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#孤立
「あかりの燈るハロー」第一話
プロローグ ゴウン…ガロン…ギ…ギギ…ギ。
ゴウン…ガロン…ギ…ギギ…ギィィ……。
やがて、観覧車は完全にその動きをとめ、遊園地にともされたはなやかな電飾も消えると、あたりを静けさが包みこんでいく。
耳をすませば、かすかに聞こえる波の音だけ。
あたしは歌う。
♪ ハウマッチウッド・ウッドアチャック・イファウッドチャック・クッドチャックウッド
♪ ハウマッチウッド・ウッドアチャック
「あかりの燈るハロー」第二話
第一章バイバイ、お母さん。ハロー、ハンデ。
(1)
あたしには最近好きなものができた。
それはメール。といってもケータイのじゃなくてパソコンのメール。あたしが使っているパソコンはとても型式の古いノートパソコンで、起動するのにびっくりするくらい時間がかかる。それによく途中で突然動かなくなってしまうし、書いていたメールが全部なくなってしまうことだってある。
電気屋さんに並んでいる、薄くて格好
「あかりの燈るハロー」第十一話
第五章うるさい! うるさい! うるさい!
(1)
学校が終わると、脇目も振らずにまっすぐ家に帰る。お母さんの写真にただいまをして、次にノートパソコンを起動。もちろん朱里にメールするためだ。
Re.ハローワールド
『ただいま! 朱里、今学校から帰ったよ!』
十分もしないうちに朱里から返信メールが届く。
『おかえり、茜! 学校はどうだった?』
こんなふうにやり取りするのが日課になっ
「あかりの燈るハロー」第十四話
レインボー薬局
(2)
Re.ハローワールド
『朱里、ただいま! 今帰ったよ。
薬局のおばさんがすごく親切にしてくれてびっくり。
カバンいっぱい必要なものをもらったよ。
お金は朱里が払ってくれたの?』
ポロン♭
『おかえり、茜!
薬局には無事にたどり着けた?
今では生理用品にもいろいろなタイプがあるはずよ。
自分に一番使い勝手の良いものを見つけるといいわ。
薬局のおばさんか
「あかりの燈るハロー」第十七話
第八章イフ・アカリ
(1)
朝から降り続けた雨は下校時にはすっかりやんで、大きな入道雲が、照りつける日差しとともに夏の空に姿を現している。
下駄箱の並ぶ昇降口の向こうに、青色が存在感を示している。すぐにやってくる暑さを予期しながら、ひんやりした下駄箱で靴を履き替えた。
去年買ってもらったスニーカーは、右側の生地がやぶれて中からウレタンが飛び出てるし、紐も先がほつれている。それにちょっときつ
「あかりの燈るハロー」第二十三話
あたしがやりました。
(2)
先生のお説教が延々と続く。古賀くんも大和もまるで上の空。ぼーっと天井をながめては、「おい! お前ら聞いているのか⁉」なんて、先生の喝が飛んでくる。
かなえは先生が口を開くたびに食ってかかり、正当性を主張するものだから、安西先生のお説教は蛇行運転する車みたいに、ぐねぐねと話がそれてばかりだった。頭の回転が早いかなえに口げんかで勝てる子なんていない。かなえの猛口撃に