほど「利上げ」もせずに済んだ。日本とも共通するが世界一の「お金持ち」国家と言えるだろう

 これを見て 勝手が過ぎるヨーロッパ - 拙速な「利下

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「タラントンの例え」と日本人

「タラントンの例え」と日本人

 娘がいわゆるミッション系の学校に通っていた関係でこの話を聞いてきた奥さんがショックを受けていた。曲がりなりにも英銀に22年勤めていた筆者は何となく理解できたが「清貧思想」が染みついている日本人には理解し難い話かもしれない

 この例え話には「お金」以外にも様々な解釈があるのだが、ここでは敢えて日本人と「投資」の話にしてみよう

 真っ先に思い浮かんだのは「地中に埋めた1タラント」≓「銀行預金」。

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2024年は「お金の大移動」の年 - FRB「利下げ」の行方 

2024年は「お金の大移動」の年 - FRB「利下げ」の行方 

 注目の2月米雇用統計はまた投資家泣かせの微妙な数字。NFPのヘッドライン+27.5万人を見て「先月より減った!」と米国債は買い(金利は低下、5年債は一時@4%)、ドル円は売りに飛びついたが、そもそも+20万人台は弱い数字ではない。慌てて6月に「利下げ」を急ぐ理由には成り難い

 年内の「利下げ」は依然7月開始~▼0.75%が有力だが、面白いのは30年金利が指標発表前よりむしろ上がったこと。1つは

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物価上昇率は+2%へ収束? - 問題の核心は「お金」の偏在

物価上昇率は+2%へ収束? - 問題の核心は「お金」の偏在

 欧米で物価指標が相次ぎ、いずれも足並みを揃えたように+3%を割り込んだ ↑ 結果 10年国債は「実質金利 "0"」を目指す?- 「理論」「合理性」に基づく政策運営を|損切丸 (note.com)

 これで消えかけていた「6月利下げ」シナリオがFRB、ECB共に復活

 散々銀行を苦しめてきた「逆イールド」解消の芽も出てきた

 息を吹き返したのがナスダックなど欧米の株価だが、そもそも割高感もあ

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逃げ出す「お金」。向かう先は...@2024

逃げ出す「お金」。向かう先は...@2024

 海外からの対中国直接投資が2023年は前年比▼80%以上も減ったという。不思議なのは中国政府がこんなやばそうなデータをわざわざ公表したこと。疑念を持たれている前期GDP+5.2%を発表した後だけに真意を測りかねる

 投資の減少は海外からの「お金」の受け皿として機能してきた香港ハンセン指数のチャートとピタリ符合する

 最近のメディアの報道もおかしい。「春節」絡みでも ”延べ” 90億人が移動す

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遂に「お金」が足りなくなった?日銀

遂に「お金」が足りなくなった?日銀

 短期資金を取り扱った経験のあるトレーダーならこれは ”事件” 。資金需給の逼迫から日銀が「資金供給」したことになる。確かに2/2、5のTONAR(無担保O/N平均金利)は@▼0.008%まで上昇、ゼロに近付いている

 「損切丸」では「日銀バランスシート」をずっと追いかけているが、最近気になっているのが資産:①貸出、負債:②政府預金③その他預金

 直近の1月末がこう ↓

 まず①貸出が減らな

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日本人にとっての「最適投資」2024 - 優先するのは「円安」それとも「インフレ」?

日本人にとっての「最適投資」2024 - 優先するのは「円安」それとも「インフレ」?

(参照) 日本人にとっての「最適投資」は...。 ー 2022年に儲かったのは誰?|損切丸 (note.com)
 日本人にとっての「最適投資」2023。- 円金利上昇で狭まる選択肢。|損切丸 (note.com)
 続・日本人にとっての「最適投資」2023。- 跳ねるか ”卯(うさぎ)年” 。|損切丸 (note.com)

 「グローバル・ソブリン」(通称「グロソブ」↑ 標題添付グラフ)って覚

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「利下げ」に待った! - 日銀に "行動" を迫る「円安」

「利下げ」に待った! - 日銀に "行動" を迫る「円安」

 筆者の危惧する方向に相場が向かいつつある。12月の米CPIは11月比で上昇幅を拡大。コアは+4.0%を割り込んだものの、住居費や交通費などのサービス価格は高止まり。予想を上回った雇用統計と合わせて考えれば「利下げ」に待った! 少なくとも3月▼0.25%「利下げ」の目はほぼ消滅。やはり 燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) はしつこい

 ただその後30年債入札でしっかり

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2023年は「社会大変革」の年 - 貯まりに貯まった「失われた30年」の "膿"

2023年は「社会大変革」の年 - 貯まりに貯まった「失われた30年」の "膿"

 年の瀬を迎えて10大ニュースなど今年を振り返ると改めて大変な年だったと再認識させられる。2023年は「社会大変革」の起点と言っていい:

 1.パンデミックと産業革命

 14世紀に起きた「ペスト」の大流行で、当時の世界人口4億5,000万人の22%にあたる1億人が死亡(推計)。労働力不足による「インフレ」を伴った「農地改革」が起きた。更に18世紀中頃から19世紀初頭まで「コレラ」流行の後、イギ

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日本で拮抗する「円安派」vs「円高派」

日本で拮抗する「円安派」vs「円高派」

 注目された日銀政策決定会合&植田総裁会見だったが何~も無し(笑)。これでドル円が+3円近く「円安」に飛ぶのだから正直何やってんだか。完全にファンドやデイトレーダーの "オモチャ" になっている。

 「利下げ」開始発言で火消しに大わらわなFRB同様、「チャレンジング」発言が効き過ぎて@140円台まで「円高」に飛んだのが想定外だったか。コントロールされているユーロドルとは対照的で、まさに 気がはや

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気がはやる "群衆" を留めるのは大変

気がはやる "群衆" を留めるのは大変

 パウエルFRB議長の ”配慮” が効き過ぎたため、FRBもECBも慌てて "火消し" に走っている。コンサートでも一度ステージに殺到した観客は半ば暴力的になってしまうが、気がはやる "群衆" を留めるのは大変。FOMC後の米国債+欧州国債の怒濤の買い戻しがまさにそれだ。

 この発言で2年以内の金利は押し戻されたが長期金利は下がったまま。結果として「逆イールド」が深まった。展開としては今年初めに

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 "ゆりかごから墓場まで" はもう無理。ー 「お金」の事ははっきりさせよう。

"ゆりかごから墓場まで" はもう無理。ー 「お金」の事ははっきりさせよう。

 社会保障制度の充実を形容する言葉で、第二次世界大戦後にイギリス労働党の掲げたスローガン。国民全員が無料で医療サービスを受けられる 国民保健サービス(NHS) と国民全員が加入する国民保険 (NIS) が基幹。

 大不況を引き起こした「イギリス病」に由来する税収の伸び悩みでNHSの財政圧迫は深刻な問題となり「小さな政府」を目指す "鉄の女" 保守党のマーガレット・サッチャーが方針転換。大胆な福祉

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