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虹乃ノラン
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愛猫の「楓」を亡くし、泣き暮らす千里は暗闇のなか目覚めた。そこには黒髪の少女アケルと仮面の総支配人ケルビムがいた。そこはホテルエデンの東館。なぜそこにいるかもわからぬまま、ケルビムの頼みでアケルをオーナーの元へ届けるため本館を目指す……。(ホラー小説部門) ■目次 プロローグ 第一章「美しい変化」 第二章「大切な想い出」 第三章「遠慮」 第四章「調和」 虹の橋のたもと エピローグ
黒いアスファルトにこびりつく、汚いガムさえ流し落とすような大雨の降るある夜に、俺にこんな言葉をくれた奴がいる。 「悪夢を食べると言われる獏って生物を知ってるだろ。俺たちの仕事は、獏みたいなもんだ」 毎日、毎日人間どもの欲望の抜け殻を拾っては集め、そして金を貰い、俺たちは生きている。
モノカキコさんからイラストをお借りして、虹乃ノランが言葉をつける企画です。創作大賞2024、オールカテゴリ部門に応募しています。
ケイト・クーパーは左頬に火傷痕のある十二歳の少女だ。母のジェシカ、飼い犬のチク・タクと共にフィラデルフィアのアパートで暮らしている。ある日見かけた車の衝突事故で、お気に入りのストロベリークリームサンドビスケットのキャラクター、フラミンゴの絵を描いているイラストレーターが死ぬところに遭遇する。 チク・タクとの散歩中、事故現場でみかけた黒いレインコートの薄気味悪い男、ジムに会うが……。(創作大賞2024ファンタジー小説部門) ※『幸せのコイン』とクロスオーバーしています。
第一章バイバイ、お母さん。ハロー、ハンデ。 (1) あたしには最近好きなものができた。 それはメール。といってもケータイのじゃなくてパソコンのメール。あたしが使っているパソコンはとても型式の古いノートパソコンで、起動するのにびっくりするくらい時間がかかる。それによく途中で突然動かなくなってしまうし、書いていたメールが全部なくなってしまうことだってある。 電気屋さんに並んでいる、薄くて格好いいノートパソコンとは違って、変に黒くて分厚いし、めちゃめちゃ重いから、一階のキ
大相撲名古屋場所に行ってきました!ゆるーい日記です。 日記とはまったく関連ありませんが、創作大賞に応募中の「ファミリア」のリンクをおいておきます。よろしくおねがいします! タクシーで30分ほど。ドルフィンズアリーナまで行きます。痛みが出るとご招待していただいた花大猫さんにご迷惑とご心配をおかけしてしまう!と勇んで、鎮痛剤を結構がぶ飲みしてしまった。そのせい(主にトラマール)で、タクシーで既に酔う。少し暑かったのもいけなかった。 名古屋のタクシー運転手は、なぜかお喋り
ハミングの刊行に向けて具体的な日程がすでに決まっています。担当になった編集さんは、素晴らしい方です。おそらく実際にZOOMでお話しするまでは、彼自身も、本当に選んでよかったのか、という不安があったのだと思います。そのうえで、深夜に二時間半も打ち合わせをし、はじめの緊張した声がすっかり晴れ、大丈夫だ!と言っていただけた。素晴らしい笑顔が拝見できました。 「『編集ガチャ』と言われているくらいだから、本当にいろんな人がいますよ」と仰っていました。編集さんとの刊行にむけたやりとり
コルセットの型どりしてきました。救急外来で事故の方が運ばれてきていたようで、整形のスタッフがドタバタと走り回っていました。その影響か、少し待たされている間に、目の前をがらがらと運ばれていく男性の姿が……左脚先が猫のトイレシートみたいな給水マットでぐるぐる巻きにされていました。大量の血。後遺症なく無事に治癒に向かいますように。
