おぐら

大学で日本語教育を勉強し、今は国内で日本語教師として働いています。 毎日日本語学習者と…

おぐら

大学で日本語教育を勉強し、今は国内で日本語教師として働いています。 毎日日本語学習者と話す中で気が付いたこと、忘れたくないことを少しずつ記録するつもりです。

記事一覧

バングラデシュ出身の卒業生が久しぶりに来て、しかも手土産まで持ってきてくれた。甘いシロップが染み渡ったドーナツのようなお菓子で、優しい甘さとじゅわっとした食感が美味しかった。(シロップが紙皿を貫通することを危惧して、ラップの上に置いて食べた)

おぐら
11時間前
5

テスト監督という最難関

先週、テスト監督をするコマがあった。 模試とか、丸一日のテストとかそういうものではなく、ただ授業についてこれているかを復習するような45分間のテスト。 テスト監督…

おぐら
2日前
5

自己紹介とサイトマップ

今年の2月にnoteを書き始め、少しずつ記事も溜まってきたので、自己紹介を兼ねたサイトマップを作ってみようと思い至りました。 私の名前はおぐらと申しまして、 日本国内…

おぐら
3日前
18

多国籍持ち寄りパーティにお呼ばれした日

先日、仕事中のお昼休憩をとっていると、留学生たちが持ち寄りパーティーを開催しているところに出くわした。 初級後半くらいのレベルのクラスの人たちで、 そのパーティ…

おぐら
4日前
12

「恋人とデートするときは男性が経費を払うようにしてください」

あるとき、外国から自分の国に旅行に来た人に伝えたい、自国で気をつけてほしい(これはした方がいい、あるいはこれはしないようにした方がいいなど)ことについて文を作っ…

おぐら
7日前
28

ワンピース好きのネパール出身男子、よくアニメの話をしているのでてっきりアニメ派だと思ってネタバレしないように気をつけていたら、意外なことに彼はアニメに加えて本誌も英語で追っているらしく、単行本派の私は毎日ネタバレの恐怖に脅かされています。

おぐら
7日前
2

ただの大学生が日本語教師として生計を立てるまで

子どものころから、なんとなく本を読むのが好きだったとか、なんとなく作文があまり苦しまずに書けるとかそのくらいで、何も自分の日本語能力に関して特別なことはなかった…

200〜
割引あり
おぐら
10日前
7

今週末は海へ行くとアルバイトをする予定です

週末の予定について各々考えていることを話しているとき、 あるネパール出身の人が言った「今週末は海へ行くとアルバイトをする予定です」、 母語話者の感覚としては文法…

おぐら
10日前
3

「やさしい日本語」は誰にやさしくしているのか

毎日ほぼ同じ格好で学校に来る学生がいる。 同じ色・丈のスカート、同じ色のシャツ、同じ色や形のカーディガンなどを基本的に毎日身につけている。 それが昨日は、ちょっ…

おぐら
11日前
5

「首を傾げる」ことが疑問を表すとは限らない世界

ネパール出身の学生が授業内の活動のことで私に指示を仰ぎに来たので、 これをしてください、できたら次はこれをしてください、と説明したところ、 その学生はじっと私の目…

おぐら
2週間前
4

呪文は覚えられない

初級文法のクラスで授業をしていると、 母語話者の感覚だと意外なところで難しそうにしているときがしばしばある。先日の「~しなければならない」もその一例だ。 国内の…

おぐら
3週間前
5

いろいろな朝の一幕

朝私が出勤すると、よくエレベーターで鉢合わせる人がいる。 スリランカ出身の、教室でも穏やかな話し方が印象的な男子学生だ。 しかし学生の登校時間には早い時間なので…

おぐら
3週間前
8

間違い書きました

今日はこのフレーズが何かと耳に残った。 朝一番の授業で文法のまとめテストがあり、テストの次のコマは3,4人ずつでテストの答え合わせをする活動になった。 答え合わせ…

おぐら
3週間前
5

アニメが繋ぐ仲、引き裂く仲

最近毎日かわるがわるワンピースのTシャツを着てくる人がいる。 ワンピースというのはあの国民的海賊アニメのワンピースのことで、ちなみに彼が特段気に入ってきているのは…

おぐら
3週間前
5

アボカドかアボガドか。ボーノかヴォーノか。

先週の日曜日、散歩していて見つけたできたばかりのカフェにふらっと入ると、コーヒー器具を並べて売っているコーナーがあった。 そこに、以下の商品が並んでいた。 商品…

