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「利下げ」に待った! - 日銀に "行動" を迫る「円安」

 米12月CPI(年率)+3.4% 予想 +3.2% 前月 +3.1%
 コア(除.食品・エネルギー)+3.9% 予想 +3.8% 前月 +4.0%
  *ガソリン▼1.9%、食品+2.7%、住居費+6.2%、交通費+9.7%

 筆者の危惧する方向に相場が向かいつつある。12月の米CPIは11月比で上昇幅を拡大コアは+4.0%を割り込んだものの、住居費や交通費などのサービス価格は高止まり。予想を上回った雇用統計と合わせて考えれば「利下げ」に待った! 少なくとも3月▼0.25%「利下げ」の目はほぼ消滅。やはり 燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) はしつこい

 ただその後30年債入札でしっかりした需要が確認され、米国債は怒濤の買い戻し。それだけショート(売り)も貯まっていたのだろう。確かに「金利」を確保したい向きにとっては数ヶ月程度「利下げ」が遅れるのは大した問題ではない。金利上昇局面では「@4%台」が1つの目安になってくる

 リセッションも囁かれるドイツ、フランスもCPIは反発しており、特に長期金利の上昇が激しい。下手をすると「スタグフレーション」行き

 CPI発表後、一時@146円を踏み越えてきたドル円を苦々しく見つめていたのは日銀・財務省の幹部だろう。YCC修正でせっかく「円高」反転の気運が見え始めていたのに、これで「円安」是正は完全にやり直し「4月まで」なんて悠長に構えているとこれまでの努力は水の泡に帰す

 ビットコインや暗号資産については全くの素人だが、筆者は「お金余り」のバロメーターとして見ている。日本の「バブル」時代なら「ゴルフ会員権」「お金」が足りなくなればこういう資産は上がったりしないFRBは今回の引締め局面で▼1兆ドル程回収したようだが、それでも "QT" (Quantitative Tightening、量的引締め)が足りない証

 そして重要な事はFRBやECBがいくら "蛇口" を閉めても日銀が+700兆円も「全開」のままならあまり効果が無い世界は「過剰流動性」中毒Ⅲ ー  それでも彷徨い続ける「お金」|損切丸 (note.com) FX(外国為替)を通して「お金」は世界中を駆け巡る

 「利上げ」が嫌だからと日銀がこのままダラダラと "行動" を遅らせていると世界的に「スタグフレーション」リスクは増大する。そうでなくとも「実質賃金」の低下で苦しむ日本は尚更*「通貨安」は本当に怖い

 *ようやく「利上げ」に舵をきったトルコだが、@40%程度への「利上げ」では「インフレ」に追い付かない。なぜか10年国債金利は政策金利を▼16%も下回る@25%台に留まっている。こんなに低い「実質金利」では「お金」は集まらずリラ安を助長対ドルレートは遂に@30.0000を付けた

 連日 "化け物" みたいに買われている日経平均(苦笑)だが、こうなると@35,000円超えも素直に喜べない「円」の価値が下がる=「インフレ」なら株価の名目値が上がるのは当然だからだ。おまけに欧米のように「利上げ」が行われていないから消費者は物価上昇率相当の「金利」も受けとれない「円安」で保有資産も目減りする。トルコアルゼンチンとは言わないまでも「通貨安」「インフレ」「低金利」の三重苦に喘ぐことになる

 「スタグフレーション」「通貨安」の対策はまず「利上げ」が常道誤って「利下げ」で対応したトルコの悲惨な結果はエルドアン大統領が証明している。日本はまさか「利下げ」はないだろうが「マイナス金利解除」「利上げ」を遅らせれば「実質金利」の低下を助長、結果として「円安」を招く

 70代の植田総裁が「昭和方式」で "アメリカ依存" を続ければ「円安地獄」を招く。そんな事はないと信じたいが対応の遅れは致命傷になる。2年前に「インフレは一時的」と言い張って「インフレ対応」が遅れ+5%もの「利上げ」に追い込まれたパウエルFRB議長がそれを証明している。

 経済に弾力性があるアメリカだからそんな芸当が可能だったが日本ではとても無理+3%を超える「利上げ」に耐えられる体力は残っておらず ”違う危機” を引き起こす懸念もある。だからこそ前倒しの "行動" が必要「マイナス金利解除」は今月実施でも遅いくらい「政治」との兼ね合いばかり気にしていると手遅れになる(あ~、しかし何度も見てきた光景だなぁ…)

 株もFXも国債もコモディティ(商品市場)も、そして暗号資産も滅茶苦茶な相場が続いているが、唯一 ”希望の光” は日経平均がしっかり買われている事。これは「金利正常化」を目指す日銀には追い風になる。 もう「失敗」できない日銀。|損切丸 (note.com) は理解できるが、過剰に "臆病風" に吹かれない事を願う。「利上げ」はそんなに大変な事ではない

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