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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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2022年10月の記事一覧

「将来の "お金" が無い」の深刻度。- 「長生きリスク」にどう対応するのか。

「将来の "お金" が無い」の深刻度。- 「長生きリスク」にどう対応するのか。

 「いい、本当に問題なのは"お金" が無いこと」

 立ち聞きするつもりはなかったのだが、病院の待合で聞こえてしまった。入院していると思しき80代ぐらいのご老人が親戚・縁者3人に囲まれて何やら話している。どうもご本人を施設に入れようとしているようだが "お金" が足りないらしい。「OO貯金の通帳は預かってるけど、他に無いの?」。ご本人に貯金以外の資産がないかまで聞いていた。

 58歳の「損切丸」

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繰り返される「金余りゲーム」。ー ”ジョーカー” は「デフォルト」。

繰り返される「金余りゲーム」。ー ”ジョーカー” は「デフォルト」。

 「ああ、またか...」

 ここ数日の相場を見ていて思わず溜息。前稿 「ドル覇権」衰退の兆しと「ドル高」で "輸出" される「インフレ」。|損切丸|note でも述べたが、個人的に「転換点」と定めている1998年(LTCM破綻)以降、繰り返されてきた「金余りゲーム」だ。

 時々の ”流行” を反映して代表的な銘柄はNYダウ → ナスダック → ビットコインと変化してきているが、20年以上も続く

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「ドル覇権」衰退の兆しと「ドル高」で "輸出" される「インフレ」。

「ドル覇権」衰退の兆しと「ドル高」で "輸出" される「インフレ」。

 「不況時の株高」

 この相場格言は本来 "景気回復時の「金利上昇」で崩れる株価の反動" を指したもので、昨日(10/24)@50割れのPMIで反発したNYダウが典型的。S&Pの「イールドスプレッド」も@▼2%を上回って「買いサイン」も点灯していたが、明らかに「金利」を気にしている。

 だが現状は「不況時の株高」とはちょっと違う。筆者は「1998年」を境にマーケットが「変質」したと考えているが

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ハンセン指数と人民元急落が告げる事。- マーケットからの ”メッセージ” 。

ハンセン指数と人民元急落が告げる事。- マーケットからの ”メッセージ” 。

 参照: 逃げ出す「お金」。向かう先は...。|損切丸|note

 マーケットの関心が「ドル円」に集中する中、実はもう一つ注目を集めたのが今日(10/24)の香港ハンセン指数の▼1,000bps を超える暴落。人民元も対ドルで安くなり、リーマンショック(2008年)以来の@7.2500を突破。「日本円」同様、「お金」が逃げ出している。

 理由は明白。「一強体制の確立」だ。これまでも「ゼロコロナ

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なぜ「円買い介入」は効かないのか? -「円」の需給からアプローチしてみる。

なぜ「円買い介入」は効かないのか? -「円」の需給からアプローチしてみる。

 「 "投機" には断固として対処する」

 69歳の財務大臣はこう言い続けるしかないのかもしれないが、本当に今の「円安」は "投機" だと思っているのだろうか?

 ご自分もFXをやってみるとわかるが、短期の値幅を取りに行くのは結構大変。なぜなら自分が買った分どこかで売らなければいけないからだ。

 ???

 つまり大臣が言っている "投機" は売買い同額であり、「ドル円」の「需給」には影響が

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マーケットが首相を辞任に追い込んだイギリスと未だ ”悪の地下組織” 扱いの日本。

マーケットが首相を辞任に追い込んだイギリスと未だ ”悪の地下組織” 扱いの日本。

 イギリスのトラス首相が電撃的に辞任。わずか44日という「短命政権」だった。日本で思い起こされるのは女性問題で辞任したU首相だが、それでも69日。ちなみに日本の最短は54日だからそれより▼10日も短い。

 今回強く印象に残ったのは、トラス首相がマーケットに追い込まれたこと。FXにおけるポンド下落もそうだが、何と言っても主役は英国債だ。

 たった44日間で10年国債金利は@3.80~4.50%で

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「ハイパーインフレ」の帰結。- 「日本投資」への "ヒント" 。

「ハイパーインフレ」の帰結。- 「日本投資」への "ヒント" 。

 2022年の株価上昇率でトルコが断トツのトップらしい( ↑ 標題添付)。今日(10/20)も市場予想を上回る▼1.5%の「利下げ」@12.0% → @10.5%を敢行したが、「インフレには利下げ」の "エルドアン理論" の勝利か?