おぐら
4週間前
7

初級文法のクラスで「~に行きます」という文型を勉強し、その文型を使って一文作ってみましょうという場面。
「駅へ買い物に行きます」「ごはんを食べに行きます」などの例文が並ぶ中、ある学生の「公園へ座りに行きます」がかなり好きだった。座ることを目的にふらっと公園に行ったっていいんだよ。

おぐら
1か月前
3

バングラデシュ出身の卒業生が久しぶりに来て、しかも手土産まで持ってきてくれた。甘いシロップが染み渡ったドーナツのようなお菓子で、優しい甘さとじゅわっとした食感が美味しかった。(シロップが紙皿を貫通することを危惧して、ラップの上に置いて食べた)

テスト監督という最難関

テスト監督という最難関

先週、テスト監督をするコマがあった。
模試とか、丸一日のテストとかそういうものではなく、ただ授業についてこれているかを復習するような45分間のテスト。

テスト監督だと、こちらで授業の内容を準備したりする必要がないので、こちらとしては比較的気が楽だ、なんて思いがちだが、残念ながらこれは間違っている。

テスト監督に入る者が戦わなければならないものは多い。
当たり前のように横行するカンニングは、チラ

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自己紹介とサイトマップ

自己紹介とサイトマップ

今年の2月にnoteを書き始め、少しずつ記事も溜まってきたので、自己紹介を兼ねたサイトマップを作ってみようと思い至りました。

私の名前はおぐらと申しまして、
日本国内のいち地方都市にある日本語学校で日本語教師として働いています。

興味のあることは日本語や言語にまつわることで、特に文化的背景の違う人たちがコンタクトを取るときに生まれる、さまざまな面白さが大好きです。

私の職場ではそのような面白

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多国籍持ち寄りパーティにお呼ばれした日

多国籍持ち寄りパーティにお呼ばれした日

先日、仕事中のお昼休憩をとっていると、留学生たちが持ち寄りパーティーを開催しているところに出くわした。

初級後半くらいのレベルのクラスの人たちで、
そのパーティーに集まっている人の出身国はさまざま、もちろん各々が持ち寄っている料理も色とりどり。

通りかかっただけの、ついさっきちょうど朝コンビニで買ったツナマヨおにぎりと豚汁を平らげた私までお裾分けをもらった。

そこでもらった、文字通り多国籍の

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「恋人とデートするときは男性が経費を払うようにしてください」

「恋人とデートするときは男性が経費を払うようにしてください」

あるとき、外国から自分の国に旅行に来た人に伝えたい、自国で気をつけてほしい(これはした方がいい、あるいはこれはしないようにした方がいいなど)ことについて文を作っているとき、あるスリランカ出身のとても真面目で穏やかな人に「すみません」と呼ばれた。

作文が正しいかどうか、適切かどうかを自分で判断するのは難しいので、この文を読んでわかるか見てほしいとのことだった。

そうして見せられたノートに、彼の真

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ワンピース好きのネパール出身男子、よくアニメの話をしているのでてっきりアニメ派だと思ってネタバレしないように気をつけていたら、意外なことに彼はアニメに加えて本誌も英語で追っているらしく、単行本派の私は毎日ネタバレの恐怖に脅かされています。

おぐら
割引あり ¥200〜
ただの大学生が日本語教師として生計を立てるまで

ただの大学生が日本語教師として生計を立てるまで

子どものころから、なんとなく本を読むのが好きだったとか、なんとなく作文があまり苦しまずに書けるとかそのくらいで、何も自分の日本語能力に関して特別なことはなかったと思う。

ただ日本で日本人の両親のもとに生まれて、日本語を母語として身につけて、日本で大学に入っただけの普通の人が、不思議なことに今は日本語学校で、日本に留学してきたさまざまな国の人に日本語を教える仕事をしている。

どうやって私はこの仕

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今週末は海へ行くとアルバイトをする予定です

今週末は海へ行くとアルバイトをする予定です

週末の予定について各々考えていることを話しているとき、
あるネパール出身の人が言った「今週末は海へ行くとアルバイトをする予定です」、

母語話者の感覚としては文法的に正しくない文だということはわかるけど、
この人の頭の中のどのようなルールに従ってこの文が産出されたのか、どの規則を誤解しているのかが一瞬ピンと来なかった。

