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映画感想/アステロイド•シティ
午後七時からのウェス•アンダーソン監督『アステロイド•シティ』を鑑賞する。なぜ感想文を書こうと思ったのか問われれば、観終わった後からモヤモヤしているからだ。
設定はおもしろい。アステロイドシティという架空の町を舞台にした芝居をしているその舞台裏を映すテレビのドキュメンタリー番組で、嘘が何層にも積み重なって、観客は映画という虚構を観ながら、スクリーンに映し出されるテレビ番組を通して展開するアステ
短編小説/ショッピングモール
目を覚ましたとき、雨はまだ降っていなかった。
身支度を整えてマンションを出たとき、腕に水滴があたったような気がして、ショッピングモールに到着したときには、どしゃ降りの雨になっていた。
屋外の平面駐車場に車を停めて、しばらくフロントガラス越しの雨を眺めていた。ショッピングモールの壁に取り付けられた衣料品ブランドの看板が輪郭を失って滲んでいる。黄色い雨合羽を着た子どもが車の前を駆けていく。ワイパ
感想/君たちはどう生きるか
物語は、戦時中、空襲にて母親が亡くなるシーンから。母親がどんな人だったのかの説明は無し。それでも主人公の眞人が入院している母親の元に駆けつけようとするシーンだけで、母子の関係、少なくとも眞人の母親に対する想いがわかる。
印象的なのは、炎の描写。
今回のテーマは〈火〉かな、と思う。というのは、以前に〈風立ちぬ〉のときだったと思うが、宮崎駿は〈風〉を描いているときは調子が良く、健康的で希望がある