ディレクターズカット版のランディ側エピローグです。製品版とはボリュームが三倍、さらにランディの過去が一部明かされています。読了後にぜひ合わせてお読みください。 side epilogue*Randy~ special edition ~
あるところに大変古いお城がありました。最後はいつだれが王様であったのか、召し使いは何人いたのかわからないほどに古いお城でした。 そのお城を覆い隠すようにして、とても深い森がありました。木のような蔦のような渦巻きの風のような深淵の森がありました。森は深くはありましたが、命にあふれていました。光をうけて朝は輝き、夜は命の音が静かに響く、そんなような森でした。
もこちゃんのいた部屋に入った新しい女の子は黒髪の綺麗な子だった。いかにも清楚で、生まれてこの方ヘアカラーさえしたことないんじゃないかっていう、瞳の大きいナチュラルなまつげの子。 肌がほんのり白くって、幼女みたいに頬がうっすらとピンクだった。そのくせ細い二の腕に不釣り合いなふっくらとした胸もとがなんだかアンバランスで、これは当たりだと思った反面、こんな子がどうしてこんないかがわしい物件に、と俺は心配になる。部屋に備えつきの赤いテカテカしたカラーボックスがいかにも似合わない。
月は孤独に散歩する。 「アタシは月です。 はじめまして。 いつもひとりでさんぽしています。 もしよかったら、アタシとおともだちになってください。」 こんなハガキがある日ぼくのもとに届いた……。 ☽ ぼくは三年前に会社を辞めて、カレー屋のフランチャイズを目指して、銀行に借金して店を建てた。 コンビニでもラーメン屋でもよかったけれど、アフターフォローがしっかりしているという噂の、地方ではあるが売り上げの高いカレーチェーン店を選んだ。 トレーニングを
メモのような記録。 4章と7章を少しさわる。時間が溶ける。一日一日が過ぎていく。猫は生きている。私も生きている。明日は来る。
エピローグ 翌朝、私は自宅の寝室のベッドで目を覚ました。 何事もなかったかのように私の上に時間が流れていく。 そう、何事もなかったかのように……。 ひとつだけ違っていたのは、目を覚まして隣に楓がいなくても、私はもう楓の影を探さなくなっていた、ということだった。 それから一年後、私は出産のために産婦人科の処置室にいた。 白い光に目が眩む。この光は外からやってくるものなのか、内からやってくるものなのか……。破裂するほどの痛みに発する声は他人のものようにぼんやりと響
虹の橋のたもと 「さぁさ、アケル様。随分と予定が押していますので、お急ぎください」 アケルとケルビムはふたり、虹の橋を渡っている。 「ねぇ、どうしておねえちゃんにあんな話したの? あれじゃ印のことが気になってモヤモヤが残っちゃうんじゃないの?」 「おや? わたくしとしたことがうっかりしておりました。また主人に叱られてしまいます」 ケルビムは頭をうなだれた。 「ドジねぇ、ケルビムは……」 「そういうアケル様こそ、なぜ楓様の記憶がないなんて嘘を?」 「わかってたの?」 ア
第四章「調和」 南館に入ると、そこはなにもない真っ白な空間だった。ただ、空間の真ん中に石でできた幅広い階段のみが上空へと伸びている。 階段を上る人影が見えた。 「待って!」 私はその人影がオーナーだと思い、大声で叫んだ。 人影がこちらに振り返ったとき、私もケルビムも言葉を失った。 振り返った人影――それは、まるで鏡に映したかのように私にそっくりだったんだ。 「そ、そんな! あれは私?」 「まさかそんなことになるはずが!」 ケルビムはスーツの内側からアンティーク銃
第三章「遠慮」 長い長い廊下を歩いていく。 途中まで進んでいくと、ふとケルビムが足を止めた。 「どうしたの?」 「ご覧ください、千里様。総木造だった北館から、コンクリート製にここで切り替わっているのです」 ケルビムが足を止めた場所を見ると、確かにそこまで木製だった床やら壁がきれいに分断されている。床は樹脂コーティングが施されたような白と黒の格子状に並べられていた。 「また、不思議な建物に変化してきたのね。不思議の国の度合が増してきた感じ」 壁と天井は打ちっぱなしのコ