少し考えたら、この人が誤解しているのは「と」の用法である可能性が高いというこ

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「やさしい日本語」は誰にやさしくしているのか

「やさしい日本語」は誰にやさしくしているのか

毎日ほぼ同じ格好で学校に来る学生がいる。
同じ色・丈のスカート、同じ色のシャツ、同じ色や形のカーディガンなどを基本的に毎日身につけている。

それが昨日は、ちょっと違う服装をしていた。
いつものシャツとスカートではなく、Tシャツとゆるっとしたパンツという、いつもより少しカジュアルな雰囲気だった。

すると、その学生のクラスメイトであるアメリカ人留学生が言った。
「あの人、今日だけ服が違いますよね。

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「首を傾げる」ことが疑問を表すとは限らない世界

「首を傾げる」ことが疑問を表すとは限らない世界

ネパール出身の学生が授業内の活動のことで私に指示を仰ぎに来たので、
これをしてください、できたら次はこれをしてください、と説明したところ、
その学生はじっと私の目を見たまま首を振った。

通じなかったか、と思いもう一度かみ砕いて説明を始めると、
その学生は「いいえもうわかりました、大丈夫です」と説明を遮って止め、席へ戻っていった。

というようなことが別の場面で何度か起きたことで、
「どうやらネパ

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呪文は覚えられない

呪文は覚えられない

初級文法のクラスで授業をしていると、
母語話者の感覚だと意外なところで難しそうにしているときがしばしばある。先日の「~しなければならない」もその一例だ。

国内の日本語教育現場で多用されている有名な初級日本語教科書では、
動詞の否定形を学習した後でこの「~しなければならない」という文型を勉強するという順番になっている。

否定形は「ない形」として導入されていて、
「書きます→書かない」
「食べます

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いろいろな朝の一幕

いろいろな朝の一幕

朝私が出勤すると、よくエレベーターで鉢合わせる人がいる。
スリランカ出身の、教室でも穏やかな話し方が印象的な男子学生だ。

しかし学生の登校時間には早い時間なので、エレベーターの中で「いつも何時に出ているんですか?」と尋ねてみた。

「いつもだいたい9時くらいです」と言われ、3秒ほど考えた。
今はまだ9時前だ。

「いつも何時に出ているんですか?」が、
「いつも何時に寝ているんですか?」に聞こえた

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間違い書きました

間違い書きました

今日はこのフレーズが何かと耳に残った。

朝一番の授業で文法のまとめテストがあり、テストの次のコマは3,4人ずつでテストの答え合わせをする活動になった。

答え合わせが問題1,問題2と進むにつれて自分のミスが次々と顕わになり、「頭が痛いです…」と文字通り頭を抱えている人がいたので、まあまあ、これで全部が決まるわけじゃないですしねと気休めを言った。

また別のチームでは「ここも、ここも、ここも私間違

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アニメが繋ぐ仲、引き裂く仲

アニメが繋ぐ仲、引き裂く仲

最近毎日かわるがわるワンピースのTシャツを着てくる人がいる。
ワンピースというのはあの国民的海賊アニメのワンピースのことで、ちなみに彼が特段気に入ってきているのはワノ国編のモモの助とカイドウがお互い龍の姿でにらみ合っている、名シーンでもあり絵としての迫力もあるTシャツだ。
着用頻度は、私の体感によるとほぼ毎日。

かく言う私もワンピースはど真ん中の世代で、子どもの頃から単行本でストーリーを追い続け

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アボカドかアボガドか。ボーノかヴォーノか。

アボカドかアボガドか。ボーノかヴォーノか。

先週の日曜日、散歩していて見つけたできたばかりのカフェにふらっと入ると、コーヒー器具を並べて売っているコーナーがあった。

そこに、以下の商品が並んでいた。

商品名は「ドリップケトル・ヴォーノ」で、
ドリップコーヒーを淹れるために注ぎ口がストローみたいに細く、スラッとした曲線の形をしているもの。

上に書かれている英字つづりを見たときに、「『Buono』なんだから、『ボーノ』じゃないの?」と思っ

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初級文法のクラスで「~に行きます」という文型を勉強し、その文型を使って一文作ってみましょうという場面。
「駅へ買い物に行きます」「ごはんを食べに行きます」などの例文が並ぶ中、ある学生の「公園へ座りに行きます」がかなり好きだった。座ることを目的にふらっと公園に行ったっていいんだよ。