 トルコリラは8月まで年初来▼32%近く下落しており、まるで「円安」のよう。だが株価は+47.5%上昇しておりトータルでは「勝ち」。上手くリラの底値 e.g.,

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「貿易赤字」→「円安」→「貿易赤字」の "無限ループ" 。

「貿易赤字」→「円安」→「貿易赤字」の "無限ループ" 。

 参照: 逃げ出す「お金」。向かう先は...。|損切丸|note

 判っていても見る度に溜息が出てしまう。またも「貿易赤字」が▼2兆円を超える「円の垂れ流し」。「日本株式会社」は「仕入値」が上がり続けて赤字経営が続く商社のよう。

 昔担当していた輸入商社の財務部長が言っていたが、商売の要は「仕入れ」。どんなに営業が頑張っても「仕入れ」が悪ければ儲からない。逆に言えば「仕入れ」さえ良ければ営業は

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「ドル」が売られる時。

「ドル」が売られる時。

 参照: 「お金」の "撤退戦" 。- 金利@4%が意味するもの。|損切丸|note

 「円ベースでまだ+9%か。どうしようかな...」

 NYダウに連動する投資信託を買っていてこんな風にお悩みの方も多いのではないか。2022年初来だとNYダウ自体は▼16%下落しているが、ドル円で+30%近く上がっているのでまだ利益が確保できる。バカ高い手数料を払っても何とかお釣りがくるだろう。

 筆者がト

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続・「ドル」が欲しい!- 無担保コール市場の "異変" と 「ヘッジ付外債」。

続・「ドル」が欲しい!- 無担保コール市場の "異変" と 「ヘッジ付外債」。

 「ドル」が欲しい! vs 要らない「円」...。 → 「円安」?|損切丸|note の続編。

 無担保コール市場に異変。TONAR(無担保コールO/Nレート。日銀の政策金利の対象)が急落し、取引量が激減している。

 原因は邦銀勢による「ヘッジ付外債」の大量売却。10/1の週まで3週連続で▼3兆円も売っていたが、~10/8の週で更に▼1.7兆円売り。これはもう覚悟の「損切り」に違いない。

 

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「無理」を押し通す日銀。- 日本国債(JGB)市場の "歪み" が意味するもの。

「無理」を押し通す日銀。- 日本国債(JGB)市場の "歪み" が意味するもの。

 ネットでもやたらと用いられているが、どうもこの ”コストプッシュ” という言い方が好きになれない。まあ、国のトップが国会でこう言えば "洗脳" されるのかもしれないが、良く考えるべき。

 例えば「デフレ」20年でも ”コストプッシュ” は存在したが、「賃下げ」、あるいは値段を上げずに量を減らす「スティルス値上げ」で凌いだ。

 それがなぜ今になって猛烈に「値上げ」が進むのか?

 「損切丸」で

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大暴れする国債市場(除. JGB💧)に振り回される株、FX、コモディティ。

大暴れする国債市場(除. JGB💧)に振り回される株、FX、コモディティ。

 一昨日(10/13)のNYダウが1,500ドルも動いたのにも驚いたが、まあ米国債市場の "暴れっぷり" も凄い。昨日も米小売売上高が弱めで10年が@3.88%まで突っ込んだと思ったら、ミシガンが強くて@4.02%まで急落。ここまで来るともはや "言いがかり" (苦笑)。

 1~2年の金利上昇は顕著で、この水準だと11月FOMCは+1.25%(!)の「利上げ」になる。さすがにこれはちょっと…、と

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「ドル」が欲しい! vs 要らない「円」...。 → 「円安」?

「ドル」が欲しい! vs 要らない「円」...。 → 「円安」?

 人間は「苦しいこと」はすぐに忘れるように出来ている。そうしないと生きていけないからだろう。

 たった2年半前、2020年3月の「コロナ暴落」でNYダウは@18,000ドル台、ナスダック@6,800ドル台、日経平均@16,000円台と今では信じられないような暴落が起きた(覚えているだろうか?)↓ 。

 まさに「クライシス」。この時問題になったのが「ドル不足」。FRBは 
「Temporary

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「お金」の "撤退戦" 。- 金利@4%が意味するもの。

「お金」の "撤退戦" 。- 金利@4%が意味するもの。

 濃淡の差こそあれ、今世界を襲っているのは間違いなく「スタグフレーション」。マーケットでは「お金」の "撤退戦" が繰り広げられている。主戦場は米国債を中心とする金利市場だ。

 株や円が売られて大変、と思っている方も多いだろうが、実は*米国債も火の車。2020年7月に@0.50%台前半だった10年国債金利はほぼ@4%。価格に直すと2年間で▼18%下落のナスダックを上回る▼26%の ”暴落” だ。

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