大切な想い出(4) 私はベッドに横たわり、後味の悪さを感じているが、自分自身に言い訳もしていた。 アケルは私を思って言ってくれてることなんだけど、当の私はこの記憶や思い出からの解放を望んでいるし、なによりケルビムでも太刀打ちできないんだから、私たちがどう足掻いたって勝てっこないんだと自分に言い聞かせる。 下の階からは相変わらず本棚を倒し暴れまくっている音が聞こえてきていた。 私はベッドに横たわったまま、胸の前で手を組み、そのうち起こるであろう記憶と思い出の喪失を待っ
第七章曝露 その週の土曜日の朝、一番乗りで車庫へ戻ってきた俺は、メンバーが戻るまでに食料の買い出しだ。 野菜なんていらねぇ。俺たちはウサギじゃないんだしな。 肉とつまみとビールを買い物カゴ一杯に詰め込んで車庫へ戻ると、イケモトとジャスティスが車庫で俺を待ち受けていた。 「お疲れ、D.J.買い出しご苦労」 ジャスティスの陽気な声が寒空の中に響く。 「ところでイケモト、バーベキューってどこでやるつもりなんだ?」 いい場所がある、とだけ言って、今日になるまでなかなか教え
第六章幕臣 日の出まで後一時間といったところか? そろそろハンサムが競技場の初日を迎える頃だ。その頃のハンサムはテンションだだ下がりで、口数も少なかったよ。本当にわかりやすい奴だ。 そのときだ、ハンサムの声が突然上擦ったんだ。 「はぁ!? どうして?」 「助けに来たぜ! サーモンピンク!」 どうやらサプライズでアトラスが競技場へ駆け付けたらしい。 「マジか! マジなのか! 俺、お前にだったら抱かれてもいいよ!」 アトラスの応援がよっぽど嬉しかったんだろう。聞いてる
第五章呪縛 順調に回収先を回り切り、処分場へパッカー車で回収したゴミを捨てに行くときのことだ。珍しく、俺の携帯にB.F.から着信が入った。プップップッと、割り込みの音が俺の耳に響く。しばらく鳴り続けていたがやがて途切れた。 「どうした、D.J.?」 イケモトが、俺の様子がおかしいのに気が付き声を掛けてくる。 「あぁ、B.F.から着信だったんだ。こんな時間に何の用だ?」 俺はそう答えると、皆に一度電話を切ることを伝え、B.F.に電話をした。 「あぁ、B.F.か? 俺だけ
漠々 (2) ところで、イケモトのような蘊蓄博士がいるおかげであまり目立たないが、実はアトラスも相当な変わり者だ。もはや酔狂といえるほど市内の道を知り尽くしている。中でも、特に興味を引くのは、アトラスが〝コーヒーポイント〟と呼ぶエリアの存在だ。 なぜコーヒーポイントなのか。 俺たちは市内を縦横無尽に走っているわけだが、飯だって食えば汗だって拭くしトイレも行く。だから一次停止することはあるが、明らかな路駐はできないためアイドリングしながら片手間にパンを口に突っ込んだりす
自分の思考の癖というものがある。見紛うこともないほどはっきりした椎間板ヘルニアがMRI画像で判明して、「手術します~?」という脊椎専門の外科ドクターの言葉にほっとしたのもつかの間。本当に手術した方がいいのかという思考で脳は埋まる。 病院に行くまでは、どれだけ痛いか伝えないと、という考えで日常と向き合っていたのに、手術適応となると、どれだけ痛くないかを見極めないと、と切り替わる。 二、三日小説を書いていないともう不安になる。人生に一度は、誰でも傑作を書けると何かで読ん
第四章漠々 (1) 次の日も寒かった。いつものように出発し、イケモトからの電話を取る。すると珍しくハンサムがいて、イケモトとすでに話をしていた。 「ハンサム? お前もういるのか? まだ出発前だろ、珍しいじゃねーか、こんな時間にお前がいるなんて」 『D.J.~、聞いてくれよぉ』 情けないハンサムの声の後ろで、イケモトの忍び笑いが聞こえる。 『D.J.お前の予想が当たったみたいだ』 「イケモトおはよう。予想って?」 何のことかわからずに訊き返すと、ハンサムが今にも泣きそう